旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

JR

第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・派出勤務と一本立ち【1】

第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・派出勤務と一本立ち【1】 電気区に配属されてから1年ぐらいが経った夏のある日、私は区長に呼び出された。普段なら詰所の中で話を済ませるのだが、この時ばかりは会議室に来るように言われたので、いったい何事か…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【8】

第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【8】 ところが、時間が経つにつれて輸送障害の状況が分かってくると、信号扱をする輸送係の顔色が変わってきた。穏やかな口調だった人が、声を荒げながら電話で話し始めたので、私は思…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【7】

第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【7】 私のように貨物会社で働く鉄道マン、しかも列車見張というちょっと特殊な仕事に就くと、一緒に仕事をする人は同じ会社の人とは限らない。前出の新鶴見機関区は同じ貨物会社の施設…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【6】

このシリーズも書き始めて1年以上が経ちましたが、最後に記事を公開してからずいぶんと時間が経ってしまいました。 楽しみにして頂いていた皆さま、ほんとうに申し訳ありません。 これからも、本業や家族サービスの合間を見ての執筆と公開になりますが、お…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【7】

8.悲運の機関車が遺していったもの EF500はEF200と同様に大きな機体を背負って誕生し、貨物会社とメーカーの技術陣がなんとか実用化に漕ぎ着けようと懸命の努力をしたものの、結果的には「失敗作」の烙印を押されて開発は終わらされてしまいました。 しか…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【6】

新年度に入り、予想を遙に超える仕事の忙しさに文字通り「忙殺」されてしまったおかげで、予定通りの更新がままならない状態が続いております。楽しみにされていた皆さまには本当に申し訳なく思います。 いましばらくはこの状況が続いてしまいますが、できる…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【5】

6.インテリアデザインも脱国鉄形 一方、車内も同時期に製作されたEF200と同様に、従来の国鉄形電機とは一線を画するデザインでした。 国鉄形電機は運転台の室内塗装は緑色系のカラースキームを採用しています。灰緑色3号、別名「スレートグリーン」と呼ば…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【4】

5.国鉄形電機と一線を画するデザイン EF500の特徴は電気機器やその性能だけではありませんでした。 外観もまた、従来の国鉄形電機とは大きく異なった、斬新なデザインで登場したのです。 機関車の「顔」となる正面のデザインは、そこはかとなく国鉄時代の…

さらば・・・最強電機 ~EF200形電気機関車の引退によせて~

ここ数年、3月になると必ず行われているのがダイヤ改正です。 そのダイヤ改正が実施される度に、これまで走り続けていた車両たちがその役目を終えて姿を消していく。鉄道車両も工業製品の一つであり、晴れて日差しが強かろうが、雨が降って寒かろうが、場所…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【14】最終章

かつての鉄道貨物輸送の主力であった、車扱貨物の中心的役割を担った貨車操車場。そこでの貨車入換作業にあてるために、車体重量70トン、軸重14トンという異例の重量級で誕生したDE11形は、形こそ兄貴分であるDE10形と同じでしたが、その性格は異なるもので…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【3】

4.試作機EF500 901号機の誕生 4-1 EF500 901号機の概要 EF500の試作機である901号機は、1990年8月に落成しました。 直流機のEF200が同じ年の3月に落成していることからすると、僅かに遅れての登場でした。 EF500は交直流両用の電気機関車なので、機関車…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【13】

民営化後、しばらくは大きな動きもなく、JR東日本のDE11形は高崎運転所に引き継がれた0番代が早々に廃車された以外は、品川や尾久などといった客車の配置がある運転区所で車両の入れ換え作業に使われました。 21世紀に入ると、さすがのDE11形も老朽化が進ん…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【12】

1987年の分割民営化によって、DE11形にはさらに大きな衝撃が訪れました。 操車場の機能停止・廃止によって、仕事そのものが失われました。 操車場で重量の嵩んだ貨車を押したり牽いたりする、専ら重入換作業をするための性能をもって誕生したDE11にとって、…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【5】

人よりも早く列車見張の経験を多くさせてもらうようになると、信号扱所に上がってその仕事自体を楽しむようになっていった。 列車の運行状況がほんの僅かでも違えば、機関区のような車両基地では同じ列車を牽く機関車も、出発までに待機させる留置線が違って…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【1】

1.はじめに 「君たちが機関士になったら、これを運転することになる」 貨物会社に入社する直前だったか間もない頃、そういわれて紹介された機関車。当時の最新技術をふんだんに採り入れ、夢の1,600トン列車の運転の実現に向けて開発されたEF200形電機機関車…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【4】

配属されて現場に出るようになって場数を踏むようになってくると、暑かろうが寒かろうが線路に出て作業をするのが当たり前のようになっていた。もちろん、線路内での作業は体力が必要だったし、ミスも許されないので気も張りつめて疲れはする。だが、毎回同…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【3】

