旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

大変ご無沙汰しております

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 皆さま、こんにちは。

 前回の投稿からずいぶんと時間が経ってしまいました。最後の記事が9月4日なので、2か月近く更新がされないままとなってしまいました。いつも、楽しみにお読み頂いている方、ほんとうに申し訳ございませんでした。

 この間、本業が多忙を極めておりました。拙著をお読み頂いている方の中には、私の本業をうすうす感じ取っている方もいらっしゃると思います。私は元鉄道マンでもあり、公立学校に勤めている現役の職員です。なので、この9月から10月というのは、学期末と学期始で、成績処理やら何やらと、恐ろしいほどの多忙を極めるのです。

 最近、マスコミ等々で関心を寄せて頂いたり、あるいはご存知の方もいらっしゃったりすると思いますが、学校というのは異常なほどの仕事量と忙しさです。勤務時間内に仕事を終わらせることなどほとんど不可能で、自宅に持ち帰って夜な夜なまで仕事をすることなど、日常茶飯事になっています。

 ところで、どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか。

 いくつかの原因があると考えています。
 私が採用された15年ほど前と、仕事の内容自体に大きな変化はありません。量もそれなりにボリュームはありましたが、それでも、かつてはそれほど負担ではありませんでした。

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 では、なぜなのでしょうか。
 その一つとして、最近の鉄道業界でも大きな課題となっている、技術継承が上手くいっていない、と言うことだと思います。
 どの仕事にも、かつては熟練したベテランの人たちがいました。ベテランは、それまで培った仕事のノウハウを、時に厳しく、そして時に優しく若手に伝えていました。それが、職場の中で脈々と受け継がれていたのです。若手もそうしたベテランの人たちの背中を見て学び、成長していきました。
 私がかつて貨物会社で働き、電気区(のちに保全区)に所属し、線路の中で仕事をしたときもそうでした。また、日本でももっとも古い歴史をもつといわれているハイヤー・タクシー会社の一つに勤め、ハイヤーのドライバーとして働いたときもそうでした。さらには、大手電機メーカーの子会社で、CEやSEとして腕を磨いたときも同じでした。

 それは、業種や会社が変わっても、そこの業界や企業として継承されてきたものです。

 ところが、最近はどの業種やどの会社でも、この技術継承が大きな課題なっています。それは、いま、私が勤める学校でも同じなのです。

 考えられる原因はいくつかあります。
 一つは、団塊の世代をはじめとして、大量採用された世代がここ数年で定年などを迎え、退職していきました。その穴を埋めるために、若い人たちが大量に採用されました。その結果、職場の平均年齢が一気に若返ったのです。
 そして、後に続くはずだったいまの40歳代後半から50歳代の職員は、当時、定数に定められた人数が満たせていたという理由で、極端に採用が抑えられました。そのため、この世代は非常に少ないのです。
 そして悪いことに、この世代は一部を除いて先輩方に鍛えられる機会も少なく、誤解を恐れずにいえば、先輩や上司のから仕事を学び取ることもほとんどないまま、今日に至ったと考えられます。そのために、仕事の技術継承もままならないまま、組織を動かさなければならなくなったといえるでしょう。その結果、仕事の内容や量そのものには大きな変化がなくても、職場が必要以上の混乱に見舞われているがために、多忙化だけが促進されているという面もあるのです。

 詳細なことはまた別の機会に譲りますが、現実として、こういったことがおきているのです。

 これは、実のところ鉄道も同じでした。
 国鉄は巨額の赤字に苦しみ、徹底的な経費削減のために、あるときから現場職員の新規採用を止めてしまいました。そして民営化後も7年間、現場職員を採用しないという異常な状態が続き、会社発足後7年目の1991年に初めて若い職員が入ってきたのです。
 その結果、新規採用をしなかった世代は抜けたままとなり、後年になって団塊の世代を中心に、大量の職員が定年退職を迎えて会社を去って行きました。いくら先輩方が優秀で、その技術を若手に教えたとしても、10年以上のブランクがあれば、それを十分に教えるだけの時間は限られます。
 結果、それまで培ってきた「仕事の技術」の継承はままならず、多くの場面で弊害が生まれてしまいます。

 2010年以降、安全輸送を脅かす事故を立て続けに起こしたJR北海道や、2017年におきた山陽新幹線の「のぞみ34号台車破損重大インシデント」。あるいは2017年に相次いで起きた東急田園都市線の高圧電気設備トラブルなど、これもまた技術継承がきていないことに起因するインシデントでした。

 

blog.railroad-traveler.info

 

 いすれにしても、ジェネレーションギャップという根本的な問題があるまま、急激な世代交代による技術継承に大きな課題を抱え、加えてマニュアルやコンピュータを過剰なまでに頼るが故に、以前なら防ぐことができたエラーが顕在化し、結果、多忙化を促進しているといえるのかも知れません。

 今年(2019年)の2月に配信された時事通信の記事に、気になることがありました。
 国土交通省の調査で、2017年に列車の運休や30分以上の遅延が起きた輸送障害は5934件起き、これは1988年に起きた同様の輸送障害、1883件のおよそ3倍の数だということです。
 およそ30年の間に、鉄道の輸送障害が3倍に膨れあがっていることに、元鉄道マンとしても驚かずにはいられません。確かに、私が現役であった頃に比べると、列車が止まることが多くなったというのが正直なところです。

 

www.jiji.com

 これらの背景にも、多くの要因があることが想像できますが、もしかすると学校が多忙化していることと共通したことがあるのかも知れません。

 そうしたあたりは、いずれ近いうちに検証してみたいと思います。

 いずれにしても、異常なほどの多忙を極め、ブログが疎かになってしまったことが、ほんとうに心苦しく思っていました。が、少しずつ、再開していきたいと思っていますので、引き続きご愛読頂けると嬉しい限りです。