旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

2019-01-01から1年間の記事一覧

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・派出勤務と一本立ち【1】

第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・派出勤務と一本立ち【1】 電気区に配属されてから1年ぐらいが経った夏のある日、私は区長に呼び出された。普段なら詰所の中で話を済ませるのだが、この時ばかりは会議室に来るように言われたので、いったい何事か…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【8】

第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【8】 ところが、時間が経つにつれて輸送障害の状況が分かってくると、信号扱をする輸送係の顔色が変わってきた。穏やかな口調だった人が、声を荒げながら電話で話し始めたので、私は思…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【7】

第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【7】 私のように貨物会社で働く鉄道マン、しかも列車見張というちょっと特殊な仕事に就くと、一緒に仕事をする人は同じ会社の人とは限らない。前出の新鶴見機関区は同じ貨物会社の施設…

大変ご無沙汰しております

皆さま、こんにちは。 前回の投稿からずいぶんと時間が経ってしまいました。最後の記事が9月4日なので、2か月近く更新がされないままとなってしまいました。いつも、楽しみにお読み頂いている方、ほんとうに申し訳ございませんでした。 この間、本業が多忙を…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【6】

このシリーズも書き始めて1年以上が経ちましたが、最後に記事を公開してからずいぶんと時間が経ってしまいました。 楽しみにして頂いていた皆さま、ほんとうに申し訳ありません。 これからも、本業や家族サービスの合間を見ての執筆と公開になりますが、お…

残暑お見舞い申し上げます

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 毎年のことですが、夏になると異常とも思える暑さです。猛暑とか酷暑なんていわれていますが、つい10年ほど前にはこんなことなかった気がします。温暖化なのですかねぇ。 昨日も最高気温は軒並…

消えゆく「国鉄形」 ~湘南・伊豆を走り続ける最後の国鉄特急形~ 185系電車【7】

(6)国鉄の終焉と民営化直後 1985年のダイヤ改正で東北・上越新幹線が上野開業を果たすと、それまで上野-大宮間の新幹線利用客輸送の専用列車である「新幹線リレー号」もその役割を終えて廃止された。新前橋の185系200番代は当初からの計画であったとはい…

消えゆく「国鉄形」 ~湘南・伊豆を走り続ける最後の国鉄特急形~ 185系電車【6】

(5)上越新幹線開業と新特急・・・185系北へ 1982年11月に上越新幹線が大宮起点で暫定開業をすると、上野発着の高崎線・上越線の優等列車の整理が行われた。特急「とき」をはじめとした首都圏-上越地方を結ぶ特急、急行列車はほとんどが新幹線へ整理統合され…

消えゆく「国鉄形」 ~湘南・伊豆を走り続ける最後の国鉄特急形~ 185系電車【5】

4.185系の歩み (3)新前橋の165系置換えと東北・上越新幹線大宮暫定開業 185系は東海道本線を走り続けてきた急行形である153系の老朽取替と、急行「伊豆」の特急格上げ用として設計・製造された特急形電車であった。その目的の通り、0番代は115両全車が…

消えゆく「国鉄形」 ~湘南・伊豆を走り続ける最後の国鉄特急形~ 185系電車【4】

4.185系の歩み (1)特急形電車としては異色の登場劇 185系は1981年1月から田町電車区(→田町車両センター→東京総合車両センター田町センター)に配置された。国鉄の特急形電車としては久しぶりの新形式、それも従来の画一化したスタイルから脱却した斬新…

消えゆく「国鉄形」 ~湘南・伊豆を走り続ける最後の国鉄特急形~ 185系電車【3】

(4)メカニズム面は保守的 車体の外観が従来の特急形電車と比べて大胆かつ斬新になったのに対して、メカニズムの面では非常に保守的な設計となった。もっとも、この頃の国鉄の財政事情を考慮すると、新型車の開発に多額の費用を投じることなどできるわけも…

消えゆく「国鉄形」 ~湘南・伊豆を走り続ける最後の国鉄特急形~ 185系電車【2】

3.185系電車の登場 (1)国鉄最後の新製特急形電車 185系は1981年に登場した。 それまでの国鉄の特急形電車といえば、151系「こだま形」を始祖とするクリーム色地に窓周りと車体裾と天部に臙脂色の帯を巻いた塗装で、先頭車はボンネット形あるいはそれを…

消えゆく国鉄形 ~湘南・伊豆を走り続ける最後の国鉄特急形~ 185系電車【1】

1.はじめに 1987年の国鉄分割民営化から既に30年以上が経ち、時代も平成から令和へと変わった2019年のいまも走り続けている185系電車。長年走り続けてきた多くの国鉄形車両が、その任を全うして去っていった中で、貴重な存在となっている。 今でこそ注目さ…

川崎・登戸での朝の惨劇 私たちにできることとは 

いったい、何が起きたというのだ? どうして、幼い子どもが犠牲にならなければならなかったのだ? 4月に新年度が始まって以来、怒濤のような忙しさに飲み込まれてブログもずいぶんとご無沙汰してしまったが、運動会という一大行事も終えて落ち着きを取り戻…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【7】

