旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

国鉄の置き土産 瀬戸内を渡るためにつくられた国鉄最後の新系列・213系【1】

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 昨年(2025年)の夏が異常に暑かった反動なのか、この冬の厳しさはいつにも増して堪えるものがあります。というより、寒気が日本列島を覆う日が多く、日本海側や北海道では厳しい冷え込みとともに、大雪に見舞われています。

 これだけ厳しい寒さだと、体中の筋肉も硬くなってしまうので足腰にきてしまい、それはもう肩こりや腰痛との闘いです。もっとも齢50年以上にもなれば、体のあちこちにガタがきても不思議ではないのですが、そのまま放っておけばもっとひどくなるので、時間があれば体を動かしておきたいものです。

 さて、この厳しい寒さと大雪によって、鉄道もダイヤ通りに運行することが難しくなり、多くの人々に影響を及ぼしています。それでも、今では本州と北海道、そして四国、九州はすべて線路がつながっているので、気象による影響は最小限に抑えられているといえます。

 かつては本州とこれら三島の間は線路はつながっていなかったため、国鉄やその前身である鉄道省が運航する鉄道連絡船によって結ばれていました。

 もっとも早く線路がつながったのは山陽本線下関ー門司間の関門トンネルでした。関門トンネルが1941年に開通するより前は、関門連絡船とその補助航路となる関森連絡船によって輸送していました。主航路となる関森連絡船では旅客輸送と貨物輸送の両方を、関森連絡船では貨物輸送が行われ、ある程度の安定性が保たれていました。

 関門トンネルが開通してから後は、国鉄が運航する鉄道連絡船は青森と函館を結んだ青函連絡船と、宇野と高松を結んだ宇高連絡船、そして今も残る山陽本線宮島口と宮島の間を結ぶ宮島連絡船の3つの船舶航路が運航され、海を隔てて鉄道を利用する人々や貨物を運んでいました。

 

本州と北海道、四国、そして九州の間は海によって隔てられているため、鉄道をはじめとした陸上交通はつながってなく、船舶による連絡が主だった。本州ー九州間は関門トンネルの掘削と開通によって解決されたものの北海道と四国は変わらず、鉄道は国鉄が運航する連絡船によって結ばれていた。乗客は一度列車から降りて連絡船へ乗り換え、貨物は貨車に載せられたまま連絡線に積み込まれるなど、不便であることや時間とコストもかかっていた。加えて青函連絡船は洞爺丸事故を、宇高連絡船は紫雲丸事故を起こし、多くの犠牲者を出すことになった。このことから、青函トンネルと本四連絡橋の構想が出され、建設へと動き出すことになる。(©Nishioka, CC0, via Wikimedia Commons)

 

 このうち、宮島連絡船を除いて青函と宇高の2つの航路は、いずれも異常な気象条件のもとによる海難事故を起こし、多くの犠牲者を出してしまいました。

 前者は猛烈な台風が接近していたにも関わらず、気象予報の精度の低さや予想そのものが見当外れとなってしまったため、波浪から船舶を守るために函館港外に錨泊をして運航を見合わせるために出港したものの、当時運航されていた車両渡船の構造的な欠陥と、予想以上の波浪によって旅客を乗せたまま転覆してしまった「洞爺丸事故」でした。この事故では1100人以上の犠牲者を出すという、当時としては海難事故史上最悪のものとされ、1919年に沈没事故を起こしたかの有名な「タイタニック」を凌ぐ規模のものでした。

 この洞爺丸事故を受けて、津軽海峡にも関門環境と同様に鉄道で直接往き来できる構想が持ち上がります。橋あるいは海底トンネルを建設する構想が持ち上がりますが、その矢先である1955年には、宇高連絡線の紫雲丸と第三宇高丸が衝突する事故を起こしてしまいました。

 紫雲丸には修学旅行の帰途についていた小中学生が乗船しており、犠牲となったほとんどが将来のある子どもたちだったことは、社会に大きな衝撃を与えます。事故の原因が視界がほとんどきかない濃霧であったこと、そのような中で航路からは外れ法令で定められた速度から過大に超過していたこと、マリンレーダーのみに頼り運航乗務員による見張りが不足していたことから、国鉄による船舶の運航体制にも大きな批判と疑問が起こりました。

 これらの悲惨な事故の結果、洞爺丸事故と同様に本州と四国を連絡船ではなく、直接道路と鉄道によって陸続きで結ぶ構想が具体的なものとして起こり、本州四国連絡橋として建設が計画されていくことにつながりました。

 

《次回へつづく》

 

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