旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

この1枚から 盛夏の京都駅にて

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 いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 今年の夏も、目が回るような酷暑です。仕事柄、ほぼ毎日のように朝は天気情報を確かめるのですが、晴れる日であればオレンジ色の背景に太陽のイラストのアイコンが表示されるところを、赤い背景にギラつく太陽のイラストのアイコンを見ることが多くなりました。そして、言葉での予報はというと・・・「猛暑」という予報。

 気温も35℃を当たり前のように超えた数値を見るたび、頭がクラクラしてしまいます。いえ、夕方近くになると頭痛もすることがあるので、軽く熱中症になっているのかも知れません。

 こうなると、朝から熱中症対策に奔走することになるのですが、例年との違いはやはり「コロナ対応」が同時進行でしなければならないので、言葉通り「神経を磨り減らす」毎日なので、健康に気を付けて過ごしていきたいと思います。

 この夏の暑さで思い出すのが京都です。

 ご存知の通り、京都市は周囲を山に囲まれた京都盆地にあるので、夏は暑く冬は寒いという盆地特有の気候です。十年近く前に、京阪神へ遠征へ出かけた時に、新幹線から降り立ったのも京都駅で、それまで空調の効いた車内で快適に過ごしていたのが、降りた途端に熱風に体を包まれ、瞬く間に全身汗ビッショリ。最初に買った500ミリリットルのポカリスエットは30分もしないうちに空っぽになってしまいました。

 

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2014年8月 京都駅

 

 そんな暑さに包まれた京都駅を、あっちにフラフラ、こっちにフラフラしながらたくさんの写真を撮影した中で、117系の原色を捉えたものがありました。

 写真からは「暑さ」は伝わってきませんが、京都駅のホームや構造物の重厚さはお伝えできると思います。

 2014年8月に撮影したもので、この頃はJR西日本の塗装簡略化が始まったばかり。一部の113系などはいわゆる「抹茶色」にされてしまったものがいました。117系も一部は「抹茶色」が蔓延り始めていたようですが、まだまだ少数派でこのような国鉄色のものもありました。

 そもそも117系京阪神地区の新快速用に、国鉄が開発しました。特別な料金を取ることなく、普通乗車券だけで乗ることができる新快速は、速達性は並走する私鉄に十分太刀打ちできるものだったといいます。ただ、宛がわれる車両といえば、急行列車の運用から退いた古豪153系で、私鉄のハイグレードな接客設備を備えた車両とは比較にならないものでした。

 そこで接客サービスを向上し、国鉄への利用促進を目論んで制作されたのが117系でした。近郊形電車としては異例の転換クロスシートを備え、台車も枕ばねを空気ばね式のものを履かせて乗り心地を格段に向上させました。

 まさに、国鉄にとっては「大盤振る舞い」の画期的な車両だったのです。これは、ほぼ同時期に開発された185系にも通じるものがあり、いかに国鉄の車両が画一化された「国鉄の伝統と都合による設備」だったが窺い知れることでしょう。

 かくいう筆者も、185系とともに紹介されていた117系を見て、言葉通り「度肝を抜かれる」ほどのセンセーショナルなショックを受けたものです。185系は地元を走るので乗ろうと思えば乗ることができますが、117系は遠く京阪神にまで行かなければ見ることもできなかったので、幼心にこれが走る場面は車内を想像して、遠い地への旅に思いを馳せたものです。

 JR西日本に継承された117系は、一部が和歌山や広島などへ転出して、その設備を生かした列車で運用されて活躍しますが、京都に残った117系は新快速を後輩である221系や223系などへ引き渡し、2010年代にはご覧のように普通列車として活躍を続けました。

 ところでこの写真をよく見ると、客室の窓は上段下降下段上昇のユニットサッシを装備した0番代でした。京都に残った117系は、民営化後もあまり手を加えられていなかったので、比較的原形を保っていたといえます。

 

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

#117系 #国鉄形の車両 #国鉄 #JR西日本