旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

鉄道

EF510 300番台の増備で置き換えが確実になった九州の赤い電機の軌跡【6】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ED72形の主電動機は試作車では、出力512kWのMT103形を装備し、機関車出力は2050kWというD級機としては2000kW級の高出力を実現させました。そして駆動方式は、当時国鉄で電機用として積極的に採用されてい…

EF510 300番台の増備で置き換えが確実になった九州の赤い電機の軌跡【5】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ED72形の車体は、ほかの直流機はもちろん、ED70形やED71形とは異なった特徴のある形状が採用されました。前面は非貫通型で、この基本的な意匠は直流機とかわらなかったものの、前面の形状は側面から見ると…

EF510 300番台の増備で置き換えが確実になった九州の赤い電機の軌跡【4】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ■黎明期に開発され九州電化区間の輸送を担ったED72形 九州島内の幹線が交流による電化が進められることが決まると、1961年(昭和36年)に門司港駅―久留米駅間が電化開業したのを皮切りに、1965年までに熊…

EF510 300番台の増備で置き換えが確実になった九州の赤い電機の軌跡【3】

《前回のつづきから》 ■なぜ、九州は交流電化になったのか 鉄道の電化方式は、大きく分けて二つあることは皆さんもご存知のことと思います。一つは直流電化で、この方法は古くから行われています。直流電化では主電動機の構造が簡単な直流電動機を使うことが…

EF510 300番台の増備で置き換えが確実になった九州の赤い電機の軌跡【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info EF510形の九州仕様機は300番台に区分され、既存の0番台、500番台から若干の仕様変更がされています。外観では、前部標識灯が従来のシールドビーム灯からLED灯に変更されました。また、塗装も国鉄時代から…

EF510 300番台の増備で去りゆく九州の赤い電機の軌跡【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 昨年(2023年)12月にJR各社から、2024年3月に実施されるダイヤ改正の内容がプレスリリースされましたが、JR貨物も同様にその内容を明らかにしました。 JR貨物は第二種鉄道事業者であるため、基…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 発想はよかったけれど技術が追いつかなかった冷凍貨車・レ90【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 国鉄の「冷凍品を貨物列車で輸送し、需要を取り込もう」という発想と、それに対応した冷凍品輸送用の冷蔵車の開発は、まさに時代を先取りした斬新なものだったといえます。それは、在日米軍の冷凍食品など…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 発想はよかったけれど技術が追いつかなかった冷凍貨車・レ90【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1962年に新三菱重工三原製作所で製造されたレ90とレ91は、将来の量産を見据えた試作車でした。というのも、国鉄初の冷凍機を搭載した冷蔵車であるレ9000とレサ900は、利用者でもある在日米軍から提供され…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 発想はよかったけれど技術が追いつかなかった冷凍貨車・レ90【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 第二次世界大戦の終結とともに進駐し、その後も駐留を続けている在日米軍は、冷蔵車に対する考え方が異なっていました。これは食文化の違いからの影響もあると考えられますが、欧米では冷蔵車で輸送する貨…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 発想はよかったけれど技術が追いつかなかった冷凍貨車・レ90【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 国鉄時代に活躍した貨車は車種も多く、そして車両数も膨大だったため、中には目立つことのない地味な存在だったものがあります。一方、数こそごく僅かだったものの、その機能や性能、目的などか…

鉄道の進化と安全性向上: 実験と研究の成果 職用車「ヤ」をつけた有蓋車【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1964年の東海道新幹線の開業によって、マロネ40形が充てられていた多くの優等列車が削減、あるいは廃止になると、旧型客車の優等寝台車は老朽化が進んでいたことや、より近代化された10系客車や20系客車が…

鉄道の進化と安全性向上: 実験と研究の成果 職用車「ヤ」をつけた有蓋車【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 走行特性試験に用いるため、これら有蓋車からの改造あるいは改良によって登場したヤ80形、ヤ81形、ヤ82形は、車体を営業用の貨車ではなく試験車であることを人目で判別できるように、客車と同じ青15号に塗…

鉄道の進化と安全性向上: 実験と研究の成果 職用車「ヤ」をつけた有蓋車【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 狩勝実験線で始められた脱線試験には、二軸貨車であるパレット輸送用有蓋車のワム80000形と同一の車体をもって新製された1両と、ワム80000型から改造された1両、同じパレット輸送用有蓋車でで積載荷重を1…

