鉄分の濃い子どもたちにとって、鉄道のことを知るのはとても楽しいものです。
かくいう私自身も、小学生の頃はいま思い返すだけでも「大丈夫か?」と声をかけたくなるくらい、夢中になっていました。そして、好きなことに関しては徹底的に調べ、そして知識として吸収していきました。
でも、その知識は現実世界では役に立ちませんでした。というより、「そんな知識、なんの役にも立たん!くだらない」とまで言われる始末。価値観をすべて否定され多様な気がします。
しかし、ほんとうに役に立たない知識なのでしょうか?
いまの私は、自信をもって「それはない!」と言い切れます。
え?大した自信じゃないかって?
それはそうです。生きている中で得た経験や知識、それがまったく役に立たないことなんてありません。
数多くの仕事を経て、いまの仕事に就いているのですが、人を教えて育てるという仕事では、鉄道マン時代はもちろん、ハイヤードライバー、そしてシステムエンジニアで得たことが大いに役に立っています。
そこで、鉄道が大好きな子どもたちが、好きだからこそそこで得た知識を、学校での学習に役に立つ(?)ことができるように、どのように応用すれば良いかをお話ししていきたいと思います。
1.レール一本の長さと、学校のプールの長さは同じ
夏になると、学校ではプールの学習があります。
体育の学習では、夏に必ず水泳の(低学年は「水遊び」です)学習があります。
そのプール、どこの小中学校にもあると思いますが、その長さはご存知ですか?
学校の授業で使うプールのほとんどは、25mです。端から端まで泳いだとしても、その距離は25mなのです。
もっとも、小学校の間に25mを泳ぐことができれば一番いいのですが、中には水とふれ合うことが難しい(よく「苦手」といいますが、「苦」という字の意味を考慮し、「難しい」といいます)お子さんもいると思います。が、無理に泳げるようにならなくても大丈夫。中学校に進学して、成長したことで克服できることも多いのです。
さて、話は少し脱線してしまいましたが、その脱線させないようにするために鉄道にはレールが敷かれています。
このレール。一本あたりの長さは、JISで規格が決まっています。
その長さは、今日の多くの鉄道路線で使われている1mあたり50kgの重さがある「50N」レールや、新幹線を始め輸送量の多い幹線で使われる1mあたり60kgの重さがある「60kg」レールは、どちらも一本は25mなんです。
列車が線路の上を走る時に「ガタンゴトン」と、継ぎ目の上を車輪が通過する時に立てるあの音は、一定のリズムで鳴り響きますよね。あのリズミカルな音は、レールの長さがきちんと決まっているからこそ奏でられるのです。
2.「何倍」かを考える時に使えます
教科書チックですが、よくこういう課題をつくります。(それが仕事なので(;´Д`))
答えはそれほど難しい課題ではありませんが、初めてこの課題に取り組む子どもたちにとっては、意外にもハードルは高いかもしれません。
もちろん、学習に興味関心があれば、この手の課題は比較的楽にクリアできます。
しかし、興味関心がないと、いくら簡単だといっても、取り組むこと自体が難しくなってしまいます。
そこで・・・好きなことに置き換えてみると、あら不思議。それまで嫌がっていたのが、楽しそうに取り組むようになります。
私の場合、課題をこのように変えていきます。
どうでしょうか。
鉄分が濃い子どもにとって、リボンをレールに置き換えると少しは興味が湧くのではないでしょうか。
鉄道に興味がなくても、レールの長さが25mあるということを知る人はあまりいないでしょう。でも、そんな雑学的な知識をちょっと入れるだけで、退屈そうにみえる算数の課題も、ちょっと面白く感じると思います。
図に表すと、上のようになります。1本が25mなので、2倍では50m、3倍では75mです。
レールを使って何倍なのか、そしてその倍で長さは何mなのかを求めるときに理解しやすいのは、25mという比較的分かりやすい数であることも一つです。半端な数だと計算もしづらく、かけ算九九をしっかり理解していないと、これはなかなかハードルが高いもの。
でも、25mならば単純に足し算しても求めるのは容易です。何倍というとき、同じ数のものをどんどんたしていけば求めることができ、それがかけ算につながるのだということも分かりやすいかもしれません。