旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

2025-04-01から1ヶ月間の記事一覧

貨物列車の最後尾を飾った有蓋緩急車たち【6】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■小口急行貨物列車専用に活躍したワムフ100 国鉄時代の貨物列車は、何度も述べてきたように基本的には車扱貨物、すなわち貨車1両単位で貨物を引き受け、それを輸送していました。しかし、これでは大口の顧…

九州を走った北陸育ちのF級交流電機 EF70形【6】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info EF81形の増備と運用の見直しなどにより、その役目を再び明け渡していったのでした。特に、EF81形は新製当初は糸魚川駅で直流機交直流機*1に付け替えるなどして、長距離運転をしなかったのでしたが、国鉄の…

九州を走った北陸育ちのF級交流電機 EF70形【5】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1980年に門司区にやってきたEF70形は、さっそく鹿児島本線や日豊本線で運用が始められました。 九州では、冬季の客車用暖房に蒸気暖房を使用していたため、客車用機に蒸気発生装置が必須でした。しかし、…

九州を走った北陸育ちのF級交流電機 EF70形【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 北陸本線の鉄道輸送を支えてきたEF70形は、EF81形の万能性の前になすすべもありません。EF81形が増備するに連れて、EF70形はその仕事を奪われていき、運転区所や留置線のある駅で使用されずに放って置かれ…

九州を走った北陸育ちのF級交流電機 EF70形【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 続いて1963年から製造された2次形では、電装品は19〜22号機と同じとし、機関車出力も2,300kWと変わらないものの、車体外観は大きく変化しました。前面は同時期に製造されていたEF80形とほぼ同じになり、前…

九州を走った北陸育ちのF級交流電機 EF70形【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info EF70形は交流電化が進む北陸本線の主力機として、1961年から製造されました。 新製が始められた当初のEF70形は、それまでの交流電機が搭載していた主整流器が水銀整流器であったのに対し、シリコン整流器…

九州を走った北陸育ちのF級交流電機 EF70形【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 九州といえば、筆者はすぐに赤い電機を思い浮かべます。本州とは異なり、九州島内はすべて交流20kV60Hzで電化されているので、見慣れた青く塗られた直流電機ではなく、真っ赤に塗られた交流電機…

Column:「銀釜」とともに去っていった「角目」のEF81【後編】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 旅客車の冷房化が進められる一方で、乗務員の執務環境は変わることがありませんでした。車両に冷房装置が設置されても、客室を冷やしても優等列車やグリーン車の車掌室を除いて、乗務員室まで届けられるこ…

国鉄の置き土産~新会社へ遺産として残した最後の国鉄形~ 北海道と四国、異なる地で走り続けるステンレス製気動車・キハ54形【10】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1986年に製造されたキハ54形は、JR北海道とJR四国にとって貴重な戦力として走り続けています。新製以来、すでに39年という長い年月が経っていますが、軽量ステンレス車体は冬季の厳しい気候や、海沿いを走…

国鉄の置き土産~新会社へ遺産として残した最後の国鉄形~ 北海道と四国、異なる地で走り続けるステンレス製気動車・キハ54形【9】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 2003年になると、主要機器の更新工事が施工されました。もともとキハ54形は車体やエンジンを除いて、多くの機器を廃車となった車両から発生したものを再利用していました。国鉄末期にすでに破綻した状態の…

国鉄の置き土産~新会社へ遺産として残した最後の国鉄形~ 北海道と四国、異なる地で走り続けるステンレス製気動車・キハ54形【8】

《前回からのつづき》 北海道向けに製造された500番台は、四国の配置された0番代と異なりました。0番代が松山運転所に集中配置されたのに対し、500番台は旭川、苗穂、函館、釧路の4つの区所に分散配置されたのです。これは、北海道が四国と比べて広大であり…

Column:「銀釜」とともに去っていった「角目」のEF81【中編】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info EF81形450番台の大きな特徴は、やはりその前面デザインといえるでしょう。 構体の基本的な構造は国鉄時代に製造されていた0番台と同一で、EF65形などにも見られる非貫通構造そのものでした。高い位置に設…

国鉄の置き土産~新会社へ遺産として残した最後の国鉄形~ 北海道と四国、異なる地で走り続けるステンレス製気動車・キハ54形【7】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1986年から1987年、すなわち国鉄の最末期に、キハ54形は0番台12両と500番台29両、合計で41両が製造されました。JR北海道とJR四国が国鉄から継承した気動車の数からすると、かなりの小所帯(キハ40系:JR北…

国鉄の置き土産~新会社へ遺産として残した最後の国鉄形~ 北海道と四国、異なる地で走り続けるステンレス製気動車・キハ54形【6】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 北海道で使うことを前提とした極寒地仕様の500番台は、暖地仕様の0番台とは大幅に設計が異なりました。なにより、冬の北海道は気象条件が非常に厳しく、気温は0度以下になることも多々あり、そして何より…

国鉄の置き土産~新会社へ遺産として残した最後の国鉄形~ 北海道と四国、異なる地で走り続けるステンレス製気動車・キハ54形【5】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 0番台には冷房装置も設置されました。従来、国鉄の気動車は急行形や特急形といった優等列車に使う車両に装備され、ローカル運用が主体の一般形や通勤形には設置されませんでした。しかし、私鉄の多くが一…