旅メモ ~旅について思うがままに考える~

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さらば札沼線末端区間【3】 《鉄路探訪》かつての「赤字83線」から、都市圏輸送を担う電化路線へと進化する鉄道・札沼線

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桑園-新琴似(1)


 札幌駅を発車すると、函館本線と同じ高架線上を走っていくことになる。複々線になっているように見えるが、実際には函館本線が複線で、札沼線は単線になっている。函館本線の上り本線と下り本線の間に長い引き上げ線が設けられているので、複々線に見えてしまう。

 以前、札沼線は桑園から札幌までの間を函館本線上を走行していた。しかし、列車の運転頻度が高くなるにつれて、札沼線函館本線を走行するのに不都合が生じてきたので、新たに引き上げ線を設置して、もともとあった引き上げ線を札沼線に振り向けている。

 高架上を走る札沼線はまさに都市鉄道の姿そのもので、線路際には商業ビルなどの高層の建物が建ち並び、よくある大都市の姿が車窓から見える。一点だけ、雪が降り積もっていることを除けば。

 桑園駅で線路は分岐し、島式1面2線という構造になっている。もちろん、函館本線とは別のホームを使用していて、こちらの方は新十津川に向かって左手に、島式1面2線と同じ構造になっているから、桑園駅全体でいうと島式2面4線ということになる。

 ホームは冬季の降雪を考慮して、シェルターがホーム全体を覆うように造られているので、照明に頼った地下駅のような雰囲気は札幌駅と似たような感じだ。桑園駅のすぐ近くにはJR北海道本社がある、いわば「お膝元」であるためか、中間駅の一つでありながら駅の設備は充実している。

 

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▲高架線上を走る車内からみた札幌市内。都市圏ではあるものの、市の中心部から離れると、高層の建築物はあまり見あたらない。代わりに北海道の厳しい気候に対応した、独特の形状をした屋根を持つ住宅が多く見られる。(桑園-新川間)


 桑園駅では数人が乗車してきただけで、降りる人はいなかった。ホームに着くと、ドアは車掌の操作で一斉に開閉していた。途中駅での僅かな時間の開閉は、乗客による操作で開閉させない方が合理的なのか、それともそこまでするほどまだ寒くないのかは定かではないが。

 桑園駅を出ると、線路は再び単線になる。暫くは函館本線と並走すると、やがて右手に大きな敷地とスタンドを備えたものが見えてくる。札幌競馬場は、中央競馬が所有運営する競馬場で、もっとも北に位置する競馬場だ。当然、開催は夏季に限られてしまうので、雪が降り積もる冬季は人の姿はなく、そこだけ静かな時間が流れているようにみえた。そして、札沼線はいよいよ函館本線と分かれ、競馬場の外縁に沿うように右にカーブを描いていく。

 カーブの先は見通しのよい直線になり、線形としては非常に恵まれている。この辺りでは速度も70km/hぐらい出ているのだろうか、キハ201系気動車はその加速性能にものを言わせて、非常に軽やかに走っていく。

 この辺りまで来ると高層の建物の姿は少なくなり、代わって戸建ての住宅が多く建っているのが高架上から見渡せる。むしろ、戸建ての建物が立ち並ぶ中に、たまに3~5階建て程度の集合住宅があるくらいで、都心部と比べるととにかく空も高く広々とした感じだ。しかも、北海道は開発するにあたって「碁盤の目」状に造られているので、その建ち並び方も整然としているのが特徴だ。もちろん、民家と民家の間は十分に空けてあるので、非常に広くも感じる。

 

f:id:norichika583:20200419234759j:plain▲キハ40形400番代を先頭に、キハ141系3両編成と4両編成を組んで札幌へ向かう普通列車。キハ40形400番代は、札沼線の末端区間である石狩当別以北を単行で運用するために、エンジンを強力なN-DMF13HZDへ換装し、ワンマン設備を追加している。基本的に石狩当別新十津川間で運用されるが、検査などで苗穂運転所へ入出区する際には、写真のように日中時間帯に石狩当別以南でも運用されることがあった。(2011年11月22日 新川駅 筆者撮影)

(この記事は、筆者が運営したWebサイト「鉄路探訪」に掲載したものを、加除訂正の上再掲したものです。取材日は2011年11月22・23日。記事の内容は取材当時のものです。) 

#JR北海道 #札沼線 #鉄道旅行

 

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