旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

消えゆく「国鉄形」 さらば特急電車

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 旅行に行ったときの思い出はたくさんありますが、それが仕事となるとまた違ったタイプの思い出になります。まあ、良くも悪くも・・・なんですが(;´Д`)

 列車で出かけると、新幹線よりも特急列車によく乗りました。まあ、それもそのはずで、今のように新幹線があちこちに走っている時代ではなく、新幹線で目的地の近くまで行きそこで在来線の特急列車に乗り換えて目的地へと行くのが一般的だったから、どうしてもそちらの方の思い出が多いんです。
 これが、仕事となると・・・車内でのお約束を守らず、大騒ぎしたり時間になっていないのにお菓子を食べ出したりと、呆れるくらい色んな事をしでかしてくれるので、見た目は頭から湯気を出しながら、内心は「おお~、よくやるわい」と苦笑いです。

 その特急列車・・・いえ、特急電車と言えばこの形でしょう。

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 クリーム色の車体に窓周りの赤いライン。まさしく「国鉄特急」そのもの。
 ちょっと前までは全国至る所で走っていたので見かけた方も多いと思います。183系・189系と呼ばれるこの電車もいよいよ終焉の日が近づいてきたようで、一部のネットニュースでも取り上げられています。
 183系は1972年から製造が始められたというから驚きです。かれこれ40年以上も前ですから、長きにわたって走り続けてきたことには頭が下がります。後継車も続々登場しているのですが、これだけ古い電車を使い続けてきたこと自体特筆に値するでしょうし、良くも悪くも国鉄が製造した車両は「質実剛健」そのものといっていいのではないでしょうか。

 この電車の思い出といえば、私が鉄道マン時代に八王子駅へ仕事に行くと、必ずといっていいほど見た、鮮やかな色に塗り替えられた特急「あずさ」です。
 なにしろ、特急電車といえば上の写真の色が「当たり前」なんて思っていたのですから、この色になったときには度肝を抜かれました。そして、大きく広がった窓も印象的で、いつか乗って出かけてみようなんて思っているうちにチャンスを逃してしまいました。

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 もう一つは、30も半ばを過ぎて仕事で乗ることになった時のこと。
 修学旅行の引率で専用列車に乗る・・・というのは、子どもの頃の経験から知っていたので、とにかく無事に1泊2日を終わらせればと思い、いざ駅のホームで列車を待っていると、やって来たのがクリーム色と赤い帯の列車。鉄道が好きな先輩と一緒に興奮してしまい、車内のシートに座るやいなや「今日はこれに乗れただけでもラッキーだ」「やっぱりコレだよな!」と、子どもに負けずはしゃいでいました(笑)
 ただ、苦労したこともあります。この電車に大きなリュックを背負った状態で「2分~3分以内に全員乗せる」というミッションはかなり厳しかったです。何しろ、扉は片側2箇所、それも幅はたったの70cmしかないので、乗せる方も乗せられる方も必死。

「列車がきたら、一目散に車内に入って奥へと行くこと!自分の座席を探そうなんてことは後回し。発車が1分遅れたら、後からくる列車は5分遅れになるからな!」

 なんて、事前に力説もしました。もっとも、元鉄道マンの話なので誰もが「そうか」と納得してくれましたが。
 事前の打ち合わせでも話題にして、「ナベならどうする?」とアドバイスを求められたことも。今ではこの電車ではなく、185系と呼ばれるドアの幅が1mの電車になったので、多少は楽になりましたが。

 そんなお世話になった電車もいよいよラストランの日が近づいていると思うと、ちょっと寂しい気がします。長年走り続けてきたことはもちろんですが、数多くの人たちの喜びや楽しみ、時には悲しみも乗せてきたと思います。最後まで無事故で走り続けてほしいものです。