旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

JR貨物

貨物駅の名称 東○○、浜○○の「東」「浜」とは何?【終章】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ■かつては庶民の台所を支えた「○○市場駅」 貨物駅は一般には馴染みがないため、その名称もあまり知られることはありません。それとともに、貨物駅が設置される場所は、港湾部や埠頭など一般に立ち入ること…

貨物駅の名称 東○○、浜○○の「東」「浜」とは何?【3】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 「浜」を冠する貨物駅も多くありました。こちらは港湾部に限らず、主要駅から見て海浜にあるという意味でつけられたものといえますが、多くは港湾部に隣接した工業地域の中に設置されています。 首都圏で…

貨物駅の名称 東○○、浜○○の「東」「浜」とは何?【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ■海沿いは貨物駅にとって大きな稼ぎ場所「浜」と「港」 都市部の主要駅近くに置かれる貨物駅は、多くが本線上に貨物列車の「途中停車駅」としての機能を持たせるためといえます。こうした貨物駅は、製品や…

貨物駅の名称 東○○、浜○○の「東」「浜」とは何?【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 わたしたちの生活を支える物流において、鉄道による貨物輸送は重要な位置を占めつつあることは多くの方がご存じのことと思います。北海道で収穫されるタマネギやジャガイモといった生鮮野菜は、…

車扱貨物輸送はなぜ消えたのか〔4〕

《前回のつづきから》 往路に貨物を積んだコンテナを、復路にも貨物を積もうとするものです。あたりまえのようなことですが、これがなかなか難しかったようで、筆者も鉄道マン時代に駅に到着した空コンテナをコキ車から降ろしている作業を何度も見たことがあ…

車扱貨物輸送はなぜ消えたのか〔3〕

《前回のつづきから》 1990年代はじめのバブル経済崩壊と、その後の景気低迷は鉄道貨物輸送にも大きな変化をもたらしました。不景気により生産活動も低下し、コスト削減を目的に生産拠点を国外へ移す企業も続出し、かつてのような需要もなくなって貨物輸送量…

車扱貨物輸送はなぜ消えたのか〔2〕

《前回のつづきから》 1987年の国鉄分割民営化によって、鉄道貨物輸送を継承したJR貨物は、引き続き車扱貨物のコンテナ化を推進していくことになります。しかし、すべての貨物をコンテナ化することは叶いませんでした。そのため、国鉄から継承した物資別適合…

車扱貨物輸送はなぜ消えたのか〔1〕

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 国鉄時代の貨物輸送といえば、ほとんどが運ぶ貨物に特化した貨車が運用されていました。物資別適合貨車と呼ばれるもので、例えば液体や粉体を運ぶタンク車や、粒体などを運ぶホッパ車など、多種…

2022年ダイヤ改正で委託運転が解消 JR貨物が迎えた一つのターニングポイント【4】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 経営基盤が脆弱で、設立当初から「数年もてばいい」とまで揶揄された貨物会社は、様々な負担軽減策を施されていました。アボイダブルコストルールによる線路使用料の軽減や、旅客会社への貨物列車の運転委…

2022年ダイヤ改正で委託運転が解消 JR貨物が迎えた一つのターニングポイント【3】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 鉄道の運転士や機関士は、誰でもなれる職種ではないことは、多くの方がご存知のことと思います。運転士や機関士になるためには、国土交通省が交付する「動力車操縦者免許」が必要で、その免許を取得するた…

2022年ダイヤ改正で委託運転が解消 JR貨物が迎えた一つのターニングポイント【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 三島会社よりも厳しいといわれた貨物会社には、必要最小限の車両と人員、そして施設を継承させました。貨物会社には長大な線路を保有させず、旅客会社が保有する線路を借りて自社の列車を運行させる「第二…

2022年ダイヤ改正で委託運転が解消 JR貨物が迎えた一つのターニングポイント【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 3月中旬に更新して以来、ずっとご無沙汰しておりました。いつも楽しみにしていただいている皆様には大変申し訳なく思います。引き続き、ご愛読いただければ筆者として嬉しく思う限りです。 私ご…

この1枚から たった1つの駅のためにつくられたサイレントディーゼル・DE11 2000番代【3】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info DE11は、ローカル線など線路規格の低い線区でも運用でき、冬季の客車列車では必要不可欠の暖房用蒸気発生装置(SG)を搭載し、かつ大出力エンジンを1基搭載したDE10をベースに、操車場などでの重入換用に…

この1枚から たった1つの駅のためにつくられたサイレントディーゼル・DE11 2000番代【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 神奈川県内にある東海道本線の貨物輸送の拠点は、横浜港に隣接した横浜港駅や高島駅、山下埠頭駅などがありました。いずれも高島線と呼ばれる支線にあり、神戸方への輸送には難がありました。また、横浜以…

この1枚から たった1つの駅のためにつくられたサイレントディーゼル・DE11 2000番代【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 日本の物流と私たちの生活を支える鉄道貨物輸送は、今日では発駅から着駅までの間を必要な場合を除いて停車したり、貨車の入換をすることなく通して運転される拠点間輸送方式によっておこなわれ…

