旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

JR貨物

見た目ではブルトレ牽引機 最強電機登場までのリリーフだったF形【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ところが、すべての電機やディーゼル機に重連総括制御装置を装備しませんでした。重連運転を想定していない車両には、使いもしない装置を装備させては製造コストが割高になるのです。それだけでなく、検査…

見た目ではブルトレ牽引機 最強電機登場までのリリーフだったF形【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 特急貨物列車を牽く電機としてEF65にその役を任せることにしたものの、10000系高速化車で組成された列車は、客車列車とは異なり編成自体が重量がかさむことに加えて、連続で高速運転をしなければならない…

見た目ではブルトレ牽引機 最強電機登場までのリリーフだったF形【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1965年に登場したEF65は、牽引力をもたせながら連続高速運転にも耐えられる性能をもった客貨両用の万能機でした。当然、国鉄も寝台特急の牽引にはEF65を充てることを目論み、20系客車を引くために必要な特…

見た目ではブルトレ牽引機 最強電機登場までのリリーフだったF形【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただきありがとうございます。 筆者が鉄道マンになった1991年は、まだまだ多くの国鉄形電機があちこちで走っており、今となってはなんとも羨ましくもなるような光景が見られたものです。特に筆者が勤務した電気区の管轄には、本…

豪雪地帯から南国へ移った赤い電機の悲運 波乱と薄幸のED74【4】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info このブログでも何度かお話しましたが、国鉄は原則として独立採算制の国有公共企業体です。原則として税金を投じることはなく、運賃収入を基本として経営されることになっていました。ただし、運賃収入だけ…

九州の赤い電機 その終焉の具体化とEF510【3】

《前回からのつづき》 2001年から製造がはじめられたEF510は、すべてが日本海縦貫線用として富山機関区に集中配置され、関西圏ー北陸・東北地方を結ぶ貨物列車を中心に活躍しています。先行量産機である1号機が落成直後に新鶴見機関区に配置されて各種の試験…

九州の赤い電機 その終焉の具体化とEF510【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 確かにJR貨物にとって、手持ちの機関車を遣り繰りすることで老朽機を置き換えたほうが財政的なメリットは大きいでしょう。しかし富山区のEF510は、日本海縦貫線という長距離を走り抜け、日本海沿岸という…

九州の赤い電機 その終焉の具体化とEF510【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 つい最近、JR貨物から発表されたプレスリリースで、門司機関区配置のED76とEF81の置換えが計画が明らかになりました。いつかはその日がくるであろうことは覚悟しておりましたが、実際にそのこと…

悲運の貨車〜経済を支える物流に挑んだ挑戦車たち〜 執念の超低床・唯一実用化に漕ぎ着けたコキ71【2】

《前回のつづきから》 1994年に登場したコキ71は、コキ70に続く超低床貨車でした。形式名が示すようにコンテナ車ですが、コキ71は他のコンテナ車と比べるとかなり変わったものでした。 車体構造はコキ70を踏襲した床面高さを700mmに抑えた超低床構造で、車体…

悲運の貨車〜経済を支える物流に挑んだ挑戦車たち〜 執念の超低床・唯一実用化に漕ぎ着けたコキ71

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 以前にも、このブログではJR貨物が開発した超低床コンテナ車である、コキ70を取り上げてお話させていただきました。 blog.railroad-traveler.info blog.railroad-traveler.info 筆者が鉄道マン…

国鉄時代の鉄道管理局標記と民営化後の支社標記【2】

《前回からのつづき》 民営化から間もない頃、ほとんどのコンテナ車が国鉄から継承した車両で占められ、コキ100系の増備は始まったばかりで、非常に貴重な存在でした。特に床面が低くなったことで、載せることができるコンテナのサイズも大きくすることがで…

国鉄時代の鉄道管理局標記と民営化後の支社標記【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 国鉄〜JRの車両についての記事を書いていると、必ず気に留めることがあります。それは、旅客車であればその車両が配置される区所の電報略号と、管轄する支社の標記です。 一方、貨物会社に所属…

貨車の色にも「意味」があった【9】 同じコキ車でも特殊仕様であるが故に

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 同じコキ車でも特殊仕様であるが故に 話は随分とそれてしまいましたが、コキ5500は赤3号の塗装で増備が続きました。 一方、コンテナ輸送のメリットをさらに活かそうと、最高運転速度100km/hで運転される特…

貨車の色にも「意味」があった【8】 トリはコキ車 それは見た目で区別がつきにくいから 

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info トリはコキ車 それは見た目で区別がつきにくいから 長々と貨車の色に込められた「意味」についてお話してきましたが、最後のトリは今日の鉄道貨物の主役でもあるコンテナ車についてお話したいと思います。…

貨車の色にも「意味」があった【7】 高圧ガス用のタンク車の色は法律で指定

《前回のつづきから》 高圧ガス用のタンク車の色は法律で指定 同じタンク車でも、運ぶものによって随分と形が違います。もっとも多く見かけるのはガソリンや石油類を運ぶタンク車でしょう。他にも生活などに欠かすことのできない燃料としてはガスがあります。…