鉄道の進化と安全性向上: 実験と研究の成果 職用車「ヤ」をつけた有蓋車【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 鉄道の歴史は事故の歴史でもあり、同時に一度事故が起きるとその原因が究明されます。そして、二度と同様の事故を起こさまいと様々な対策がとられ、その度に安全性が向上したことで、現在のよう…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 走る魔法瓶・生活を支えたLNG専用タンク車 タム9600【3】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 日本車輌で製造されたタム9800形は、1973年11月に試作車となるタム9600が登場します。初めての「魔法瓶」タンク車でもあったので、基本的な試験や実際にLNGを積載して輸送する試験などがおこなわれ、問題…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 走る魔法瓶・生活を支えたLNG専用タンク車 タム9600【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info タム9600形は形式が示すように、積載重量が14トン〜16トンと、この種のタンク車としては軽量のものでした。というのも、全長は18,950mmで台車も二軸ボギー台車で、軸箱直結式インダイレクトコイルばね台車…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 走る魔法瓶・生活を支えたLNG専用タンク車 タム9600【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 「魔法瓶」という言葉を知っている方は、恐らく筆者と同年代の方か、あるいは諸先輩方かと思います。子どもの頃、遠足などで水筒を持っていくと、よく母から「水筒を落とさないように気をつけな…

いろいろある貨車の標記の意味【5】 在日米軍基地の貨物輸送と貨車運用標記

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■米軍軍番号と燃料種別 最後に今では見られない、もっとも特異なケースを紹介したいと思います。 第二次世界大戦の終戦以来、日本にはアメリカ軍が駐留しています。多くは沖縄県にある基地に所在していま…

いろいろある貨車の標記の意味【4】 貨物輸送の仕組みと常備駅

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■○○駅常備 国鉄・JR貨物の貨車は、基本的には所属する区所というのはなく、全国各地で配車・運用されることが基本でした。これは、貨車1両単位で貨物輸送をしていた時代からの流れで、例えばA駅に貨物輸送…

いろいろある貨車の標記の意味【3】 貨物輸送の進化と輸送係の注意喚起

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■道外禁止 この標記は現在では見ることができないだけでなく、その表記の通り北海道以外では見ることのなかった特殊なものといえます。 かつて、国鉄の貨物輸送が物流の第一選択肢だった頃、おおくの貨車…

いろいろある貨車の標記の意味【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■突放禁止 鉄道による貨物輸送が車扱貨物全盛だった頃、ほとんどの貨車は操車場に集められて、方面別に仕訳、そして着駅の方へと向かう列車に連結するという作業を繰り返していました。貨物取扱駅からやっ…

いろいろある貨車の標記の意味【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 日本全国津々浦々走り回る貨車は、今も昔もその運用形態は大きく変わることがありません。例えば、東京貨物ターミナル駅から福岡貨物ターミナル駅に向かう列車に組み込まれたコキ車は、到着後に…

悲運の貨車 奇抜な発想で複合一貫輸送を目指した両用貨車・ワ100【3】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 1992年に落成したワ100形は、翌1993年から東海道本線東京貨物ターミナル駅ー西湘貨物駅間で試験運用が始められました。実際の試験では、営業運用に入ることを想定して、車体部分となるアルミバンボディを…

悲運の貨車 奇抜な発想で複合一貫輸送を目指した両用貨車・ワ100【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ワ100形は計画自体は1990年に始まっていたようでしたが、実際に落成したのは1992年になってからでした。当時、JR貨物は国鉄時代から脈々と続けられてきた、物資別適合貨車による車扱貨物輸送から脱却し、…

悲運の貨車 奇抜な発想で複合一貫輸送を目指した両用貨車・ワ100【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 筆者が鉄道職員になろうと決めたのは、高校3年生の7月も終わり頃でした。当時、高校生の就職活動は5月ぐらいから始めないと出遅れているといわれたもので、初めから会社に入る気がなかった筆者…

2024年問題で鉄道貨物輸送の「復権」はあるのか【5】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info これまで概観してきたように、2024年問題を目前にした今日において、トラック輸送に代わって鉄道がそれを担い、政府が定めた10年後には現在の2倍を輸送するというのは、非常に課題が多く難しいといえるで…

2024年問題で鉄道貨物輸送の「復権」はあるのか【4】

《前回のつづきから》 在来線の貨物輸送量を増やすことが難しいためか、近年、新幹線に貨物輸送を担わせることが議論されています。特にJR九州の初代社長で国鉄時代は技術畑を歩んだ石井幸隆氏は、新幹線に貨物輸送、いわゆる「貨物新幹線」構想を提唱してい…

2024年問題で鉄道貨物輸送の「復権」はあるのか【3】

《前回のつづきから》 2023年10月6日、国土交通省は2024年から施行するドライバーの残業上限規制に伴う長距離トラックドライバーが不足することに対し、トラックに代わって船舶や鉄道の輸送量を今後10年間で2倍に増やす目標を決定しました。 あくまで「目標…

2024年問題で鉄道貨物輸送の「復権」はあるのか【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info そもそも「モーダルシフト」という言葉は、筆者が鉄道職員の頃から言われていました。特にバブル経済が真っ只中の1980年代後半から1990年代初頭にかけて、旺盛な輸送需要にトラック輸送が追いついていない…

2024年問題で鉄道貨物輸送の「復権」はあるのか【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 2023年も残すところ僅かになりつつあります。2024年になると、日本の経済活動に大きな影響を与えるとされる法令が施行されることが予定され、ほぼ毎日のように報道がなされています。 その「大…