旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

2024-01-01から1年間の記事一覧

「キマロキ」編成の仕事を1両でこなそうとした「モンスター」ロータリー機・DD53形【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info DD53形のロータリーヘッドは大型化したため、二軸ボギー台車を装着した別ユニットの形態になりました。これは、かき寄せた雪を強力で遠方に投射させるために、羽根車が大型ものが装着されたこと、これによ…

「キマロキ」編成の仕事を1両でこなそうとした「モンスター」ロータリー機・DD53形【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info DD14形は北海道で実績を上げていました。しかし、本州では3号機が新潟区への配置が初めてでした。北海道で使えるのだから、本州でもその威力を発揮するものと考えられていたことでしょう。 しかし、現実に…

「キマロキ」編成の仕事を1両でこなそうとした「モンスター」ロータリー機・DD53形【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ロータリー式と呼ばれる除雪方法は、一度かき寄せた雪を取り込んで、回転する羽を使って雪を遠方へと飛ばす方法です。蒸機時代はキ600形やキ620形がこのロータリー式除雪装置を備えた唯一の車両でした。し…

「キマロキ」編成の仕事を1両でこなそうとした「モンスター」ロータリー機・DD53形

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 2024年もそろそろ終りが近づいてきました。今年は連日35℃、場所によっては40℃を超える暑さに見舞われ、地球温暖化ということを身近に感じた年だったと思います。そんな「度を超えた」暑さも10月…

【展示館】EF65 1098[新]

EF65 1094〔新〕 蘇我駅 2010年 筆者撮影 1978年 製造 川重・東洋(昭和52年度第1次債務予算)1978年 新製配置 下関運転所1987年 JR西日本継承 下関配置2001年 JR西日本廃車2001年 JR貨物購入による移籍 高崎機関区配置2008年 配置転換 新鶴見機関区2012年 …

新幹線の「守護神」という役割をもった高速ディーゼル機・新幹線911形ディーゼル機関車【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 本来の役割を事実上失ったともいえる911形ですが、もう一つの役割も存在しました。それは、ドクターイエローの元祖ともいえる、軌道検測車である921形0番台を牽引するというものでした。 東海道新幹線開業…

新幹線の「守護神」という役割をもった高速ディーゼル機・新幹線911形ディーゼル機関車【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 箱型の車体をもった911形の前面は、前面窓のしたを境に「く」の字形をした立体感のある流線型に近いものでした。前面窓は中央部から後退した2枚窓で、特急形電車である485系などに似たものでした。高速で…

新幹線の「守護神」という役割をもった高速ディーゼル機・新幹線911形ディーゼル機関車【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 160km/hで走行できるという驚異的な性能を実現させた911形ですが、そのエンジンは専用に開発された大出力機関と考えても不思議ではないでしょう。実際にはそのような専用エンジンは開発されることはなく、…

新幹線の「守護神」という役割をもった高速ディーゼル機・新幹線911形ディーゼル機関車【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 「東海道新幹線60周年に寄せて」の記事を書いている中で、新幹線といえば多くの人があの洗練されたスタイルと、高速で走り快適な電車たちを思い浮かべるであろうと思いました。 しかし、このブ…

東海道新幹線60周年に寄せて【5】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 最後に、直近で東海道新幹線を利用したのは、昨年(2023年)に大阪で開催された研究大会へ出席するためでした。早朝に新横浜駅に出向き、そこから「のぞみ」に乗車すると、2時間と少しで新大阪に到着。大…

東海道新幹線60周年に寄せて【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 同じ東海道・山陽新幹線を使って、福岡と実家を往復した中で、筆者の利用歴で最も異色だったのは、友人のお父さんの葬儀に出るために帰省した旅でした。随分とお世話になった方だったので、何としてでも参…

東海道新幹線60周年に寄せて【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1991年に高校を卒業すると、このブログで何度もお話してきたように、貨物会社に採用されて鉄道職員になりました。4月1日付で関東支社に採用、総務部総務課勤務を命じられましたが、翌日の4月2日付で九州支…

東海道新幹線60周年に寄せて【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 筆者が初めて新幹線という乗り物に乗ったのは、まだ小学生の頃でした。 当時は剣道を習っていたのですが、ある日、いつも通りに夜間の稽古に行こうとすると、母から「今日は1部だけで帰ってきなさい」と言…

東海道新幹線60周年に寄せて【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 2024年10月1日、今年で東海道新幹線が開業してから60年、人間でいえば「還暦」に値します。 国鉄から東海道新幹線を引き継いだJR東海も、この大きな節目を迎えるにあたって、これを記念した行事…

まさかの「通勤」で利用した路面電車 西鉄北九州線のお話【5】

《前回からのつづき》 ■1000形 第二次世界大戦が終わり、戦後の混乱も少しずつ落ち着き始めると、経済面での復興は少しずつ進み始めていました。1950年に勃発した朝鮮戦争は、日本の経済復興に大きな影響を与え、いわゆる朝鮮特需と呼ばれる状態になりました…

