旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

鉄道

消えゆく「国鉄形」 ~湘南・伊豆を走り続ける最後の国鉄特急形~ 185系電車【3】

(4)メカニズム面は保守的 車体の外観が従来の特急形電車と比べて大胆かつ斬新になったのに対して、メカニズムの面では非常に保守的な設計となった。もっとも、この頃の国鉄の財政事情を考慮すると、新型車の開発に多額の費用を投じることなどできるわけも…

消えゆく「国鉄形」 ~湘南・伊豆を走り続ける最後の国鉄特急形~ 185系電車【2】

3.185系電車の登場 (1)国鉄最後の新製特急形電車 185系は1981年に登場した。 それまでの国鉄の特急形電車といえば、151系「こだま形」を始祖とするクリーム色地に窓周りと車体裾と天部に臙脂色の帯を巻いた塗装で、先頭車はボンネット形あるいはそれを…

消えゆく国鉄形 ~湘南・伊豆を走り続ける最後の国鉄特急形~ 185系電車【1】

1.はじめに 1987年の国鉄分割民営化から既に30年以上が経ち、時代も平成から令和へと変わった2019年のいまも走り続けている185系電車。長年走り続けてきた多くの国鉄形車両が、その任を全うして去っていった中で、貴重な存在となっている。 今でこそ注目さ…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【7】

8.悲運の機関車が遺していったもの EF500はEF200と同様に大きな機体を背負って誕生し、貨物会社とメーカーの技術陣がなんとか実用化に漕ぎ着けようと懸命の努力をしたものの、結果的には「失敗作」の烙印を押されて開発は終わらされてしまいました。 しか…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【6】

新年度に入り、予想を遙に超える仕事の忙しさに文字通り「忙殺」されてしまったおかげで、予定通りの更新がままならない状態が続いております。楽しみにされていた皆さまには本当に申し訳なく思います。 いましばらくはこの状況が続いてしまいますが、できる…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【5】

6.インテリアデザインも脱国鉄形 一方、車内も同時期に製作されたEF200と同様に、従来の国鉄形電機とは一線を画するデザインでした。 国鉄形電機は運転台の室内塗装は緑色系のカラースキームを採用しています。灰緑色3号、別名「スレートグリーン」と呼ば…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【4】

5.国鉄形電機と一線を画するデザイン EF500の特徴は電気機器やその性能だけではありませんでした。 外観もまた、従来の国鉄形電機とは大きく異なった、斬新なデザインで登場したのです。 機関車の「顔」となる正面のデザインは、そこはかとなく国鉄時代の…

さらば・・・最強電機 ~EF200形電気機関車の引退によせて~

ここ数年、3月になると必ず行われているのがダイヤ改正です。 そのダイヤ改正が実施される度に、これまで走り続けていた車両たちがその役目を終えて姿を消していく。鉄道車両も工業製品の一つであり、晴れて日差しが強かろうが、雨が降って寒かろうが、場所…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【14】最終章

かつての鉄道貨物輸送の主力であった、車扱貨物の中心的役割を担った貨車操車場。そこでの貨車入換作業にあてるために、車体重量70トン、軸重14トンという異例の重量級で誕生したDE11形は、形こそ兄貴分であるDE10形と同じでしたが、その性格は異なるもので…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【3】

4.試作機EF500 901号機の誕生 4-1 EF500 901号機の概要 EF500の試作機である901号機は、1990年8月に落成しました。 直流機のEF200が同じ年の3月に落成していることからすると、僅かに遅れての登場でした。 EF500は交直流両用の電気機関車なので、機関車…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【13】

民営化後、しばらくは大きな動きもなく、JR東日本のDE11形は高崎運転所に引き継がれた0番代が早々に廃車された以外は、品川や尾久などといった客車の配置がある運転区所で車両の入れ換え作業に使われました。 21世紀に入ると、さすがのDE11形も老朽化が進ん…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【12】

1987年の分割民営化によって、DE11形にはさらに大きな衝撃が訪れました。 操車場の機能停止・廃止によって、仕事そのものが失われました。 操車場で重量の嵩んだ貨車を押したり牽いたりする、専ら重入換作業をするための性能をもって誕生したDE11にとって、…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【5】

人よりも早く列車見張の経験を多くさせてもらうようになると、信号扱所に上がってその仕事自体を楽しむようになっていった。 列車の運行状況がほんの僅かでも違えば、機関区のような車両基地では同じ列車を牽く機関車も、出発までに待機させる留置線が違って…

続・悲運のハイパワー機 幻となった交直流6000kW機【1】

1.はじめに 「君たちが機関士になったら、これを運転することになる」 貨物会社に入社する直前だったか間もない頃、そういわれて紹介された機関車。当時の最新技術をふんだんに採り入れ、夢の1,600トン列車の運転の実現に向けて開発されたEF200形電機機関車…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【11】

そのような状況は長くは続きませんでした。 昭和50年代に入ると、国鉄はダイヤ改正のたびに貨物輸送の合理化を進めようとします。 操車場での貨車の仕訳を、可能な限り自動化してスピードを上げようとしました。その一つが、前にもお話しした武蔵野線の武蔵…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【4】

