《前回からのつづき》
いよいよ8000系の撮影会です。
まずは、伊豆高原駅から乗ってきて、留置線に滞泊するTB-2編成。行先幕は白地に黒文字の一般的な「団体」の表示です。
ツアーの添乗員役の伊豆急行の方から、「幕を変えます」と案内され、一瞬会場にはどよめきが。そして、掲げられたのが緑地に白文字の「二子玉川園」。さすがにこの表示には多くの人が度肝を抜かれたのか、さらに大きなどよめきが起こりました。二子玉川園時代に、この色使いがあったか記憶がないのですが。
次に表示されたのは「桜木町」。東横線で長らく活躍した8000系は、この表示を多く見たものです。白地に黒文字の表示は、昭和50年代終わり頃まででした。黒字に白文字時代は、筆者はほぼ毎日のように通勤や通学で利用したいたので、とても懐かしいものがありました。
続いては「渋谷」。現在も渋谷行きはありますが、すべての列車が渋谷行きだったのも、すでに10年以上が経っています。
「元町・中華街」の表示。2005年2月に実施されたみなとみらい線との直通運転によって、桜木町行きは過去のものになり、代わって元町・中華街行きになりました。もっとも、8000系はそれから数年後には東横線から去っていったので、この表示を掲げた姿も短い間だけでした。
やっぱり、伊豆急行の行き先表示も逃せません。「熱海」行きを表示していますが、実際にはLED表示器を装備しているので、このような幕表示を見ることはないものです。が、これはこれで似合っていると思うのは筆者だけでしょうか。
お次は「伊豆高原」の表示。伊豆高原車両区への入庫を兼ねた運用を想定したものです。
最後は「伊豆急下田」行きの表示です。LED表示ではなく、このような幕表示で実際の運用に入っていたら、大きな話題になることでしょう。
TB-2編成の並びには、JR東日本のE257系が留置されていました。東急とJRの車両がこうして並ぶのも、伊豆急行ならではのことではないでしょうか。それにしても、毎日のように乗った車両が、こうして肩を並べているのも不思議な光景です。
空はすっかりと晴れて、気温はぐんぐん上昇。厳しい残暑になりましたが、太陽のひかりは間違いなく秋へ、そしてその先への冬へ向かっていることを感じる赤みを帯びはじめていました。
伊豆急下田駅でのすべての行程を終え、いよいよツアーの終盤となる伊豆高原行きの列車へと乗車します。
午前中の天気が嘘のように、晴れて澄み渡った空はとってもきれいでした。
水平線上に薄っすらと見えるのは伊豆大島です。東京からはかなり南に位置していますが、伊豆半島の河津町とほぼ同じ緯度なので、東伊豆の伊東より南の海岸沿いでは、このように伊豆七島を見ることができます。
左に見えるのは利島。その右に見える小さなちまは鵜渡根島です。利島は人口300人の有人島ですが、鵜渡根島は定住者のいない無人島です。
最大望遠で撮影した伊豆大島。なんと、大島町の市街地が見えました。晴れて、しかも空気が澄んでいなければ、こうした光景を見ることはできなかったでしょう。このような眺めを楽しめるのも、海岸沿いを走る鉄道の醍醐味といえました。
《次回へつづく》