8.悲運の機関車が遺していったもの EF500はEF200と同様に大きな機体を背負って誕生し、貨物会社とメーカーの技術陣がなんとか実用化に漕ぎ着けようと懸命の努力をしたものの、結果的には「失敗作」の烙印を押されて開発は終わらされてしまいました。 しか…

平成31年4月のふりかえり

みなさまこんばんは。 日頃より、拙筆のブログ「旅メモ」をご覧いただき、ありがとうございます。 4月より新年度に入り、仕事はほぼ2年ぶりの現場復帰となったのですが、いろいろなことが「浦島太郎」状態で、覚えていたつもりのことが実は覚えていなかっ…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【6】

新年度に入り、予想を遙に超える仕事の忙しさに文字通り「忙殺」されてしまったおかげで、予定通りの更新がままならない状態が続いております。楽しみにされていた皆さまには本当に申し訳なく思います。 いましばらくはこの状況が続いてしまいますが、できる…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【5】

6.インテリアデザインも脱国鉄形 一方、車内も同時期に製作されたEF200と同様に、従来の国鉄形電機とは一線を画するデザインでした。 国鉄形電機は運転台の室内塗装は緑色系のカラースキームを採用しています。灰緑色3号、別名「スレートグリーン」と呼ば…

ボーイング737 MAX墜落が他人事ではないその理由【4】

いつの間に身の回りに溢れるコンピューター制御の物 世の中本当に便利になりました。 その多くは何らかの形でコンピューターを搭載し、きめ細やかな制御がされています。そして、私たちの生活をより豊かにしてくれたり、地球環境に配慮した効率性を生み出し…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【4】

5.国鉄形電機と一線を画するデザイン EF500の特徴は電気機器やその性能だけではありませんでした。 外観もまた、従来の国鉄形電機とは大きく異なった、斬新なデザインで登場したのです。 機関車の「顔」となる正面のデザインは、そこはかとなく国鉄時代の…

3月第5週のふりかえり

みなさまこんばんは。 いつも拙筆のブログ「旅メモ」をお読みいただき、ありがとうございます。 平成30年度も終わり、いよいよ新年度がやって来ます。平成31年度はわずか30日で終わりとなり、新しい元号のも発表になります。(この記事を執筆している時点で…

さらば・・・最強電機 ~EF200形電気機関車の引退によせて~

ここ数年、3月になると必ず行われているのがダイヤ改正です。 そのダイヤ改正が実施される度に、これまで走り続けていた車両たちがその役目を終えて姿を消していく。鉄道車両も工業製品の一つであり、晴れて日差しが強かろうが、雨が降って寒かろうが、場所…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【14】最終章

かつての鉄道貨物輸送の主力であった、車扱貨物の中心的役割を担った貨車操車場。そこでの貨車入換作業にあてるために、車体重量70トン、軸重14トンという異例の重量級で誕生したDE11形は、形こそ兄貴分であるDE10形と同じでしたが、その性格は異なるもので…

ボーイング737 MAX墜落が他人事ではないその理由【3】

事故を起こした真犯人とされるMCAS ボーイング737MAXの墜落事故の原因が、MCASと呼ばれるシステムの不具合であり、さらにそのシステムのソフトウェアによるものだと仮定した場合、非常に危惧するべきものであると考えられます。そして、この手の不具合は、実…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【3】

4.試作機EF500 901号機の誕生 4-1 EF500 901号機の概要 EF500の試作機である901号機は、1990年8月に落成しました。 直流機のEF200が同じ年の3月に落成していることからすると、僅かに遅れての登場でした。 EF500は交直流両用の電気機関車なので、機関車…

3月第4週のふりかえり

みなさまこんばんは。 いつも拙筆のブログ「旅メモ」をお読みいただき、ありがとうございます。 とうとう年度末になってしまいました。先週までは怒濤の忙しさでしたが、無事に年度のゴールを迎えました。4月以降の新しい大勢の人事の内示を受けましたが、…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【13】

民営化後、しばらくは大きな動きもなく、JR東日本のDE11形は高崎運転所に引き継がれた0番代が早々に廃車された以外は、品川や尾久などといった客車の配置がある運転区所で車両の入れ換え作業に使われました。 21世紀に入ると、さすがのDE11形も老朽化が進ん…

ボーイング737 MAX墜落が他人事ではないその理由【2】

2つの事故は離陸上昇中に起きた 飛行中に尾部が極端に下がり、機首が上がってしまうという特性は、飛行機としては好ましくありません。特に低空を上昇中にこのような癖のために極端な機首上げの姿勢になれば、飛行機は速度を落としてしまい翼に揚力が与えら…

ボーイング737 MAX墜落が他人事ではないその理由【1】

最新鋭機が短期間で立て続けに墜落事故という異常な事態 一度事故が起きると、多くの人がそれまでの平穏な日常を壊され、そして想像を超える不幸に見舞われます。 それが航空機のような大量輸送機関での事故であれば、一度に多くの人の命が失われてしまいま…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【2】

3.新型機関車の発注と契約会社 EF500の試作機となる901号機は、1試作機が川崎重工と三菱電機で開発されます。 EF200は日立製作所が単独で受注しましたが、EF500は二社の共同受注となりました。 おなじ新型機関車を開発するのなら、ある一社に任せた方が合…