旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

駅へ行こう! 鹿児島本線/長崎本線・鳥栖駅(佐賀県)【前編】

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 鉄道を使って出かけると、いろいろな駅に降り立ちます。

 田園風景が広がる中にある小さな駅や、都市の郊外にある少し古いけど近代的なつくりの駅。そして、都市の中心にあって、複数の路線が乗り入れて数多くの列車がひっきりなしに出入りするターミナル駅。どれも駅なんですが、それぞれに表情が違うと感じます。

 ところで、複数の路線が乗り入れる駅は、その分だけ利用するお客さんも多く、そしてそれぞれに列車が発着するホームもひつようなので、自ずと駅の規模も大きくなってしまいます。だから「ターミナル駅」なんて呼ばれるのでしょう。

 九州は佐賀県にある鳥栖駅も、複数の路線が乗り入れるターミナル駅だといえます。
 なにしろ、九州の動脈ともえる鹿児島本線と、長崎方面へのアクセスを担う長崎本線が乗り入れるので、規模もそれなりに大きくなります。

 私が初めて鳥栖駅に降り立ったのは、小学校5年生の頃だったと思います。もう、かなり昔のお話なので、正確な年は憶えていないんですが、祖父に連れられて鹿児島県の枕崎を目指して旅行する中、博多駅から乗った急行「かいもん」が鳥栖駅に停車したときにちょこっとだけ降りたんです。
 とにかく長くて幅の広いホームと、いくつもの線路が敷かれている広大な構内に驚かされました。もっとも、列車が停車した短い時間だけだったのと、まだ小学生だったのとで、駅の中を探検したり細かく観察したりはしませんでしたが、いまも「とす」と書かれた駅名標と、けして明るいとはいえない照明に照らされたホームは印象に残っています。

 その鳥栖駅、実に30年以上経って降りてみると、いくつもの発見と驚きがありました。

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 鳥栖駅ターミナル駅だと思っていたら、都心のターミナル駅のように多くの人で混雑するなんてことがなかったんです。もちろん、多くの列車は鳥栖駅に停車します。特急列車だってこの駅には停まります。鳥栖駅止まりの列車も設定があるんですが、あまり多くの人が降りる様子がなありませんでした。

 昼間だからこんなものかな、なんて考えながら改札口に着くともっっとビックリしました。なんと、駅舎は小さい木造の建物。それも、よく観察していると、かなりの年代物でした。

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 木の柱には明るい色のペンキが塗られていますが、そのつくりは機能だけではなくデザイン性も考えたものでした。同じデザインの柱が、短いスパンで並んでいる様子はその古さを物語っているようです。

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 柱のてっぺんはには、これまた細かい装飾が。そして、屋根のすぐ下にある壁にも、彫刻を施したものがありました。その真ん中に円形の紋章のようなものが彫り込まれていましたが、いったい何のものなのか判りませんでした。

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 鳥栖駅の駅前はタクシー乗り場があるだけで、路線バスの乗り場が見あたりませんでした。もしかすると、見落としていたのかも知れませんが、おおよそ複数の路線が乗り入れるターミナル駅の光景とはほど遠く感じます。人の行き来も少なく、静かな時間が流れている印象です。

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 改札口の上には大きな電気時計。このタイプの時計、いまではすっかり見かけなくなりました。見ることができるのは、学校の教室ぐらいでしょうか。民営化後、多くの駅は新しいタイプの時計に替えられました。この丸いタイプは国鉄の標準形ともいえるもので、国鉄の構内のあらゆるところで見られました。
 ちなみに、この時計はすべての駅や鉄道施設で、同じ時刻を指すようになっています。時計自体にクオーツ機能はないので単体では動きませんが、親時計(国鉄時代は東京にありました)から30秒ごとに送られる信号を受信して動いています。なので、後ろに移っている時計と同じ時刻を指していて、同じ時に動いているのです。