あまり知られてないことだが、鉄道のダイヤは基本的には大きく変わることがないが、実はほぼ毎日のように細かい変更がされている。 例えば、臨時の団体列車を走らせる時は、本来なら列車が走らない時間にこの列車がやってくる。そのことを知らずに現場に出て…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【9】

低騒音型の試作車である1901号機は、稲沢機関区に配置され、稲沢操車場を仕事場にして入換作業に就きました。実際の運用をしながら、どの程度防音効果があるのかを確かめるためです。 排気管に取り付けた大型消音器の効果はあったものの、ボンネットに収めら…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【2】

電気区に配属されて、現場での仕事に慣れ始めた頃、その日の担務指定で割り当てられた現場へ意気揚々と出かけると、公用車から降りて工具や部品を下ろし終えると主任から、トランシーバーを渡された。 いったい何をするのかと不思議そうにしている私に主任は…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【8】

まずは試作車として、DE11 1900番代がつくられます。 試作車ですので、つくられた数はたったの1両でした。 DE11 1901は外観こそほかのDE11形と同じでしたが、内部の機構には少し手が加えられました。エンジンから出ている排気管は、通常は長いボンネットに取…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【1】

列車が行き交う本線や、車両の入れ換えがある駅や機関区の構内といった線路内に立ち入る作業は、電気区で仕事をするからには避けて通れない。信号設備は当然線路際やその中にあるし、機関車へ電気を送る電車線設備は線路の真上にあるからだ。 その作業、列車…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・現場へ向かう公用車の運転は若手の仕事【3】

横浜羽沢にある本区から梶ヶ谷貨物駅にある派出へ転属となっても、公用車の運転は変わらず若い職員である私の仕事の一つだった。本区と同様に、それまで20歳代の若い職員の配置がなかったから、私が転属して着任すると先輩方は大いに喜んでくれた。 派出勤務…

JR東日本が山手線の自動運転化を進める訳とは【3】

6.不足する乗務員をカバーするための自動運転技術 近い将来予想される運転士不足は、少子高齢化に伴う労働生産人口の減少と、国鉄時代からの運転士の大量退職という二つの現象に起因していることはお分かりいただけたと思います。 そもそも、JR東日本とし…

JR東日本が山手線の自動運転化を進める訳とは【2】

5.なぜ、山手線で自動運転を進めようとしているのか いよいよ本題に入ってきました。 前にもお話ししたように、自動運転を導入することで、運転士を乗務させる必要がなくなってきます。よしんば乗務させたとしても、彼らに車掌業務を担わせることで、車掌の…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・現場へ向かう公用車の運転は若手の仕事【2】

現場へ向かう公用車の運転は若手の仕事【2】 公用車、純粋な民間会社ならば社用車とも呼ばれる会社の持つ車。今でこそどんなに安く売られている商用車でも、それなりの装備はもっているもの。パワーステアリングにパワーウィンドウ(運転席だけでも)、エア…

JR東日本が山手線の自動運転化を進める訳とは【1】

「未来の世界では、自動車は人が運転するのでなく、すべての運転操作は自動化されます。人間は何もすることなく、快適で楽に移動ができるようになるでしょう」 1.はじめに 一昔、いえそれよりももっと昔、私が幼少の頃に読んだ「未来の世界」を描いた本には…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・現場へ向かう公用車の運転は若手の仕事【1】

現場へ向かう公用車の運転は若手の仕事【1】 鉄道会社で仕事をしていると、多くの人は現場までの移動には鉄道を使うのかと思われることが多い。まあ、会社の一番の商品は安全で確実、そして速く走る列車なので、その考えもわからなくもないが、残念ながら列…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・鉄道マンの年末年始事情【3】

鉄道マンの年末年始事情【3】 年末年始の仕事納めから正月三日までは公休日の指定を受けても、それ以外の日は通常通りに勤務しなければならなかった。日勤Ⅱ種の職場なので、基本的にはカレンダーどおりに仕事があるのは、ほかの会社と同じでもあり、そして…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・鉄道マンの年末年始事情【2】

鉄道マンの年末年始事情【2】 私が配属された電気区は「日勤Ⅱ種」だったので、原則として年末年始もカレンダーどおりに公休日が割り当てられていたが、機関区に勤める友人はといえばそうはいかなかった。 この友人は同期で、仕事に就いたのは私よりも1年前…

距離は短くても走る経路は遠回り 甲種車両輸送列車・相鉄12000系電車の場合

すっかり年の瀬になってしまいました。 2018年も残すところあと僅か。毎年のことですが、1年は本当にあっという間に終わってしまい、「こんなに早かったかな?」と思います。そして新しい年が明けるごとに「歳も取ってしまう」という現実に、思わず溜め息を…