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鉄道を使って旅に出ると、普段は乗ることができない車両に乗り、車内を観察することが楽しみの一つでした。特に都会に生まれ育った筆者にとって、ロングシートではない車両を宛がった列車に乗るのは、まさに「宝の山」に入っていくような気分でした。
小学生の頃、祖父に連れられて旅をした九州では、博多駅から乗った特急「有明」のように、交直流特急形電車の485系はとても楽しみだったので、とても強い印象を抱いたものです。
一方、気動車はあまり縁がなく、キハ80系のように北海道や中部地方の一部で運転されていることは知っていましたが、残念ながら乗る機会はありませんでした。
今回の写真は、小樽市総合博物館に保存されているキハ82の車内です。
紺色のモケットが張られたクロスシートが整然と並ぶその光景は、まさに国鉄車両を象徴するかのようです。
今日の特急形車両では当たり前になっているリクライニング機構など、この座席にはありません。それどころか、二つの座席はつながっていて、一人分の着席を区分するのは真ん中にあるモケットの縫い目と、僅かに膨らんだ部分だけです。言い換えれば、急行形のボックスシートを背中で半分に割り、背もたれと座布団を分離させて座り心地に配慮した構造になっただけのものでした。
もっとも、これでも当時としてはとても贅沢な作りで、まだ特急列車が庶民の手に届かない頃は、まさに「高嶺の花」だったのでした。
もちろん、車内は冷房完備です。キハ80系の冷房装置は、外観はいわゆる「キノコ形」と呼ばれるキセが被せられた分散式のAU12でした。車内から見ると、AU12が2基1組になって設置されていて、車内の吹き出し口も2か所は間隔が短く、その手前は間が延びたかのように間が空いています。
クリーム色のデコラ板で張られた内装といい、ステンレス素材の棒状の網棚といい、昭和の匂いがプンプン漂っていますが、古くても懐かしい感じがするのは、筆者が昭和の人だからでしょうか。
そういえば、幼少の頃、亡き父と新潟県柏崎に出かけた時に乗った特急「はくたか」も、この座席だったのでしょう。冷房も完備しているこのような設備は、当時としてはかなり贅沢で、子ども心にもとても快適だったことを思い出しました。今では「思い出」の中にしかありませんが・・・。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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#キハ80 #国鉄形車両