旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

臨貨の「金太郎」を捉える

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 いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 筆者の仕事柄、平日に有給休暇を取ることは非常に難しいものがあります。まあ、自分で選んだ仕事なので仕方がありませんが、土曜日が課業日にならない限りは、平日に鉄活をすることは非常に稀です。

 できるとすれば、仕事を定時に上がって現地へ急行することぐらいですが、これもまたその日のできごとに左右されるので、計画的にということはなかなか難しいものがあります。

 それでも、時には体が「鉄分」を欲するときもあるので、最近では、なるべく時間内に仕事を上げるか、そうでなければ自宅へ持ち帰るかなどをしてやり繰りをし、ほんの僅かな時間だけですが、信号場*1に立ち寄ってささやかな鉄活を楽しんでいます。

 つい最近も、「少し鉄活」を楽しんでまいりました。

 撮影した列車はたったの一本ですが、それでも、信号場では機関車の付替えが頻繁に行われるので、到着したばかりの列車と、出発していく列車では先頭に立つ機関車が違うことは日常茶飯事なので、「1度で2度美味しい」とばかりに違った写真を撮ることができるのです。

 

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臨貨9099レ EH500-74〔仙貨〕ほか12両 2021月6月18日 新鶴見信号場(筆者撮影)

 

 さて今回は、列車番号が9000番台が与えられた列車を捉えることができました。

 既にご存知のように、9000番代の列車番号を与えられた列車は、臨時列車を指しています。時刻表には発着の時刻が掲載されていますが、運転日となると何月何日なのか具体的なことは書かれていません。専門の情報誌にも記載されていることもありますが、それらの多くは甲種輸送や特大貨物など、特徴的な列車がほとんどで、一般の貨物列車となるとなかなか載せることはないでしょう。

 今回も、本当ならばEF65 2000番台PFが牽く、定期の貨物列車を捉えようとしたのでしたが、残念なことに退勤する間際に細々した仕事が舞い込んできて、予定よりもわずかに遅れての出発。結果、僅かな遅れが膨らんでいってしまい、狙った列車は信号場に着く直前に車輪が立てるジョイント音を響かせながら走り去っていってしまいました。

 間に合わなかったか!と心のなかで叫んでも仕方がないので、とりあえずはいつも布陣する場所に簡易な踏み台を置いてはみたものの、信号場の構内は既にもぬけの殻。1両も停まっていることなく、幾重にも敷かれたレールしか見えないガランとしたものでした。

 まあ、仕方がないとばかりに、この日は諦めて撤収しようとすると、鶴見方の奥に見える機関区西機待線群に煌々と光るライトが見えました。2個の光は消えることなくずっとついたままなので、これはもしかするとと少し粘ることにしたのです。

 やがてやってきたのは、単機で信号場構内をトコトコとやってきたのは、国鉄特急色を身にまとったEF65 2065でした。機関区から信号場への入換となると、これはもしかするとと思い。そのまま、撤収することなく踏みとどまったのでした。

 EF65 2065は一度引上線へと走り去ると、今度は同じく鶴見方から現れたのが、EH500-74に牽かれた臨貨9099レ。さすがに臨時列車らしく、機関車次位から数両はタキ1000やタキ430000が連結され、さらに後位2両はコキ車という混成仕立てです。こうした編成は、民営化直後はよく見られましたが、2010年代後半からはJR貨物の列車の運用方針が大きく変えられ、より合理的な組成をするために混成編成は大幅に減りました。しかし、臨貨はどうやら例外のようで、こうした組成の列車が見られるようです。

 先日も同じ場所でEH500を撮りましたが、その時は第一次車。今回は量産車で、しかも74号機はつい最近新製された車両です。

 ところで、仙台総合鉄道部に配置されるEH500はついこの間まで、運用の南限は新鶴見まででした。EH500を撮影するなら、新鶴見から北方へ向かう列車を狙うほかなかったのです。しかし、2016年のダイヤ改正からは東海道本線にも乗り入れるようになり、南限は相模貨物駅まで延びました。また、ダイヤ改正を重ねるごとに仙台のEH500はその運用範囲を広げていき、ついにはこの写真のように、新鶴見で次の機関車へ交代する光景も目にするようになったのです。

 臨時列車、特に今回撮影できた9099レは、その番号からも運転予定日が特定されてない列車です。運転するかしないかは、輸送計画が確定してから決められるので、一般には知らされないことがほとんどです。そうした意味で、この日はとても恵まれていました。


 ところで、この場所で撮影するときに、非常に悩ましいものがあります。それは、写真右下をご覧いただくとお分かりになると思いますが、斜めに何かの柵のようなものが写り込んでいます。

 これは、信号場に隣接する公園との境に設置されたフェンスです。本来なら、フェンスは垂直に立てられていたのですが、この場所で撮影する心ない方達が、フェンスによじ登ってみたり、フェンスに体重をかけてみたりした結果、このように支柱が折れ曲がり倒れかかっているのです。

 公園なので、ここには小さな子どもたちもたくさん遊びにやって来ます。小さい子どもたちが、間近に貨物列車を眺めながら遊べるように、コンクリート壁や防音壁ではなく、ごく普通のフェンスが張られています。このフェンスが万一倒れてしまっては、もしかすると小さい子どもたちが構内に入ってしまい、列車にはねられるなど取り返しのつかない事故が起こらないとはいえません。

 また、こうした行為で破損してしまうようなら、公園の設置管理者も張り替えの際には頑丈で、しかもこのようなことができないような種類のフェンスに替えるか、あるいはもっと背の高いフェンスに張り替えられ、結果、ここで撮影を楽しむことができなくなってしまうでしょう。

 実際、小倉跨線橋の鉄道線路の部分には、もはや脚立でも立てなければ撮影ができないほど高いフェンスが追加されてしまいました。やはり、ここからゴミなどを投げ込むといった行為や、一般の通行人を邪魔者扱いする者まで出たとかで、跨線橋を管理する側としてはこうしたことを防ぐため、写真を撮影しにくい環境をわざわざつくりました。こうした対応について、クレームじみたことを発言する方を見かけますが、やはり筆者も含めて自らの撮影マナーについてはふり返ることが肝要だと考えます。

 さらに、元鉄道マンとしては、こうしたフェンスも鉄道施設の一部なので、破損につながる行為は、例えちょっと足をかけただけだとしても、最悪の場合は列車の安全運行に重大な支障を来す恐れがあります。ですから、公共の場所で公共の交通機関を対象に自分の趣味で写真撮影をするのですから、列車の安全運行を妨げないのはもちろんですが、一般の利用者や通行人が迷惑だと感じる行為や、それらにつながる行為は厳に慎まなければならないと思います。

 

 今回は最後が説教じみた話になってしまいましたが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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*1:新鶴見信号場のこと。筆者が鉄道マン時代に過ごした電気区では、新鶴見機関区と新鶴見信号場を管轄していたので、単に「新鶴見」というとどちらか区別がつかないので、「機関区」「信号場」と呼んでいた。転じて、結婚してからも、妻には「機関区へ行く」「信号場に寄ってくる」という会話で通じている。