旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その21「最後の集合研修と配属先の発令通知」【前編】

◆最後の集合研修と配属先の発令通知

 門司機関区での現場実習を終えると、再び研修センターで集合研修を受けることになった。とっても、座学はほとんどなく、現場配属にあたっての心得とかそういったものがほとんどだ。
 4月の研修で受けた中に、無線従事者免許を取るための認定講習があったので、会社が電気通信監理局(現在は総合通信局)から交付された免許を会社が預かっていたのでそれを貰った。


前回までは 

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 私は高校時代に第二級陸上特殊無線技士の免許を受けていたのだが、この時の免許は第三級陸上特殊無線技士。つまり既に持っている免許よりも下位の免許を取ったという、なんとも不思議な経験をした。だが、この時貰った免許は九州電気通信監理局の交付だったので、ある意味ではいい記念?になったものだ。
 さて、この研修で配属先が言い渡されるのだが、それに先だって何人かの同期は「九州に残りたい」という希望をもっていた。私も九州が好きになったのでその気持ちがあった。そして、あろうことか、九州残留の希望をM課長に言ったのだ。
 もちろん、そんなワガママが通るわけがない。会社組織でそんなことが通ったら大変なことになる。とはいえ、まだまだ世間というものが分かっていない、学校出たての若さ故の突拍子もない発想に、いま思うと恥ずかしくて仕方がない。
 さすがに責任者のM課長は困った顔をした。
「それは無理な話たい。そう言ってくれるのは嬉しいけんど、君たちは関東支社から預かった大事な人たちじゃけん。還さんかったら、関東支社に叱られるけんの」
 と、やんわりと、でもキッパリと断られた。

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 まあ、それもそうだろう。採用した関東支社にしてみれば、九州支社に新人に研修を受けさせるために預けたのであって、それを九州支社に留まられてはたまったものじゃない。それなりに現場に人員を補充計画もあるだろうし、やがては機関士として活躍してもらうための採用だ。それを、若造のワガママで残られてはすべて計画が台無しになってしまうし、九州支社にかすめ取られたようなものになってしまう。
 そんなわけで、九州に残りたいという希望はあっさりと却下された。
 さて、九州に残るという希望が叶わないとなると、あとは配属先を言い渡されて、実家のある関東へと帰るだけだ。そうなると、慣れ親しんだ寮とも別れ、とてもよくしてくれた先輩たちがいる職場も離れることになる。
 せっかく九州に来たのだから、記録ぐらいは取っておきたいと考えていると、同期の何人かも同じようなことを考えていたようだった。
「じゃあ、門司機関区で写真を撮らせて貰うのはどうだろう?」
 と、同期が言い出した。
 なるほど、関東に帰れば青い機関車だけになってしまう。九州の赤い機関車とも別れることになる。
 よし、それをしよう!ということになったのだが、さて、誰がいったいそんな無茶なお願いをするんだ?
 そんなわけで、一番最後に門司機関区で研修を受けた私がお願いをすることになった。