旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

この1枚から 青色に白帯を巻いた客車

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 いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 筆者がまだ小学校に入学した頃、たまに家族で川崎駅にある駅ビル(現在は「アトレ」になっています)の食堂で夕食を食べに行ったことがありました。あまり裕福ではなかったので、こうした外食は本当に「ご馳走」という言葉がぴったりで、幼心にも心が躍ったのを覚えています。

 心が躍った理由は実はもう一つあり、この駅ビルのトイレの窓から駅構内を見下ろすのが楽しみだったのです。実家の近くにも操車場があったので、跨線橋から仕訳線群に突放されてくる貨車たちを眺めることはできたのですが、貨車ばかりだとさすがに飽きてくるので、たまに旅客列車を見るのも楽しみでした。

 その1970年代終わりから80年代初頭の川崎駅には、東海道本線の海側に何本かの側線がありました。普段はここを通過するような列車はなく、貨物取扱いも駅北側にあった明治製菓専用線が残っていたくらいで、貨車の姿を見かけたことありませんでした。

 その代わりといってはなんですが、この側線には青色地に白帯を巻いた客車が留置されていることがありました。実は、この留置されている客車を眺めるのが、川崎駅に出かけるもう一つの楽しみだったのです。

 

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スハフ43 2 大井川鐵道新金谷駅 2016年4月29日 筆者撮影

 

 その川崎駅ビルのトイレから見えた客車は、青い車体に日本の白い帯を巻いていました。まだまだ小学校に上がったばかりか、それから年数の経ってない筆者は、「アレは間違いなく、ブルートレインだ!」と確信し、そのことを父に話すと・・・

「何を言ってるんだ、アレはお前が言うブルートレインじゃないよ」とにべもなくいわれたものです。そう言われて悔しかったのか、もう一度よく見ると確かに、ブルートレインとはどこか違っていました。

 もっとも、幼少だった筆者に、これが何であるかはそれ以上調べようもなかったのですが。

 

 1970年代終わりから、1980年代初めの頃に川崎駅の側線に留置されていたのは、恐らくは品川客車区に所属する旧型客車だったのではないかと推測しています。この頃は、既に14系や12系といった新しい客車が波動輸送に宛がわれていたようで、これに使われていた旧型客車は用途をほぼ失い、休車の措置がとられた上で疎開留置されていたのでしょう。

 ただ、結局はこの客車の形式は分からないままで、もっとも考えられるのがスハ43系だったのではないかと考えています。

 ところで、旧型客車の塗装は古くはぶどう色2号、後に青15号に変わっていきましたが、青15号に変更された車両は近代化改造を受けた車両が対象だったようです。

 その旧型客車で青15号に塗られた車両も、中には写真のように白帯を巻いたものがいました。これを見ると、確かにブルートレインに見間違っても不思議ではない出で立ちであることが分かります。

 この白帯、実は「観光団体用途」に使われた客車に施されたようで、筆者が川崎駅でみたのはこの「観光団体用途」の旧型客車だったのではと考えています。似たような塗装に「はつかり」に使われたスハ44などが白帯を巻いていたようですが、まさかこの時代に「はつかり」塗装のスハ44は考えにくいでしょう。

 結局、どの形式がこの用途に宛がわれていたのかは分かりませんが、筆者の記憶ではスハ43系だったと思います。

 写真は大井川鐵道で動態保存されているスハフ43です。こちらは「はつかり」塗装を再現したもののようですが、同じ系列の客車でも小窓がズラッと並ぶ姿は、まさに栄光の特急列車時代を彷彿させてくれます。

 車内もスハ43がボックスシートであったのに対し、スハ44やスハフ43は背もたれこそ固定されているものの、固定式のクロスシートでした。ただ、転換式でも回転式でもなかったため、座席はすべて同じ方向を向いて固定されていたようで、方向転換をするには組成されたままデルタ線と呼ばれる線路を走り、スイッチバックなどを繰り返して転換する手間があったそうです。

 今では考えられないようなことですが、スハ44やスハフ43が活躍した当時は、展望車も連結している列車があり、蒸機が先頭に立っていたので、こうしたことは避けられなかったようです。

 

 今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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#スハ43系 #国鉄 #国鉄形車両 #旧型客車 #大井川鐵道