最近読んだ面白い本は?と聞かれると、はて、いったいどんな本をよんだんだろう?なんて、思うほどすっかり本から離れてしまうことが多いですが、やっぱり読書はいろいろな知識を得たり、想像力を広げたりすることができるので、できれば時間を見つけて本を手にしたいですね。
私が読んだ本の中から少しずつ、お薦めしたい本を紹介していこうと思います。もちろん、鉄分の濃い本からまったく異なるジャンルまで網羅していきたいと思います。
さて、今回ご紹介するのは…
昭和の車掌奮闘記―列車の中の昭和ニッポン史 (交通新聞社新書)
- 作者: 坂本衛
- 出版社/メーカー: 交通新聞社
- 発売日: 2009/08/01
- メディア: 新書
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著者は旧国鉄大阪車掌区で長距離列車の車掌長まで勤め上げられた坂本衛さん。
終戦後の昭和28年に国鉄に入社し、昭和35年に車掌となってから乗務した列車での様々なエピソードを軽快な文章で綴っています。
中でも印象深かったのは三八豪雪と呼ばれた北陸上越地方を襲った豪雪で、列車の抑止を余儀なくされたエピソード。長時間、列車の発車を止められたまま鮨詰め状態に。乗員乗客ともに食料もなく空腹状態で、駅近くの旅館などに炊き出しの協力をしてもらい、いよいよ食事が届くというときになって輸送指令から列車を発車せよ!との指令が・・・。
待ちに待った食事を目前にして、著者である坂本車掌のとった行動は?
現場一筋で一貫して列車の車掌であり続けた著者の、車掌としての仕事への情熱や生き様を描いたこの本は、仕事とはどいうものか、現場で働くプロとしての流儀を考えさせてくれます。
「平成30年豪雪」と呼ばれる北陸地方を襲った豪雪では、公共交通機関である鉄道が軒並み除雪が間に合わないなどして麻痺しました。そして、その対応の拙さから社会生活が麻痺するなど大きな影響を与え、今後に課題を残したといえます。
今日、残念なことにマニュアル通りに仕事をすることが重要であると考えられ、そこから逸脱することを良しとしない風潮が鉄道の世界にも広がっているようです。想像力を働かせて臨機応変に、その場で適切な判断と大胆な決断力が求められる現場の仕事。この本から著者の車掌としての姿から、今日足りなくなってしまったものを考えさせられるのではないかと思います。
ちなみに、私はこの本をほぼ2日間で読み切ってしまいました。
軽快な文章と適度なボリュームで、とても読みやすい本だと思います。
蛇足ですが、この本は「カレチ」という漫画の元ネタともなっていますので、漫画でも読むことができます。