旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

国鉄の置き土産:キハ38形が繋いだ非電化路線のバトン【4】

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4.関西本線(大和路線)が近鉄に敗れた理由:国鉄の冷遇と気動車時代の実態

《前回からのつづき》

 

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◆買収路線ゆえの冷遇と放置

 大和路線(関西本線)も奈良線と同様に、もともとは関西鉄道によって建設・開業した私鉄の鉄道線でしたが、鉄道国有法によって国有化された歴史がありました。関西本線という「本線」を名乗る幹線鉄道という位置にあったため、都市近郊輸送の路線というよりは、名古屋発着の長距離列車を運転する方に重きをおいていたこともあってか、短距離輸送はあまり顧みてこなかったといえます。

 加えて、奈良線と同様に近鉄奈良線・生駒線が並行していました。近鉄は大阪と奈良を結ぶ鉄道として、近鉄自慢の車両を使った特急列車を数多く運行していたことや、電化されていたこともあって近距離輸送にも対応したダイヤを設定したいました。

 そのため、多くの利用客は古びた客車や気動車で運転される関西本線よりも、最新の設備を誂え、快適性と速達性を両立したこともあり、利用客の人気は国鉄よりも近鉄の方に傾いていたのは多くの人が納得することといえると思います。

 

国鉄が関西本線で気動車による列車を運行し始めた頃、近鉄は既に電車による多頻度運転を行っていた。加えて特急用車両による特急も運転していたため、所要時間、サービス水準は大きく差が開いていた。慢性的な赤字に苦しむ国鉄は、京阪神の観光需要よりも並行する私鉄との競争に資源を集中させる方針であったことも、関西本線などの設備投資が後回しにされたとも考えられる。後に関西本線も電化されるが、それでも103系といった通勤形電車が主流で、観光需要よりは通勤通学といった地域輸送に力点を置いていた。後に分割民営化されるとその方針は一転し、「大和路快速」の新設など大幅な改善に動き出した。(出典:写真AC)

◆押し寄せる通勤ラッシュと旧型車の限界

 こうした国鉄の投資の遅れは、関西本線(大和路線)や奈良線の沿線に住宅開発が進み、大阪や京都のベッドタウン化が進むにつれて通勤通学の需要が高まると、輸送力、特にラッシュ時の乗降時間の面で不利な従来の気動車では対応が難しくなっていきます。とりわけ一般形気動車は乗降用扉が2か所しかなく、しかもその扉は幅1000mmの片開き戸であるため、ラッシュ時の乗降を難しくしていました。

 さらに、関西本線の一部の列車は蒸機牽引の列車も運転されており、これを置き換える必要性もありました。気動車と比べて燃料費も高く、必要とされる設備も多いことからコストが割高でした。輸送量が低めである関西本線では、電化をしてもイニシャルコストに見合わないと考えられたことも、新型気動車の投入を後押しすることになります。

 こうして、キハ20系で成功した軽量車体をもつとともに、国鉄制式の気動車用ディーゼルエンジンを搭載、さらに関西本線など都市近郊における通勤通学輸送に対応できる構造をもった新たな気動車として、キハ35系が製造されました。

 

 

《次回へつづく》

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