いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。
寝台特急で旅をする。これほど日常の喧騒から離れて、ゆったりとした非日常の時間を満喫できることはなかったと思います。特に個室寝台の部屋に入ってしまえば、そこは誰にも邪魔をされない自分だけの空間に、窓から眺める園の世界とは違った時間が流れていたと思うほど、ゆったりとしたものでした。
写真は上野―札幌間を結んでいた寝台特急「北斗星」の、B個室寝台「デュエット」の廊下を写したものです。
始発である上野駅でこの車内に入ると、駅の喧騒がまるで別世界の出来事のように、静かな空間でした。そして、開放式寝台であれば、寝台に座った旅人たちの会話が聞こえてくるのですが、この車両は全て個室なのでそういった声は一切聞こえません。
列車が発車してもそれは同じで、ただただレールの継ぎ目部(ジョイント)を通過する時の音と車輪がレールの上を走る音だけが車内に響くだけ。くる日もくる日も仕事と時間に追われる慌ただしい生活がまるで他人事のように、ここだけは時間がゆっくりと流れていると感じたものです。
既にこうした列車は過去のもの。
新幹線が開業して移動する時間が減ったことはいいことですが、はたして、鉄道の「旅」とは時間さえ短ければいいのか?という疑問が残ります。もちろん、こうした夜行列車を運転することは、鉄道事業者にとってはかなりの負担であることは理解できます。働き方改革が叫ばれて、加えて新型コロナウイルスの感染拡大によって、鉄道そのものの利用者が激減し、分割民営化以来の赤字を計上する中で、深夜の保守作業時間を確保することを名目に、最終列車の繰り上げを検討する中で夜行列車を運転するのは難しいことでしょう。
日常から解放され、ゆったりとした時間をすごし、心も体も休めるのも鉄道の「旅」の良さだったのではと思うのです。
こうした「昔は良かった」なんて発想をしてしまうのも、筆者が齢を重ねた証拠なのかも知れません(笑)
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
あわせてお読みいただきたい