配属されて現場に出るようになって場数を踏むようになってくると、暑かろうが寒かろうが線路に出て作業をするのが当たり前のようになっていた。もちろん、線路内での作業は体力が必要だったし、ミスも許されないので気も張りつめて疲れはする。だが、毎回同…

走り抜ける「昭和の鉄道」 京の都から浪速へ川沿いを走る老兵・京阪2200系電車【5】

昭和の半ば、1964年につくられて以来、数々の改修を受けながら、時代に合わせた性能をもって京都-大阪間の輸送に徹し続けた京阪2200系は、21世紀に入った2000年代でもその存在感は後輩たちと同じでした。 1999年代に最新式のVVVFインバーター制御を採用した…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【10】

大規模操車場におけるハンプ押上を中心とした重入換専用の機関車として登場したDE11形は、その目的に特化した性能をもち、0番代が65両、エンジン出力を増強した1000番代が46両、低騒音試作形の1900番代1両、低騒音型の2000番代4両の計116両がつくられました…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【3】

あまり知られてないことだが、鉄道のダイヤは基本的には大きく変わることがないが、実はほぼ毎日のように細かい変更がされている。 例えば、臨時の団体列車を走らせる時は、本来なら列車が走らない時間にこの列車がやってくる。そのことを知らずに現場に出て…

走り抜ける「昭和の鉄道」 京の都から浪速へ川沿いを走る老兵・京阪2200系電車【4】

1980年代に入って改修工事を受けた2200系は、電装品を新しいものへと交換し、省エネ性を高めました。そして、車体にも大きな改修が加えられ、誕生してから20年目で装いを新たにします。 人間でいえばちょうど二十歳。いわば、成人式を迎えて学生服からスーツ…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【9】

低騒音型の試作車である1901号機は、稲沢機関区に配置され、稲沢操車場を仕事場にして入換作業に就きました。実際の運用をしながら、どの程度防音効果があるのかを確かめるためです。 排気管に取り付けた大型消音器の効果はあったものの、ボンネットに収めら…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【2】

電気区に配属されて、現場での仕事に慣れ始めた頃、その日の担務指定で割り当てられた現場へ意気揚々と出かけると、公用車から降りて工具や部品を下ろし終えると主任から、トランシーバーを渡された。 いったい何をするのかと不思議そうにしている私に主任は…

走り抜ける「昭和の鉄道」 京の都から浪速へ川沿いを走る老兵・京阪2200系電車【3】

1964年につくられて以来、実に50年以上もの間走り続けてきた京阪2200系電車。その顔のおでこには、これまた京阪電車の特徴の一つともいえる大きな二つの前灯があります。 前面上部、人の顔でいえばちょうどおでこのあたりに、左右に振り分けられた二つの前灯…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【8】

まずは試作車として、DE11 1900番代がつくられます。 試作車ですので、つくられた数はたったの1両でした。 DE11 1901は外観こそほかのDE11形と同じでしたが、内部の機構には少し手が加えられました。エンジンから出ている排気管は、通常は長いボンネットに取…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・命を預かる役目・列車見張【1】

列車が行き交う本線や、車両の入れ換えがある駅や機関区の構内といった線路内に立ち入る作業は、電気区で仕事をするからには避けて通れない。信号設備は当然線路際やその中にあるし、機関車へ電気を送る電車線設備は線路の真上にあるからだ。 その作業、列車…

走り抜ける「昭和の鉄道」 京の都から浪速へ川沿いを走る老兵・京阪2200系電車【2】

1964年からつくられ、それ以来時代に合わせた改良を受けながら、京の都から浪速までの間を川沿いに走り続けている京阪2200系電車。 時代に合わせた改良・・・とはいっても、基本的にはつくられた当時とほとんど変わっていないといっても過言ではないでしょう。…

消えゆく「国鉄形」 常に目立つことなく隠れた力持ち【7】

大規模操車場の重入換作業に特化した性能を与えられたDE11形は、その開発の目的通り全国各地の操車場に送られ、くる日もくる日も何十両も連なる重い貨車たちを押し上げたり、列車として組成できたものは仕訳線から引っ張り出す仕事をこなしていました。 私が…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第二章 見えざる「安全輸送を支える」仕事・現場へ向かう公用車の運転は若手の仕事【3】

横浜羽沢にある本区から梶ヶ谷貨物駅にある派出へ転属となっても、公用車の運転は変わらず若い職員である私の仕事の一つだった。本区と同様に、それまで20歳代の若い職員の配置がなかったから、私が転属して着任すると先輩方は大いに喜んでくれた。 派出勤務…

走り抜ける「昭和の鉄道」 京の都から浪速へ川沿いを走る老兵・京阪2200系電車

子ども頃、鉄道を題材にした絵本に描かれていた電車の中で、なぜか印象深く記憶に残っているのが近鉄特急と京阪電車。全車は特急用の車両で、しかも「ビスタカー」という愛称とともに、2階建車両を挟んだ独特の流線型をしていたので、幼い少年の記憶に焼き付…

JR東日本が山手線の自動運転化を進める訳とは【3】

6.不足する乗務員をカバーするための自動運転技術 近い将来予想される運転士不足は、少子高齢化に伴う労働生産人口の減少と、国鉄時代からの運転士の大量退職という二つの現象に起因していることはお分かりいただけたと思います。 そもそも、JR東日本とし…