見た目ではブルトレ牽引機 最強電機登場までのリリーフだったF形【6】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info その後、1000番代PF形とEF66の増備によって、500番代F形は特急貨物列車の運用から次第に離れていき、一般の貨物列車の運用に充てられるようになりました。また、レサ10000で組成された鮮魚特急貨物列車は…

見た目ではブルトレ牽引機 最強電機登場までのリリーフだったF形【5】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 1965年にP形と同じ時期に製造されたF形は、新製後に吹田第二機関区に配置されて、さっそく特急貨物列車の運用に就きました。 特急貨物列車は操車場を経由せず、発駅と着駅を通して運転する拠点間輸送の形…

見た目ではブルトレ牽引機 最強電機登場までのリリーフだったF形【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ところが、すべての電機やディーゼル機に重連総括制御装置を装備しませんでした。重連運転を想定していない車両には、使いもしない装置を装備させては製造コストが割高になるのです。それだけでなく、検査…

見た目ではブルトレ牽引機 最強電機登場までのリリーフだったF形【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 特急貨物列車を牽く電機としてEF65にその役を任せることにしたものの、10000系高速化車で組成された列車は、客車列車とは異なり編成自体が重量がかさむことに加えて、連続で高速運転をしなければならない…

見た目ではブルトレ牽引機 最強電機登場までのリリーフだったF形【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1965年に登場したEF65は、牽引力をもたせながら連続高速運転にも耐えられる性能をもった客貨両用の万能機でした。当然、国鉄も寝台特急の牽引にはEF65を充てることを目論み、20系客車を引くために必要な特…

見た目ではブルトレ牽引機 最強電機登場までのリリーフだったF形【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただきありがとうございます。 筆者が鉄道マンになった1991年は、まだまだ多くの国鉄形電機があちこちで走っており、今となってはなんとも羨ましくもなるような光景が見られたものです。特に筆者が勤務した電気区の管轄には、本…

豪雪地帯から南国へ移った赤い電機の悲運 波乱と薄幸のED74【4】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info このブログでも何度かお話しましたが、国鉄は原則として独立採算制の国有公共企業体です。原則として税金を投じることはなく、運賃収入を基本として経営されることになっていました。ただし、運賃収入だけ…

九州の赤い電機 その終焉の具体化とEF510【3】

《前回からのつづき》 2001年から製造がはじめられたEF510は、すべてが日本海縦貫線用として富山機関区に集中配置され、関西圏ー北陸・東北地方を結ぶ貨物列車を中心に活躍しています。先行量産機である1号機が落成直後に新鶴見機関区に配置されて各種の試験…

九州の赤い電機 その終焉の具体化とEF510【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 確かにJR貨物にとって、手持ちの機関車を遣り繰りすることで老朽機を置き換えたほうが財政的なメリットは大きいでしょう。しかし富山区のEF510は、日本海縦貫線という長距離を走り抜け、日本海沿岸という…

九州の赤い電機 その終焉の具体化とEF510【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 つい最近、JR貨物から発表されたプレスリリースで、門司機関区配置のED76とEF81の置換えが計画が明らかになりました。いつかはその日がくるであろうことは覚悟しておりましたが、実際にそのこと…

悲運の貨車〜経済を支える物流に挑んだ挑戦車たち〜 執念の超低床・唯一実用化に漕ぎ着けたコキ71【2】

《前回のつづきから》 1994年に登場したコキ71は、コキ70に続く超低床貨車でした。形式名が示すようにコンテナ車ですが、コキ71は他のコンテナ車と比べるとかなり変わったものでした。 車体構造はコキ70を踏襲した床面高さを700mmに抑えた超低床構造で、車体…

悲運の貨車〜経済を支える物流に挑んだ挑戦車たち〜 執念の超低床・唯一実用化に漕ぎ着けたコキ71

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 以前にも、このブログではJR貨物が開発した超低床コンテナ車である、コキ70を取り上げてお話させていただきました。 blog.railroad-traveler.info blog.railroad-traveler.info 筆者が鉄道マン…

国鉄時代の鉄道管理局標記と民営化後の支社標記【2】

《前回からのつづき》 民営化から間もない頃、ほとんどのコンテナ車が国鉄から継承した車両で占められ、コキ100系の増備は始まったばかりで、非常に貴重な存在でした。特に床面が低くなったことで、載せることができるコンテナのサイズも大きくすることがで…

国鉄時代の鉄道管理局標記と民営化後の支社標記【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 国鉄〜JRの車両についての記事を書いていると、必ず気に留めることがあります。それは、旅客車であればその車両が配置される区所の電報略号と、管轄する支社の標記です。 一方、貨物会社に所属…

貨車の色にも「意味」があった【9】 同じコキ車でも特殊仕様であるが故に

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 同じコキ車でも特殊仕様であるが故に 話は随分とそれてしまいましたが、コキ5500は赤3号の塗装で増備が続きました。 一方、コンテナ輸送のメリットをさらに活かそうと、最高運転速度100km/hで運転される特…