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国鉄の置き土産:キハ38形が繋いだ非電化路線のバトン【12】

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12.バス用冷房装置を鉄道へ──AU34形とAU75形の構造・性能比較

この記事では、キハ38形に搭載されたAU34形冷房装置の仕組みと、国鉄標準のAU75形との違いを、電源方式・構造・冷房能力・保守性の観点から詳しく解説します。  バス用冷房装置を鉄道車両へ転用した背景や、サブエンジン式がもたらしたメリットについても取り上げます。
■ AU34形:バス用冷房装置を鉄道車両へ

 この冷房装置はAU34形と形式名を与えられました。従来の気動車に使われてきた発電セットによる電源供給を必要としたAU13形ではなく、走行用エンジンとは独立した冷房装置専用のエンジンを冷蔵装置内に内蔵し、その動力によってコンデンサーを駆動させることで冷房装置が作動するものでした。自動車用の冷房装置は大きく分けて走行用エンジンの動力をつかった機関直結式と、走行用エンジンとは別に冷房駆動用のエンジンを使う独立機関式(サブエンジン式)がありますが、AU34形は後者であり、冷房装置に駆動用エンジンを実装し、これを使ってコンデンサーを作動させていました。

 このAU34形は床下に設置され、作り出した冷気はダクトを通して車内に送り出される構造としました。また、従来の発電セット方式では編成中に必ずこの装置を実装した車両が必要であり、編成単位で冷房装置を作動させるために必要な数の車両を組み込まなければならなかったのに対し、AU34形は冷房装置自体に駆動用エンジンを装備するため、1両単位で使うことができるようになり、編成を組むときの自由度が大きくなったのでした。

項目

AU75形(国鉄標準冷房装置)

AU34形(キハ38形・バス用流用)

用途

国鉄電車・気動車の標準冷房装置

キハ38形専用(バス用冷房装置を鉄道向けに転用)

電源方式

電気式(外部電源が必要)

サブエンジン式(冷房装置内蔵エンジンで駆動)

電源供給源

・電車:主変圧器二次巻線 ・気動車:発電セット(三相交流440V)

冷房装置内蔵の小型エンジンでコンデンサーを駆動

冷房能力(目安)

42,000 kcal/h(車両全体を強力に冷房)

22,000 kcal/h(バス用相当・1両単位で十分な能力)

冷房方式

電動コンプレッサー方式

サブエンジン駆動コンプレッサー方式

重量

重い(発電セット含め車両重量増)

軽量(バス用機器のためコンパクト)

燃費への影響

発電用エンジンの燃料消費が増える

冷房専用エンジンの燃料消費のみで済む

編成単位での使用

発電セット搭載車が必須 → 編成単位で冷房可否が決まる

1両ごとに冷房可能 → 編成自由度が高い

保守性

国鉄標準で整備性が高い

民生品のため部品調達が容易・低コスト

導入コスト

高い(専用設計・専用電源が必要)

低い(バス用汎用品を流用)

採用車両

113系・115系・キハ40系など多数

キハ38形のみ

特徴

・国鉄の信頼性重視設計 ・重量・コストが大きい

・軽量・低コスト ・1両単位で冷房可能 ・国鉄標準からの脱却を象徴

キハ38形の車内。冷房装置は床下のサブエンジン式であるAU34形が採用されたため、従来のAU75形のように車両中央部には空気取入口のルーバーはなく、冷気を送り出すための小型のルーバーが並んでいる。AU34形は冷却能力が低いため、冷房効果を高めるために扇風機が設置されていた。(キハ38 1〔千マリ〕 久留里線 2012年1月5日 筆者撮影)

 

《次回へつづく》

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