貨車の色にも「意味」があった【6】 百花繚乱のタンク車も色には意味がある 

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 百花繚乱のタンク車も色には意味がある 貨車の塗装と一言でいっても、枚挙に暇がありません。 それもそのはずで、貨車は様々な形態のものがあり、そして国鉄だけではなく貨物輸送を利用する企業が所有する…

貨車の色にも「意味」があった【4】 穀物専用のホキも最初は黒色だったが・・・

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 穀物専用のホキも最初は黒色だったが・・・ 数ある国鉄貨車の中でも、冷蔵者と並んで一際異彩を放っていたと思えるのが、穀物のバラ積み輸送用のホッパ車・ホキ2200でした。 穀物のバラ積みは比較的歴史が浅…

貨車の色にも「意味」があった【2】有蓋車・ワム80000の場合

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 最大勢力を誇った有蓋車・ワム80000の場合 鉄道の貨物輸送は、いまやコンテナが主流になりました。そのコンテナも、基本は屋根がある構造のドライコンテナで、次いでベンチレータがある通風コンテナでしょ…

貨車の色にも「意味」があった【1】冷蔵車の場合

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 いまや鉄道車両はカラフルになった・・・かと思いきや、ステンレス鋼やアルミ合金が車体素材の主流となったため、無塗装で素材の色そのまま、ギラギラと光る車両が多くなりました。車両の軽量化…

この1枚から 新鶴見に「パーイチ」がいた頃【3】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 1985年のダイヤ改正で、EF81 58号機は新製配置以来過ごしてきた酒田機関区から、新潟の長岡運転所に配置転換されました。前年の1984年のダイヤ改正、いわゆる「ゴー・キュウ・ニ」では、貨物輸送の体系を…

この1枚から 新鶴見に「パーイチ」がいた頃【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info JR貨物から常磐線関連の貨物列車を委託されたJR東日本は、田端運転所に配置されているEF81を用いて、一部の貨物列車の運転を担いました。つまり、機関車とそれに乗務する機関士はJR東日本、列車はJR貨物と…

この1枚から 新鶴見に「パーイチ」がいた頃【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 今日、JR貨物が運行する貨物列車は、すべてJR貨物が保有する機関車が牽引し、そのハンドルはJR貨物に所属する機関士が担っています。 なんだ、そんなこと今更言わなくても当たり前だ! などとい…

悲運の貨車〜経済を支える物流に挑んだ挑戦車たち〜 大きいことは良いこと・・・ではなかった【3】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info タキ64000は2両が試作されましたが、それ以後は量産されることはありませんでした。荷役設備を改良することも考えられますが、タキ64000のためだけに設備投資するのは得策ではなかったようで、ガソリン専…

悲運の貨車〜経済を支える物流に挑んだ挑戦車たち〜 大きいことは良いこと・・・ではなかった【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info タキ9900が35トン積みを実現したことで、石油類輸送用のタンク車は輸送力を強化することができました。が、タンク車を保有する荷主はこれでは満足せず、さらなる効率的な輸送を模索していくことになります…

悲運の貨車〜経済を支える物流に挑んだ挑戦車たち〜 大きいことは良いこと・・・ではなかった【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 かつての鉄道貨物輸送は、運ぶ物の形状に合わせて多くの貨車がつくられました。まさに「百花繚乱」という言葉がぴったりで、趣味者を飽きさせないのには十分すぎるほどと言ってもいいでしょう。…

この1枚から 首都圏に「ロクヨン」が走っていた【4】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 愛地区に配置になった1041号機は、首都圏に残っていたEF64牽引の運用に入るために、長躯東海道本線を走る姿も見られました。中央西線は様々な事情でEH200が入れないこともあり、EF64 1000番代の独壇場でも…

この1枚から 首都圏に「ロクヨン」が走っていた【3】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 東海道本線を高速で行き来するという運用は、機関車にとっては相当の負担で、経年劣化を促進していてしまいます。その例の一つとして、EF66が最たるものといえます。 EF66は特急貨物列車用として、常に高…

この1枚から 首都圏に「ロクヨン」が走っていた【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info EF64 1000番代は1987年の国鉄分割民営化の当時は、最も車齢が長い1001号機でも10年に満たない7年であり、最終号機の1053号機に至っては5年しか経っていませんでした。当然、余剰機とはなることはなく、全…

この1枚から 首都圏に「ロクヨン」が走っていた【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 毎年春に行われるJRのダイヤ改正では、列車ダイヤこそ基本的に大きく変わることはありませんが、車両の運用についていえば大きく変化することが多々あります。特に貨物列車の場合、列車の運転時…

この1枚から H級機は良くも悪くも・・・【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 機関車が重連で牽く列車ではどうかというと、当然重量の嵩む機関車が2両も走るのですから、旅客会社は貨物会社にその分の線路使用料を請求することができます。ただでさえ安価に抑えられている線路使用料…