6月最後の日曜日、初めて娘と私の二人だけのお出かけは、梅雨の晴れ間の天気も手伝って、汗ビッショリになりながらも目的地の東京駅へと何とか辿り着きました。
とにかく、初体験やら気付きやらがたくさんで、もうお腹いっぱいのお出かけでしたが、夕飯は東京駅で駅弁を買って食べようと前々から相談していたので、丸ノ内地下中央口で入場券を購入することに。
妻と娘を人の動線から少し外れたところで待たせて券売機の前に行くと、年配の女性が千円札を握りしめたまま、何やら不安そうに立ち尽くしていました。
(おや、どうしたのかな?)
と思っていると、年配の女性が私を見つけて、
「すみません、ここでは羽田空港までの切符は買えないのでしょうか?」
と聞いてきました。
どうやら羽田から飛行機に乗ってお帰りになるのか、とにもかくにも切符が買えなくてほんとうに困り果てていた様子でした。もちろん、嫌な顔一つせずに対応しました。
東京駅から羽田空港へ行くには、浜松町駅か品川駅で他社線へ乗り換えです。切符は「連絡乗車券」を買う必要がありますが、券売機によっては買えないこともあるので、一瞬だけ横目で券売機をチラ見しました。
券売機はよくある近距離用のもの。これなた買うことができます。
「羽田空港ですか?ええ、買えますよ」
私が答えると、女性は少しだけホッとした様子でした。といっても、まだまだ不安は拭えきれなかったようです。
「切符の買い方が分からなくて・・・」
なるほど、券売機の操作が分からなくて、乗換の切符を買えないでいたんだと分かると、女性を券売機の前まで案内して、
「浜松町からモノレールでしょうか、品川から京急線でしょうか?」
今度は私が女性に訊いていました。
「モノレールなんです」
「浜松町からモノレールですね。分かりました」
そういいながら、私は券売機を操作しようと画面を見ると・・・
▲IT技術の発達で、駅の自動券売機も大きく変化していった。タッチパネルで多様な切符が買える一方、画面のメニュー配置などの仕方によって利用者によっては使いづらいものになってしまうという「諸刃の剣」となってしまうようだ。また、写真のような一般的な券売機の設置の仕方では、子どもや車椅子利用の方などにとっては利用しにくくなってしまう。(©nesmad Wikimediaより)
うつ、ちょっと前まで見慣れていた画面と違うではないか!
しかも、連絡乗車券を購入するためのボタンが・・・小さい!
新しい端末に入れ換えたのか、それともソフトウェアを更新したかは分かりませんが、最初のメニュー画面がほんとうに分かりづらいものだったんです。それじゃあ、不慣れなお客さんにとっては切符を買うだけでも難儀するのも肯ける話です。
運良く連絡乗車券を買うボタンを見つけることができたので、ボタンを押して次の画面にあった「浜松町・モノレール」のボタンを押しました。
ようやく、モノレールの各駅のボタンが出てきます。
「お乗りになるのはどこの航空会社ですか?」
女性に訊く私の言葉に、内心苦笑いしてしまいました。
これじゃあ、駅員の対応だよ、と(笑)
ま、元を正せば鉄道マンだったので、これくらいのことどうということもないし、せっかく訊ねてくださったんだから、最後まで案内しなけりゃ元鉄道マンの肩書きが泣きます(?)
「全日空に乗ります」
「全日空ですね。それなら第二ターミナルになるので、終点までお乗りになってください」
といいながら、第二ターミナルのボタンを押します。
「これでお金を入れれば、切符が出てきますよ」
そういうと、女性はとても安心したご様子で、握りしめていた千円札を券売機に入れると、目的地までの切符が出てきました。
「ありがとうございます、助かりました」
そういって、切符とおつりを受け取ると、混雑している改札口の中へと消えていきました。
▲1990年代初め頃までは写真のような券売機がほとんどだった。すべて発光式の押しボタンで、投入した金額以内で購入できるボタンが光るなどして、希望する金額のボタンを押して切符を購入していた。乗換などの連絡乗車券も、写真のように色別で分けられていて、どこで乗り換えてどの路線をつかうかが分かりやすくなっている。予め設定された切符しか販売できないが、簡便で分かりやすい、いわゆる「アナログのよさ」だといえる。(Wikimediaより)
私の一連の行動を見ていた妻は、ニヤニヤしながら待っていてくれました。
まるで駅員の如く、券売機の操作を代わってする姿は、いまの仕事をする姿しか見たことないので、ある意味新鮮だったのかも知れませんね。
ま、とにかく人のお役に立てたのは嬉しいものです。
が、同時に一つの疑問も出てきました。そのお話はいずれの機会に。