いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。
2024年もそろそろ終りが近づいてきました。今年は連日35℃、場所によっては40℃を超える暑さに見舞われ、地球温暖化ということを身近に感じた年だったと思います。そんな「度を超えた」暑さも10月に入ると和らいだものの、この記事を執筆している11月に入った時点でも25℃前後と高い気温の日が続いています。
そんな異常な暑さも11月の終わりから12月に入れば、きっとなくなることでしょう。とはいえ、近年の夏の暑さに比例して、冬の気温も高めの日が多くなり、かつては日本の冬、特に日本海側から東北、北海道にかけては雪が降り積もるのは当たり前だったのが、ほとんど降らないということさえ多く見られるようになってしまいました。
冬に雪が降り積もらないことは、私達の生活にも大きな影響を及ぼします。降雪地帯ではスキー場も多くあったのですが、近年の「雪不足」もあって、スキーを楽しむことが難しくなるなどして、その経営自体が危ぶまれていて中には廃業に追い込まれたなどという話を耳にします。
こうした経済活動を難しくするばかりでなく、降雪地帯、特に山に雪が降り積もらないということは、夏場の水不足を招くなど、人間の生活の根本にも大きな影響を及ぼすので、温暖化は食い止めるのは待ったなしの状況であると言えます。
そんな今ではあまり雪がふらなくなった降雪地帯、特に北陸から上信越にかけては「豪雪地帯」と呼ばれるところが多く存在します。冬になれば雪が降るのは当たり前、積雪量も30cm以上、場合によっては100cm以上も降り積もる場所もあり、人々の生活に大きな影響を与えます。そのため、玄関を開ければそこは雪だらけ、道路に出るにも一苦労、雪かきは日常茶飯事ということになるのです。
国鉄が運用した雪かき車は、事業用貨車として様々な方式があった。もっとも基本となるラッセル式はキ100形として降雪地に多く配置されたが、ラッセル式だけでは困難な豪雪地帯には、ロータリー式のキ650形などが配置されて「キマロキ編成」を組んだ強力な排雪列車が運行された。その一方で、操車場などの広大な構内をもつ鉄道施設では、キ700形のようなジョルダン式の雪かき装置をもつ車両が配置されていた。(キ700形750番台キ765 三笠鉄道記念館 2016年7月26日 筆者撮影)
そのような環境で、日本列島上空への寒気の入り方や、気圧配置によっては全国で大雪が降ることになり、とりわけ豪雪地帯は普段以上に雪が降り続けた結果、道路の除雪が追いつかない状態に陥るなどして、孤立する場所も発生するほどです。
大雪が降り、積雪が多くなると鉄道にも大きな影響を及ぼします。線路が雪で覆われてしまえば、列車は走ることができません。そのため、こうした地域では保線区の職員を中心とした除雪作業を欠かすことができず、多くの人がその作業に携わっていました。また、除雪がされていたとしても、駅構内などにある転轍機が気温の低下によって凍結する恐れもあり、電熱器を使った融雪装置を備えた転轍機を設置したり、灯油を燃料にしたカンテラと呼ばれる融雪器を使ったりして、不転換を防ぐなどして、可能な限り安全で確実な列車の運行を確保しようと弛まぬ努力がなされていたのです。
しかし、すべての鉄道線路の除雪を人力のみで行うのは現実的ではありません。そこで、除雪用の機器などを装備した雪かき車がつくられ、動力車に推進あるいは牽引されて、人力と比べて早く、そして効果的な除雪をすることができたのです。
多くの雪かき車は動力を持たない事業用貨車として分類されていました。ラッセル式のキ100形は、蒸機の前位に連結して後ろから押してもらう推進運転をすることで、線路に積もった雪を除雪翼で雪をかき分けて線路上に積もった雪を取り除きました。言い換えれば蒸機に取り付けるラッセルヘッドのようなもので、全国の豪雪地帯に配置されて、冬季の除雪列車として使われました。
ほとんどの場合は、キ100形の能力で十分な効果を得ることができました。しかし、豪雪地帯ではキ100形をもってしても刃が立たないほど多くの雪が降り積もることもありました。また、ラッセル式のキ100形を使った除雪では、それを何度も繰り返すことで、線路の両側にかき分けた雪がたまっていき、雪の壁ができてしまうこともありました。
そうした場合、キ100形がかき分けることでつくられてしまった雪の壁が、何らかの原因で崩壊してしまう恐れもありました。万一、雪の壁が崩壊してしまうと、再び線路は雪で覆われてしまいます。営業列車が通過しているところで除雪した雪が崩壊してしまうと、雪で列車が押し倒されるなどして、最悪の場合は脱線転覆事故につながってしまいます。そこで、除雪したことでできた雪の壁を取り崩して、線路から離れたところへ雪を跳ね飛ばすという方法が考えられました。
《次回へつづく》
あわせてお読みいただきたい