旅メモ ~旅について思うがままに考える~

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国鉄の置き土産~新会社に遺していった最後の国鉄形~ 「魔改造?」出自が変わり種で国鉄最初で最後の1M方式旅客電車・123系【13】

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《前回からのつづき》

 

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 クモハ123形0番台は、その姿形は改造時期や施工工場、そして転用先などがそれぞれで異なるため、わずか6両しかないにもかかわらず、その外観は大きく異なるという異色の形式になりました。

 その一方で、0番台の6両は種車はすべてクモニ143形と同じでした。そのため、主制御器や主電動機、そして回路構成も同じであるため、外観や車内の接客設備が異なる以外は同じ性能でした。

 国鉄としては、クモハ123形0番台を投入する計画になった線区以外にも、同じような環境や実態をもったところへは、新性能1M方式電車を投入して新会社に継承させようと考えたことでしょう。

 その中でも身延線は、同じ静岡鉄道管理局管内にある飯田線とともに、1980年代初めの頃まで旧形国電が残っていた、「旧国最後の砦」のような存在でした。さすがに80年代に入ってまで戦前製の旧性能電車を使い続けるのは得策ではないと考え、できるだけ早く新性能電車への置き換えを模索し、抑速ブレーキを備えた新性能近郊形電車である115系2000番台を新製して投入、115系の車体と設備に更新したアコモ改造車である62系を除いて置き換えました。

 ところが、身延線区間によって輸送量が極端に異なる性格をもっていました。

 富士駅富士宮駅間は輸送量も比較的多く、4両編成を組んだ列車が運行されていました。この点では、115系を運用に充てるのは適したもので、特に朝夕のラッシュ時間帯には運転本数も多めに設定されていました。

 

 

身延線もまた、1980年代初めの頃まで旧形国電が多く運用されていた。一部は72系をアコモ改造して115系と同等の車体を備えた62系も投入されたが、それでも吊り掛け駆動の旧性能電車であることには変わらず、新性能電車の投入が待たれていた。1981年になってようやく115系が新製投入され、旧形国電の淘汰が始まった。一方で、身延線富士宮を境に輸送量が極端に異なるため、これ以北では115系4連では輸送力が過剰になっていた。1984年に3両編成に短縮されたものの、輸送量は減少する一方であったため、これに見合った車両を導入することにより適正化を図ることになる。123系40番台はこうしたことを背景に、輸送量の小さい富士宮以北の輸送を担うものとして、余剰車となっていたクモユニ147形を改造することで製作、静岡運転所に配置された。(©)

 

 

 富士駅甲府駅間の全線を通して運行する列車も設定され、この115系4両編成が充てられました。ところが、富士宮駅以北になると極端に輸送量が小さい閑散線区になるため、115系4両編成では輸送力が過剰になってしまいました。旧形国電を運用していた時代は2両編成を組んだ車両を充てていたので特に問題にはならなかったようですが、新性能化後はMM’ユニットを組むことが絶対だったので、この方式の車両での問題が顕在化した形になったのです。

 こうしたことが背景になり、身延線にも輸送力を最適化した1M方式電車を投入する必要があったのです。

 しかし、0番台の種車となったクモニ143形は全部で8両製作されたものの、このうち2両は事業用車(牽引車)としての改造を施し、クモヤ143形に編入して50番台に区分して既に投入していたため、これを種車にクモハ123形を増備しようとしてもできなくなってしまいました。

 つまり、クモニ143形の“在庫が尽きた”のでした。

 他方、同じ新性能1M方式電車で余剰となっていたものもありました。飯田線の郵便荷物輸送用に101系から改造して製作されたクモユニ147形は、国鉄の荷物輸送が廃止になったことで、その役目を失っていました。

 もちろん、これを活用しない手はないと国鉄も考えたことでしょう。

 ところが、クモユニ147形は形式名が示す通り、0番台の種車となったクモニ143形とは異なる部分がありました。クモニ143形は完全な新製であったのに対して、クモユニ147形は101系を改造して製作されました。この点では、クモヤ145形と同じで、多くの機器などを種車となった101系からの流用でした。

 主電動機は出力100kWのMT46形を再利用しました。しかし、この主電動機では143系が装備していたMT57形のように、高速で回転させることは難しいものがありました。MT57形は端子電圧を750Vとすることで、高速に回転することを可能にし、同時にMT54形と同等の性能を確保しました。

 しかし、MT46形の端子電圧は375Vであるため、750Vを流してしまうと瞬く間に焼損してしまいます。そこで、端子電圧を変えることはせずにMT54形と同等の性能を確保するために、4個永久直列接続にしました。これは、主電動機を常に直列接続するもので、通常であれば直列・直並列、並列と接続を変えますが、この回路の変化をさせないことで、過電流を防ぐとともに低速時のトルク力を高め、ある程度の高速運転を可能にし、歯車比を高速寄に設定した近郊形電車や急行形電車と併結することを可能にしました。

 主制御器は101系が装備していたCS12A形ではなく、新たに設計された電動カム軸式のCS50形を搭載しました。これは、101系が通勤形電車であることや、主電動機の直並列制御をしていたのに対し、145系直並列制御をしないため、新たな主制御器となったのでした。

 ところが、これでは勾配の多い飯田線での運用には不向きです。CS50形は発電ブレーキを使わないことを前提とした主制御器であるため、そのままのシステムでは下り勾配を走るときに、摩擦ブレーキだけを使うことになってしまいます。

 そこで、クモユニ147形は発電ブレーキを使うことができる、CS54形を搭載しました。この主制御器は飯田線の新性能化で製造された119系のものと共通であるため、新たに開発する必要もなく、検修においての検査方法も同じになり、交換用の部品も共通になるので、保守や修繕のコストを削減し合理化にも寄与しました。

 

《次回へつづく》

 

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