旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

JR

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(12)

今回の重大インシデントでは、輸送指令の判断ミスも原因の一つと考えられています。しかし、指令業務に携わる職員の低年齢化も、現場に携わる中堅・ベテラン職員から懸念する声も聞きました。 前回までは blog.railroad-traveler.info 国鉄からJRへ移行した…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【6】最終章

2009年のダイヤ改正で、ついに東京-九州間の寝台特急列車は長い歴史幕を閉じました。それと同時に、下関の車両たちは定期の運用を失います。仕事を失った車両たちは当然余剰として扱われ、10両のうち8両がその年に廃車となりました。1986年に花形の運用を手…

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(11)

3.人事システムの見直し この項立ては、コラムを書き始めた当初は書くかどうか非常に迷ったところです。というのも、人事というものは経営的な観点も必要なことで、筆者(私)自身は職がどんなに変わっても現場で働き続けることに拘っているので、こうした…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【5】

需要が増えればそれに応えて列車を増発しなければなりません。しかも、できれば高速で、1列車あたりの連結両数も多ければ多いことが望まれます。そうなると、手持ちのEF66形では足りず、かといってEF65形では力不足も予想されます。EF66形登場前夜の特急貨物…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【4】

そんな高速で重量のある貨物列車を牽くことを至上命題に誕生したEF66形に大きな転機が訪れます。 貨物列車としての花形の仕事が次々に失われていた1985年、あろうことか東京-九州間の寝台特急の先頭に立つという仕事が舞い込んできました。これには私も驚き…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その20「最後の添乗実習、門司-福岡貨物ターミナルの高速貨物列車」【前編】

◆最後の添乗実習、門司-福岡貨物ターミナルの高速貨物列車【前編】 門司機関区での研修勤務も終わりに近づいた頃、最後の添乗実習で門司-福岡貨物ターミナル間の高速貨物列車に乗ることになった。およそ100km、時間にして1時間強という長い行程だ。 門司…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【3】

こうして従来の機関車と一線を画する性能とデザインを与えられたEF66形は、1968年に量産機となる1号機~20号機が製造され、下関をねぐらに活動を開始します。 前回までは blog.railroad-traveler.info 最初の仕事はもちろん、特急貨物列車の牽引でした。EF66…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その19「臨時検査入場・・・その訳は」【後編】

◆臨時検査入場…その訳は【後編】 ところがその後、まさか自分に降りかかってくるなんてこれっぽっちも考えてなかった。 検査長から臨時入場する機関車を聞いて、人身事故を起こした車両は検査と修繕をしなければならないというのは本当なんだなと知った。そ…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【2】

EF66形もまた貨物列車の課題解決のために開発されました。 当時の貨物列車は、特急貨物列車でも最高速度が85km/hが限度で、汐留(東京)-梅田(大阪)間を結ぶコンテナ貨物列車は10時間55分の所要時間がかかっていました。 これを、最高運転速度を一気に100…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その19「臨時検査入場・・・その訳は」【前編】

◆臨時検査入場…その訳は【前編】 機関区の検修科は台車検査を担当する班と、交番検査を担当する班、そして仕業検査を担当する班に分かれている。仕業検査は日々の検査なので、日中だけではなく夜間も作業をするので泊まり勤務となるから、作業ダイヤは別枠で…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【1】

数ある鉄道車両の中には公式・非公式ともに、愛称をつけられるものも少なくありません。その由来は車両の性能からつけられたものや、特徴的な形状からつけられるもの、あるいは看板列車として走ることを運命づけられてつけられるものなどなどたくさんありま…

悲運のハイパワー機 期待を一身に背負ったはずが【6】最終章

2017年は2号機と17~19号機を除いて廃車となり、ついに2018年にはすべての定期的な仕事から外されてしまいました。製造からたった25年足らずで、現役でいるのはたったの4両。しかも定期的な仕事をもたず、吹田機関区で留置されたままの毎日なってしまいまし…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その18「機関区での整備…台車検査と臨時検査」【中編】

◆機関区での整備…台車検査と臨時検査 【中編】 前回までは門司機関区で研修中に、もう一台の機関車が台車検査で入場してきた。 今度は電気機関車のEF81形だ。やはりDD51形の時と同じように台車は車体から離されて、油脂や消耗品などは交換、車輪や台枠はしっ…

悲運のハイパワー機 期待を一身に背負ったはずが【5】

実力を発揮できるまでもてる性能を抑え、ただひたすら軽い列車を牽き続けてきたEF200形は16年目にして日の目を見ることができました。 しかし、それは長く続くことはありませんでした。 2008年には、パワーを抑えた後輩であるEF210形と共通の運用、つまりEF2…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その18「機関区での整備…台車検査と臨時検査」【前編】

◆機関区での整備…台車検査と臨時検査【前編】 前回までは 自動車に法定12か月点検と車検があるように、鉄道車両にも法定点検がある。車検に相当する全般検査は小倉車両所のところでもお話ししたように、文字通りオーバーホールになる大がかりな検査なので、…

