旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

悲運の貨車 奇抜な発想で複合一貫輸送を目指した両用貨車・ワ100【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 筆者が鉄道職員になろうと決めたのは、高校3年生の7月も終わり頃でした。当時、高校生の就職活動は5月ぐらいから始めないと出遅れているといわれたもので、初めから会社に入る気がなかった筆者…

2024年問題で鉄道貨物輸送の「復権」はあるのか【5】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info これまで概観してきたように、2024年問題を目前にした今日において、トラック輸送に代わって鉄道がそれを担い、政府が定めた10年後には現在の2倍を輸送するというのは、非常に課題が多く難しいといえるで…

2024年問題で鉄道貨物輸送の「復権」はあるのか【4】

《前回のつづきから》 在来線の貨物輸送量を増やすことが難しいためか、近年、新幹線に貨物輸送を担わせることが議論されています。特にJR九州の初代社長で国鉄時代は技術畑を歩んだ石井幸隆氏は、新幹線に貨物輸送、いわゆる「貨物新幹線」構想を提唱してい…

2024年問題で鉄道貨物輸送の「復権」はあるのか【3】

《前回のつづきから》 2023年10月6日、国土交通省は2024年から施行するドライバーの残業上限規制に伴う長距離トラックドライバーが不足することに対し、トラックに代わって船舶や鉄道の輸送量を今後10年間で2倍に増やす目標を決定しました。 あくまで「目標…

2024年問題で鉄道貨物輸送の「復権」はあるのか【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info そもそも「モーダルシフト」という言葉は、筆者が鉄道職員の頃から言われていました。特にバブル経済が真っ只中の1980年代後半から1990年代初頭にかけて、旺盛な輸送需要にトラック輸送が追いついていない…

2024年問題で鉄道貨物輸送の「復権」はあるのか【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 2023年も残すところ僅かになりつつあります。2024年になると、日本の経済活動に大きな影響を与えるとされる法令が施行されることが予定され、ほぼ毎日のように報道がなされています。 その「大…

いすみ学園に保存の東急デハ3455 クラファンで修復を目指す【後編】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 東急の輸送を支えたデハ3450形は、1981年から後継となる7200系や7700系などに押し出される形で順次廃車されていきます。1980年代に入ってもなお、吊り掛け駆動独特の音を響かせながら、東京の下町を走って…

いすみ学園に保存の東急デハ3455 クラファンで修復を目指す【前編】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 この間の日曜日に何気なく目を通していたネットニュースで、次のような話題が報じられていました。 www.chibanippo.co.jp www.jiji.com railf.jp 今回は、かつて東急線を疾駆した戦前製吊り掛け…

西武鉄道「サステナブル」車両の導入候補決まる 歴史を乗り越えた【7】

《前回のつづきから》 20m級大型車を運用する大手私鉄は、関東では東武鉄道と小田急電鉄、東急電鉄、そして相模鉄道があります。この中で、東武鉄道は8000系という抵抗制御車を運用していることから、車両譲渡を希望しても応えてもらえる可能性は皆無といっ…

西武鉄道「サステナブル」車両の導入候補決まる 歴史を乗り越えた【6】

《前回のつづきから》 ■ 2015年に国連総会で採択された「持続可能な開発目標」、いわゆるSDGsは国や個人、法人を問わず、その目標達成に向けてあらゆる努力をしていくことになります。日本の鉄道事業者も例外ではなく、企業イメージも相まって様々な施策を進…