旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

さらば札沼線末端区間【4】 《鉄路探訪》かつての「赤字83線」から、都市圏輸送を担う電化路線へと進化する鉄道・札沼線

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桑園-新琴似(2)


 下手稲通りと呼ばれる県道をオーバーパスすると、列車は八軒駅に到着する。

 八軒駅は相対式2面2線で、およそ地方交通線の非電化区間の駅とは思えない、都会的な造りの駅だ。しかも、桑園駅函館本線と並走しているので高架駅であることはごく自然のことだが、函館本線と別れて札沼線だけになってもこの八軒駅から新琴似駅までは連続して高架が続き、駅も近代的な高架駅である。非電化区間でこうした造りの路線は、全国的にも珍しいという。

 ところで、八軒駅函館本線の高架化に伴って、札沼線への分岐部分についても高架化された1988年の開業と比較的新しい。いわば、高架化とともに誕生した駅である。名前の由来は、開拓時代に屯田兵舎が八軒あったことに由来するらしいと聞いたことがある。

 八軒駅を出発すると、列車はほとんど直線の線路を進んでいく。雪に覆われていてあまりよく見えないが、線路は高架線によく使われる弾性枕木直結軌道というもので、高速運転に向いている構造だ。ところが、八軒駅を出発した列車は、加速時こそ頼もしくも軽快なエンジン音を響かせはしたものの、すぐにそのエンジン音もしなくなり、ゆっくりとした速度で走っていく。時速にして役50km/hという速さは、高規格線路がもったいないと感じるほど、のんびりとしたものだ。その答えは、この後キハ141系気動車に乗ったときに解るのだが、さすがにキハ201系気動車では性能を持て余し気味と言ったところだ。

 

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新琴似駅に到着したキハ201系気動車。平日の日中のためか、それほど多くの乗降はない。それでも、そこそこの乗車率で一定の需要があることが窺える。利用者の多くが学生とおぼしき若い人たちで、沿線には多くの学校があることから「学園都市線」という愛称も肯ける。(2011年11月22日 新川駅 筆者撮影)

 

 列車はすぐに新川駅へと到着する。八軒駅新川駅の駅間は僅か1.5km。非電化路線の駅間としては短く、まるで首都圏の私鉄並みの距離でしかない。ここでも、乗降は数人といったところだ。

 新川駅から次の新琴似駅もほぼ直線だが、途中でアーチ状に起伏ができている。ここを登るために、ディーゼルエンジンをうならせるがそれも一瞬のこと。このアーチ状の起伏は、札樽自動車道をオーバーパスするためのもの。札樽自動車道自体が高架道路なので、札沼線はさらにその上を乗り越えなければならないため、このような線形になっている。それでも、平均して40km/hないし50km/hの速さで走っている。

 札樽自動車道をオーバーパスする箇所は斜張橋となっていて、しかも騒音防止の観点からか割と高い壁が作られているので、札樽自動車道そのものは余りよく見えない。それでも、オーバーパスする直前に、僅かだが行き交う自動車が見えたが、平日のためだろうか雪が降っている割には多くの自動車が行き交っていた。

 オーバーパスする斜張橋を降りると、再び直線の線路を走って新琴似駅に到着。ドアが開くと若い大学生らしき乗客が、それなりの人数が降りていった。入れ替わるように、同じぐらいの人数がホームで待っていた。筆者も、ここで降りてみた。

 

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新琴似駅をあとにして札幌へ向かうキハ201。11月とはいえ下旬になると、北海道は厳しい季節に入る。雪が舞う日などは、15時も過ぎれば薄暗くなり始め、列車が去ったあとの駅は人の気配もなくなり、静寂だけが残っていた。(2011年11月22日 新琴似駅 筆者撮影)

 

(この記事は、筆者が運営したWebサイト「鉄路探訪」に掲載したものを、加除訂正の上再掲したものです。取材日は2011年11月22・23日。記事の内容は取材当時のものです。) 

#JR北海道 #札沼線 #鉄道旅行

 

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