旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 進駐軍のゴリ押しでつくらされた大型冷蔵車・レキ1形【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 国鉄が「日本の実態に合わない」と反対しながらも、GHQは大型冷蔵車製造の方針を変えることはありませんでした。それどころか、当時の国鉄は新型車の開発製造はもとより、ダイヤ編成などといった事業全般…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 進駐軍のゴリ押しでつくらされた大型冷蔵車・レキ1形【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 膨大な数の連合国軍将兵が日本に進駐し、それまで旧軍の基地や施設などは連合国軍に接収されていきます。中には民間の施設すらも接収の対象になり、最も有名なのは東京都千代田区の皇居前にある第一生命ビ…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 進駐軍のゴリ押しでつくらされた大型冷蔵車・レキ1形【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 国鉄時代の鉄道貨物輸送は、貨車1両単位で輸送する車扱貨物輸送であったことは、これまで何度もこのブログでお話してきました。小口の混載貨物からビールやオートバイに至るまで何でも運ぶこと…

続々・悲運のハイパワー機 重連を単機で担うことを狙った「ガンメタ」のメーカー借入機 ED500形【5】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info EF500形を開発した理由として考えられるのが、EF500形の失敗が顕在化していたことで、EF200形で一応の成功をみた日立は、その技術を使った交直流機を売り込むことにあったと考えられます。特に、重連運用…

続々・悲運のハイパワー機 重連を単機で担うことを狙った「ガンメタ」のメーカー借入機 ED500形【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1994年に登場したED500形は、国鉄分割民営化によってJR貨物が設立されてから8年目のことでした。この頃までに、JR貨物は最新の技術を投入した大出力電機であるEF200形とEF500形を開発し、実用化に向けた試…

続々・悲運のハイパワー機 重連を単機で担うことを狙った「ガンメタ」のメーカー借入機 ED500形【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 筆者が鉄道職員として働いて2年目になる1992年に、新たなハイテク電機が登場しました。日立で製造されたED500形は、その形式名が示すように交直流機でした。 そもそも、EF500形の実用化が非常に難しいとい…

続々・悲運のハイパワー機 重連を単機で担うことを狙った「ガンメタ」のメーカー借入機 ED500形【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 車両メーカーが独自に設計開発し、自費で製造した車両を国内外の鉄道事業者へ売り込もうと目論見、国鉄へ貸し出しするという大盤振る舞いは、技術の発展にこそ寄与したものの、それが商業的に結びついた例…

続々・悲運のハイパワー機 重連を単機で担うことを狙った「ガンメタ」のメーカー借入機 ED500形【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 それまでに経験のないことをするというのは、誰にとっても大きな負担をしなければなりません。それが金銭的なものであれ精神的なものであれ、成功すれば大きな自信につながったり、あるいは収益…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 粗製乱造、戦時設計 戦時輸送という宿命を背負った3軸無蓋車・トキ900形【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1945年に第二次世界大戦が終結すると、トキ900形の命運は一転していきました。戦時中は最大の積載量を誇る汎用無蓋車として重用されたものの、戦時設計という簡素かつ粗雑な設計だったこと、戦時輸送で酷…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 粗製乱造、戦時設計 戦時輸送という宿命を背負った3軸無蓋車・トキ900形【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info トキ900形は30トン積み無蓋車として、1943年から製造されました。それまでの無蓋車は2軸車が基本で、多くは17トン積みトラ級で、1941年に製造されたトラ5000形はあおり戸を含めて鋼製だったのを、同じ1941…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 粗製乱造、戦時設計 戦時輸送という宿命を背負った3軸無蓋車・トキ900形【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 この記事を書いている時点で、2024年も残すところあと僅かとなってしまいました。毎年のことですが、12月も半ばに差しかかる頃になると、1年というのは本当に早いものだと感じさせられます。 と…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 貨車か気動車か、気動車か貨車か 有蓋車にエンジンをつけた気動貨車・キワ90形【5】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 製造から10年も経っていない1960年代後半頃になると、キワ90形は半ば余剰車のような扱いをされてしまいました。1969年には2両つくられたキワ90形のうち、キワ90 2が郡山工場へ送られて事業用車への改造を…

悲運の貨車〜物流に挑んだ挑戦車たち〜 貨車か気動車か、気動車か貨車か 有蓋車にエンジンをつけた気動貨車・キワ90形【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1960年に2両が製造されたキワ90形は、宮崎機関区に新製配置されてさっそく試験運用に供されました。実験の対象になったのは妻線で、日豊本線の佐土原駅から別れ、杉安駅までの19.3kmのローカル線でした。 …