まさかの「通勤」で利用した路面電車 西鉄北九州線のお話【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■500形 西鉄の軌道線を走った500形は、福岡市内線用の車両と北九州線用の車両の2つがありました。そして厄介なことに、同じ500形を名乗りながら、両者はまったく異なる仕様と性能をもったものでした。 こ…

まさかの「通勤」で利用した路面電車 西鉄北九州線のお話【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■北九州線の主役、冷房装備の600形 筆者が赴任した1991年は、北九州線は翌年に廃止されることが決まっていた時期だと考えられます。すでにこの頃の小倉市街は自動車が多く走り、路面電車である北九州線の…

まさかの「通勤」で利用した路面電車 西鉄北九州線のお話【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info そして実際に通勤することになると、事前に教えられた通りに寮の近くにある「別院通り」というバス停から西鉄バスに乗ります。このバス停の名称は、寮のすぐ近くにある浄土真宗本願寺派の本願寺鎮西別院か…

まさかの「通勤」で利用した路面電車 西鉄北九州線のお話【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 2024年が明けた途端に、大きな災害が続きました。1日の能登半島地震では多くの被害が出て、今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされています。2日には、東京羽田空港で着陸した日本航空機と、…

1984年の生田駅を通過する小田急ロマンスカー【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1981年頃、小田急小田原線生田駅で捉えた3100形NSE車です。 ロマンスカーを象徴するグレー地にオレンジバーミリオンとホワイトの帯をいれた塗装は、SE車以来の伝統ともいえるものでした。 当時、…

1984年の生田駅を通過する小田急ロマンスカー【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 戦後の混乱も落ち着いてくると、専用の車両が登場していきました。1910形は2扉で扉付近はロングシートでしたが、ほかはクロスシートを備えたことで、特急列車としてのサービスを向上させました。そして、…

1984年の生田駅を通過する小田急ロマンスカー【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 いつかは乗ってみたいと思う列車はあるでしょうか。筆者の世代であれば、子どもの頃にはブルーに白の細い帯を巻き、夜通し走り続けて翌日に目的地に送り届けてくれる寝台特急、ブルートレインが…

空港直行バスの思い出【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 暫くの間は、直行バスとして運行されていましたが、やがて羽田空港が沖合展開事業で拡張されると、1991年には拡張地域に新たに建設されたターミナルビル「ビッグバード」が開業、すべての機能が新ターミナ…

空港直行バスの思い出【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 筆者がまだ駆け出しの鉄道職員だった頃、関東で採用された新人は北海道と新潟、そして福岡に分散して集合研修を受けました。まだ、国鉄の名残が色濃く残っていた頃なので、新人教育を担当する総…

国鉄史上最強で巨大なエンジンを搭載した大出力機 DE50【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1970年に製作されたDE50形1号機は、日立製作所で落成した後、稲沢第一機関区の配置とされ、選考量産機として各種の試験が行われました。また、冬季における性能を確かめるために、長野工場へ送られてここ…

国鉄史上最強で巨大なエンジンを搭載した大出力機 DE50【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info DE50形はエンジンと変速機を2組搭載したDD51形に匹敵する本線用大出力ディーゼル機として、1970年に製作されました。 車体はDE10形と同様のセミセンターキャブ構造をもち、1位側にDMP82形エンジンを搭載、…

国鉄史上最強で巨大なエンジンを搭載した大出力機 DE50【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 筆者が鉄道職員として門司機関区で働いていた頃、DD51形の交番検査に携わったことがあります。交番検査とは、鉄道車両に義務付けられた検査の一種で、国鉄形の場合、全般検査から90日ごとまたは…

2003年の武蔵溝ノ口駅にて 古の路線バス・川崎市交通局 三菱U-MP218K

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 「縁」とは不思議なもので、忘れた頃にかつて親しくしていた人と再会することもあります。あるいは、ある日突然、運命の人といえるような人に出会うこともあるでしょう。 それは土地も同じよう…

手間がかかるなら付けたままにしてしまおう ラッセルヘッド永久固定した異端機・DD21【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info DD21形のもう一つの大きな特徴は、キャブ部分の構造にありました。塗装は国鉄ディーゼル機の標準ともいえる朱色と灰色の2色塗りで、白い帯を巻いたものでした。初期のディーゼル機に共通して、キャブ部分…

手間がかかるなら付けたままにしてしまおう ラッセルヘッド永久固定した異端機・DD21【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info DD21形は冬季は除雪用機として、夏季は入換用機として運用することを前提として開発されました。こう書くと、DD14形やDD15形とたいして変わりないのではないかと思われますが、DD21形の最大の特徴は車体に…