悲運のハイパワー機 期待を一身に背負ったはずが【4】

前回までは さて、こうして就役した21両のハイパワー機、EF200形。 多くの期待を一身に背負いながら、東海道・山陽本線の高速貨物列車牽引の運用に就きました。ですが、開発当初の目的であった1600トン列車の高速運転は実現できず、当面は在来のEF66形でもこ…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その17「門司機関区での添乗実習・・・日田彦山線のDD51」【後編】

前回までは ◆門司機関区での添乗実習・・・日田彦山線のDD51【後編】 東小倉駅を通過し、列車は小倉駅へと入っていった。小倉駅では鹿児島本線と日豊本線が分かれていく。列車はたくさんの線路と分岐器がある構内を、相変わらずのんびりとした速さで通過し…

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(10)

2.列車無線システムの見直し 前回までは・・・ 列車の運転中に事故など異常事態が起きた時に、現場の乗務員などと輸送指令が連絡を取り合う手段として、現代の鉄道のほとんどで列車無線が整備されています。 もともとは常磐線で起きた三河島事故を契機に整備…

悲運のハイパワー機 期待を一身に背負ったはずが【3】

新鶴見機関区を住処にしたEF200形の試作機901号機は、廃棄目前のコンテナに死重を積み込んだコンテナ車を牽いて試験を続けます。当初の予定どおりに6000kWという出力の余裕からくる性能のおかげで、20両編成1000トンの列車を余裕で牽くことができました。さ…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その17「門司機関区での添乗実習・・・日田彦山線のDD51」【中編】

◆門司機関区での添乗実習・・・日田彦山線のDD51【中編】 福岡貨物ターミナル駅で乗ったDE10形とは違い、DD51形は本線用の機関車で、運転台のある中央のキャブも比較的大きめだった。そして、DE10形では運転台に入るために一度エンジンが納めら…

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(9)

91.社員の教育体系の根本的な見直し【2】 今回の重大インシデントではコミュケーション不足を指摘しました。その指摘の中で、コミュニケーション能力を開発する訓練に航空業界で用いられるCRM(Crew Resource Management)プログラムを取り入れることが考…

悲運のハイパワー機 期待を一身に背負ったはずが【2】

国鉄時代設計のリピートオーダー機で当座をしのぐ間、本命ともいえる機関車の開発を続けることになります。 その目標性能は1600トンの重量を牽いて高速で走ることができる性能と、25‰の坂で1100トンの列車を0km/hから引き出すことができるパワーをもつことで…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その17「門司機関区での添乗実習・・・日田彦山線のDD51」【前編】

◆門司機関区での添乗実習・・・日田彦山線のDD51【前編】 2回目の添乗実習はディーゼル機関車に乗務することになった。関東で生まれ育った私にとって、真っ赤な交流電機機関車だけでも珍しかったのに、ディーゼル機関車とはこれまたビックリだった。 日田…

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(8)

最後に、今回のように一歩間違えれば台車枠折損による脱線事故、最悪は脱線転覆事故を起こす可能性があった重大インシデントを二度と起こさないための対策について提言したいと思います。 現在、重大インシデントについては国の運輸安全委員会が事故調査中で…

悲運のハイパワー機 期待を一身に背負ったはずが【1】

「将来、ドライバーになったらこれを運転することになる」 私が鉄道マンになった頃、その機関車を目の前にして先輩たちからそういわれました。 真新しい車体は眩しいくらいに輝いていて、それまでの国鉄形とは異なり直線的でスマートなデザイン、そして鮮や…

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(7)

2.否めない技術の劣化(3) 次に輸送指令の技術について述べたいと思います。 前項で、「のぞみ34号」が重大インシデントを起こした当時の輸送指令の対応については述べたとおりです。 輸送指令がある指令所には、列車の在線状況を表示する表示盤、そして…

消えゆく「国鉄形」 老いてもなお「冬の生活」を支え続ける【後編】

1987年の分割民営化で、全車がJR貨物に車籍が継承され、国鉄時代と変わらぬ石油製品を運び続けていきます。ところが、1989年から再び製造が再開されました。旧式化した在来のタンク車の置換用として製造されたグループは、さらに改良がおこなわれて積載荷…

消えゆく「国鉄形」 老いてもなお「冬の生活」を支え続ける【前編】

前回の「目立つことなく縁の下を支えた「山男」たち」で取り上げたEF64形電機機関車の話の中で、彼らが牽き続けた中央本線の石油輸送列車は、後継のEH200形電機機関車に代わっても変わることなく運転されています。 その石油輸送列車のもう一つの主役……いえ…

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(6)

2.否めない技術の「劣化」【2】 次に車両の検査についても考察していきます。 鉄道車両は一定の周期または期間ごとに所定の検査をすることが義務づけられています。中でも自動車の車検に相当する「全般検査」は車両を部品単位にまで分解し検査をする、文…

消えゆく「国鉄形」 目立つことなく縁の下を支えた「山男」たち【後編】

分割民営化で79両中68両が貨物会社へ、残りは旅客会社へ引き継がれました。 やはり、貨物列車がその仕事の中心で、国鉄時代と変わらずコンテナ貨物列車や、首都圏から信州への石油輸送列車を牽き続けます。こうした仕事は、後継のEH200形電機機関車が登場す…