旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

鉄道車両の構造・設備

なぜ超低床コンテナ車を追求し続けるのか【7】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ここからは筆者の私見になります。 筆者が鉄道職員時代に、コキ70やコキ71が製作された時に考えたのは、どうしてそこまで小さい車輪の台車を使った設計に拘ったのか、ということでした。確かにFT11系列の…

なぜ超低床コンテナ車を追求し続けるのか【6】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 超低床貨車の最大のメリットは、ISO規格の海上コンテナの中でも、ハイキューブコンテナと呼ばれる高さ6ft9in、2,896mmのコンテナを載せ、建築限界に支障することなく鉄道で輸送できることです。 その反面…

なぜ超低床コンテナ車を追求し続けるのか【5】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 本来ならこの特殊な超低床貨車を新たに開発・製作する前に運用を予定していた区間での建築限界を測定するのが先でした。しかし、現実には建築限界の測定は後回しにされ、試作車が登場したあとに測定結果が…

なぜ超低床コンテナ車を追求し続けるのか【4】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 1994年に、JR貨物は新たな超低床貨車となるコキ71形を開発しました。「CAR RACK」と呼ばれる自動車積載用の特殊な構造をしたコンテナであるUM20A形30000番台を載せ、往路は自動車を、復路はJR規格の12ftコ…

なぜ超低床コンテナ車を追求し続けるのか【3】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info コキ100系は従来の国鉄形コンテナ車よりも、床面高さを100mm低くしました。この100mm=10cm低くしたことで、JR規格コンテナよりも95mm高いISO規格コンテナの積載を可能にし、海上コンテナの鉄道輸送を実現…

なぜ超低床コンテナ車を追求し続けるのか【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info JR貨物が主力と位置づけるコンテナ輸送では、利用客に提供するコンテナはすでにお話してきた通り、国鉄時代に制定された12ft5トンコンテナでした。対するISO規格コンテナは20ft10トンコンテナが主力だった…

なぜ超低床コンテナ車を追求し続けるのか【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 筆者が鉄道職員時代、「この問題を解決できれば、社長賞ものだ」と言われていたことがあります。本社技術部に集う優秀な技術者たちをもってしても、長年解決できない「難問」の一つとして、超低…

鉄道車両の冷房装置 出力の肥大化と大都市の気温上昇【終章】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。11月の初めの投稿を最後に、更新が途絶えておりました。楽しみにしていただいている皆様、大変申し訳ございませんでした。 10月の終わりに体調を崩し、パソコンに向かうのもままならない状態にな…

鉄道車両の冷房装置 出力の肥大化と大都市の気温上昇を考える【7】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■2000年代以後、冷房能力の肥大化 これまで、国鉄時代から民営化直後の頃までの、鉄道車両の冷房化およびその装置の歴史についてお話してきました。1990年代には、JRと大手私鉄は冷房化率100%を達成する…

鉄道車両の冷房装置 出力の肥大化と大都市の気温上昇を考える【6】

《前回からのつづき》 JR東日本やJR東海が小型軽量で簡易な工事で済む集約分散式冷房装置を用いたのに対し、JR西日本も集約分散式冷房装置を用いて冷房化を推進しました。しかし、JR西日本の場合、国鉄から継承した数多くの車両を当分の間も運用し続ける計画…

鉄道車両の冷房装置 出力の肥大化と大都市の気温上昇を考える【5】

《前回からの続き》 blog.railroad-traveler.info ■非冷房車の冷房化が急がれた1990年代始めの頃 1960年代終わり頃から始められた鉄道車両の冷房化は、国鉄・私鉄ともに年を追うごとに進められていき、利用者はより快適な輸送サービスを享受することになりま…

鉄道車両の冷房装置 出力の肥大化と大都市の気温上昇【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■大手私鉄・通勤用車両の場合 特急用車両が接客サービスの面で冷房装置を装備するのが一般的になっていった一方、通勤用車両については国鉄と同様に後回しにされました。特急用車両は特急料金を徴収してい…

鉄道車両の冷房装置 出力の肥大化と大都市の気温上昇【3】

《前回からの続き》 blog.railroad-traveler.info ■大手私鉄・特急用車両の場合 国鉄が優等列車で運用する特急形や急行形を中心に冷房装置を設置し、接客サービスの向上を図っていた頃、大手私鉄でも同様に優等列車として運用する車両を中心に冷房化が始めら…

鉄道車両の冷房装置 出力の肥大化と大都市の気温上昇を考える【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■国鉄・JRの場合 国鉄が製造した多くの車両は、新製当初は非冷房のものがほとんどでした。特急や急行など、優等列車で使われた車両も、1960年代までは非冷房が当たり前だったのです。その状態に大きな変化…

鉄道車両の冷房装置 出力の肥大化と大都市の気温上昇を考える【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 ブログの原稿を書く中で、「こんなことを書いてみたい」とか「あの車両のことを書こうか」などと思い浮かべたり、構想したりすることがあります。また、一度は書き起こしてみたものの、途中で行…