旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

この1枚から 1984年の品川駅10番線ホーム

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 いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 品川駅といえば、かつては東海道本線の拠点となる駅のひとつでした。今もその位置づけは変わらないと思いますが、東京上野ラインの開業によって常磐線ターミナル駅という一面も併せもつようになりました。

 その常磐線は10番線ホームで特急「ひたち」などが折り返すようになりましたが、それはつい最近のこと。かつて、品川駅の10番線ホームは「臨時ホーム」としての位置づけで、駅構内の案内表示にもそのように記されていました。

 この「臨時ホーム」とは何かと言えば、定期列車が殆ど停車しない予備のホームでした。中には品川止まりや品川始発の列車も設定されていましたが、これらも臨時ホームに発着していました。変わった例では、東海道本線から山手貨物線を抜ける集約輸送臨時列車、所謂「修学旅行列車」もこの臨時ホームで折り返しのために停車していたのです。これ自体は今日も変わらず続いているようですが。

 

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 写真は1984年頃に撮影した、品川駅10番線に停車する167系です。前面貫通扉の上にある方向幕には「修学旅行」と表示されていることや、貫通扉の窓には「9754M」という列車番号からも分かるように、集約輸送臨時列車としての運用に就いていたのでしょうか。

 ホームは薄暗くて分かりづらいですが、利用客はまったくいないと言ってもいいほど、人の気配はありませんでした。修学旅行列車なので、このホームでの客扱いもないので、当然人の乗降などありませんでした。

 167系は民営化後にはリニューアルされるなどしましたが、1984年なので原形のままです。前灯は白熱灯をつかった「大目玉」と呼ばれる口径の大きいリフレクターを備えたライトユニットを装備しています。尾灯に使われる電球も白熱電球だったので、棒状のフィラメントが光っている様子が、ライトレンズ越しに分かるように国鉄時代そのものといった光景でした。

 10番線ホームに停車する167系の横には何本かの線路が敷かれています。この側線には時折品川客車区で入換作業をするDD13やDE10が、客車数両を従えて引き上げてくることもありました。

 そして、その線路の向こうに停車するのは東海道本線113系で、ちょうどグリーン車のサロの姿も見えます。そのサロは、写真からはわかりにくいのですが、客用扉と戸袋部の次が客室窓があるので、車掌室を備えないサロ111ではないかと思われます。この頃の東海道本線は、行先表示を方向幕ではなくホーロー製のサボを使っていたのも、この当時の特徴ではないでしょうか。

 いずれにしても、この写真に写っている光景は今は見ることができません(当たり前ですが)。10番線ホームは常磐線の折り返しホームとなり、E657系E531系が折り返しのために停車するようになりました。167系が担っていた集約輸送臨時列車は故知に189系185系へと引き継いで姿を消しました。113系自体も既に淘汰されて久しいですが、サロ111自体も1993年には廃車となってしまっています。

 そして、品川駅自体も東海島新幹線を停車させるためにホームを新設したり、あるいは駅構内にショッピングモールをつくったりし、さらにはこれらの工事になど伴い幾重にも敷かれていた線路を撤去、整理され、この頃の面影はほとんど失われてしまいました。

 時代の流れなので仕方のないことですが、やはりこうして写真を眺め、当時を思い起こしてみると、自らの齢を感じるとともに、少し寂しい気もしてしまいます。

 

 今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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#国鉄 #東海道本線 #国鉄形車両 #167系 #品川駅