旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その17「門司機関区での添乗実習・・・日田彦山線のDD51」【中編】

◆門司機関区での添乗実習・・・日田彦山線のDD51【中編】

 福岡貨物ターミナル駅で乗ったDE10形とは違い、DD51形は本線用の機関車で、運転台のある中央のキャブも比較的大きめだった。そして、DE10形では運転台に入るために一度エンジンが納められたボンネットの周りにある狭い空間を歩かなければならなかった。そのために、車両の端にあるステップを登ってデッキに上がらなければならなかったが、DD51形の場合は電気機関車と同じくキャブの側面にある梯子を登って直接運転台に入った。そのおかげで、エンジンが発する熱のおかげで火炎地獄のようなボンネット周りを歩かなくて済んだ。

 前回までは・・・ 

  機関士にあいさつをして運転台に入ると、あまりにも広く空虚な空間にまたもやビックリした。
 これから石原町駅まで乗る機関車は、DD51形でも貨物用として製造された800番台と呼ばれる車両で、客貨両用として製造された500番台から冬季に客車へ供給する暖房用熱源の蒸気を送るための蒸気発生装置・・・小型のボイラー。小型といってもそれなりに大きいが・・・を省略したものだ。

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 その蒸気発生装置は運転台の真ん中に陣取るように設置されているのだが、貨物列車を牽くのに暖房用の蒸気は必要ない。ということで、貨物用の800番台には運転台を狭くしていたこの蒸気発生装置を設置していなかった。そのおかげで、巨大な蒸気発生装置が陣取っているところには何もなく、その分だけ広くなっていて、ある文献によれば「相撲が取れるほどの広さ」だという。それくらい広い空間だった。
 もっとも、この広くなった空間が後々厄介なことになろうとはこの時点では思いもよらなかった。まさに、後に起こることは神のみぞ知るといったところだろうか。
 列車は定時に発車したが、前回乗務した門司-幡生操間のEF81形重連よりもゆっくりとした速さで加速していく。貨車には積荷がなく編成も短いとはいえ、なんとも間の延びた感じだった。まあ、ディーゼル機関車だし、それに単機での牽引だったので仕方がない。こんなモノだろうと思っていたら、ある程度加速したところで機関士はノッチを切ってしまった。
 私が立っている助士席側には速度計がなかったし、その位置からは機関士の前にある計器類も読むことが難しかったから具体的なことはわからないが、感覚でいえば時速70km/hも出ていなかったと思う。電車や電気機関車が牽く貨物列車はバンバンスピードを出しているのに、DD51形が牽く石灰石列車はとにかくのんびりとした調子で走り続けていくものだから、いったい何時間かかるのか想像も就かなくなってしまったものだ。