14.キハ38形のDMF13系エンジンと再利用技術──国鉄末期に生まれた効率化の結晶
| この記事では、キハ38形が搭載したDMF13系エンジンの特徴と、国鉄末期に行われたコスト削減・効率化の工夫について整理します。予燃焼室式のDMF15系とは異なる直接噴射式の採用、軽量で高効率なDMF13HS形の性能、さらに台車やブレーキなど廃車発生品の再利用まで、キハ38形には新会社の負担を軽くするための技術的判断が随所に盛り込まれていました。 |
《前回からのつづき》
■ DMF13系エンジン:船舶用高速エンジンを鉄道向けに転用
キハ38形が搭載したDMF13系エンジンは、もともとは新潟鐵工所が船舶向けに作っていた高速エンジンで、これを鉄道車両用に設計を改めた物でした。もともとが民生用エンジンであるため、国鉄制式エンジンとは異なる部分が多くあったといえます。

国鉄線として計画され建設の真っ最中に、その経営主体となるはずだった国鉄が莫大な債務を背負っていたことにより、赤字ローカル線の廃止を進めることになった結果、北鹿島ー水戸間の建設線は国鉄線としての開業が不可能になってしまった。しかし、既に多くの区間で建設が進んでいたことなどもあり、当の国鉄は第三セクターによる開業を希望、これを受けて鹿島臨港線を運営していた鹿島臨海鉄道が新線を引き受けることになる。1985年に鹿島臨海鉄道大洗鹿島線として開業することになり、その時に用意されたのは6000形気動車であった。6000形は当時の最新技術を投入した気動車で、エンジンは国鉄制式のDMH17系でもDMF15系でもなく、船舶用エンジンを鉄道車両用に改設計した直噴式であるDMF13S形を搭載した。出力は230PSと従来のエンジンと比べると僅かに向上した程度だが、車体やエンジンなどの重量が軽量化した分、もっとも適した出力を得ることができるなど高効率なものになった。(出典:写真AC)
■ 予燃焼室式(DMF15系)と直接噴射式(DMF13系)の違い
もっとも大きな違いは、DMF15系が予燃焼室式であるのに対し、DMF13系は直接噴射式であることでしょう。予燃焼室式では副燃焼室とよばれるものがあり、ここに燃料が入ることで着火し、主燃焼室に火炎が送り込まれる構造であり、すべての回転域で安定した動作が見込めるとともに高い回転数を稼ぐことも可能にし、排気ガス中の窒素酸化物や炭化水素の発生を抑えることができます。その反面、副燃焼室の分だけ表面積が大きくなり、熱損失が大きいという弱点を抱えていました。
一方、直接噴射式ではシリンダー内部に直接燃料を噴射し、ピストンの圧縮によりここで燃料が爆発するため、副燃焼室がない分だけ熱損失が少なく、効率的であるという利点をもっていました。しかし、燃料を噴射するためのポンプが必要であり構造が複雑になることや、これを製造したり整備したりするためには高度な技術が不可欠であるというデメリットもありました。

1970年代には、自動車用をはじめとしたディーゼルエンジンに直噴式のものが存在していた。小型軽量で排気量も小さいものの、出力は大きく効率性が高かった。同じ頃、国鉄の制式エンジンはDMF15系で、排気量こそ自動車用と同等であったが出力は低く、重量も重いためお世辞にも鋼製とは言い難かった。副燃焼室式であること、基本設計が戦前ものであり、その流れを汲むDMH17系を基本としていたことも大きいといえるだろう。(©西瀬子潤, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)
《次回へつづく》
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