旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

いざというときの自転車保険

 先日、自動車の運転免許の更新講習を受けてきました。
 その時、やたらと講師の方が、自転車の事故や違反の話をされていました。
 どうも最近は、自転車が関係する重大事故が多く、私の住む地域でも全国でニュースになるくらいの死亡事故があったようです。
 今回は、その自転車の保険についてのお話です。

 日常の生活の中で、欠かせない乗り物の一つとして自転車があります。
 お買い物に、お子さんの送り迎えに、そして仕事で最寄りの駅までの往復にと、オートバイや自動車と違って免許も要らず、維持費もかからない。なんていったって、ガソリン代もかからないから(当たり前ですが)、お子さんからご年配の方まで乗れるのが自転車のいいところですね。
 特に東日本大震災以降、最も手軽で停電や渋滞といった外的要因による影響を受けにくい交通機関として見直され、通勤に利用する人も多くなりました。

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 ところで、この手軽で身近な乗り物の自転車。
 最近、自転車が関係する交通事故が増えているといいます。。
 あまりにも事故が多いので、警察も自転車の取り締まりを強化しているようです。先日、運転免許の更新で受けた講習でも、講師の方はそのことを特に強調していました。

 自転車は道路交通法上では「軽車両」として扱われます。
 自動車の運転免許をお持ちの方なら、教習所の学科教習で教わったと思います。軽車両とは人力によって動くことができる車両のことで、自転車をはじめリヤカーなどを指します。
 この軽車両として扱われる自転車。道路上では車道の左側を走らなければなりません。右側を走っていて、運悪くお巡りさんに見つかると、道交法違反として取り締まりの対象になります。
 ところで自転車に乗っていて交通違反として検挙されると、お巡りさんから渡されるのはなんと「赤切符」です。自動車なら「青切符」が切られ、一緒に渡される納付書で反則金を支払いますが、自転車にはそのような制度がありません。
 いきなり「赤切符」とは、かなり厳しいと思われる方も多いと思います。
 これを聞いたとき、さすがに私も「マジか!」と呻いたくらいですから。
 自転車に「青切符」の制度がないのは、自転車は免許証が必要がないからだそうです。免許証がないということは、点数制度もないので「青切符」を切手、交通違反を告知することができないのです。
 では、自転車に乗っていてお巡りさんに違反を取り締まられ、「赤切符」を切られたらどうなるのでしょう。
 「赤切符」を切られてしまったら、交通事件を担当する簡易裁判所へ出頭しなければなりません。そして最悪の場合、罰金刑を言い渡されて、罰金を納付しなければ罰金分の労役になってしまいます。
 とはいっても、この赤切符を切られるのは交通違反のうち特定の14のケースで、後は警告カードを渡される場合も。その場合、自転車の安全講習を受けなければならず、受けない場合は同じく赤切符だそうです。

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 さて、自転車の交通違反の取り締まりも厳しくなりましたが、交通事故を起こした場合も以前に比べて厳しくなっています。特に過失責任を問われ、悪質だと判断された場合、刑事事件として起訴されたり、高額な損害賠償を支払うことにもなります。

 例えばこれはよくよく知られた例ですが、小学校5年生の児童が自転車を運転中に歩行者の女性と衝突事故を起こし、歩行者の女性は寝たきりの状態になり、しかも意識は戻らないままという後遺症を負いました。
 この事故の損害賠償訴訟で、自転車を運転していた児童の保護者に対して、9600万円という高額の賠償を命じる判決を下しました。自転車の単独事故としては最も高額なる1億円にも近い賠償額で、我が子の過ちとはいえ、この判決を受けた保護者の負担は非常に大きいといえます。

www.kobe-np.co.jp

 また、損害賠償請求にまでは至ってませんが、女子大生が電動自転車を運転中に歩行中の女性と衝突し、歩行者の女性が死亡するという死亡事故を起こしました。
 女子大生は運転中であるにもかかわらず、片手にスマートホンを持ち、もう片方の手には飲み物を持っていて、しかも耳にはイヤホンをしていました。
 この事故では、女子大生が運転中にもかかわらずスマートホンを操作していたことなど悪質な道交法違反として逮捕しました。その後、女子大生は在宅で検察に起訴され、重過失致死罪に問われ禁固2年を求刑されています。
 この事故でも、恐らく損害賠償請求がされると思われますが、その額はやはりかなりの額になることが予想されます。

this.kiji.is

 このように、自転車での事故でも、事故の状況によっては高額な賠償請求を受けたり、あるいは裁判で賠償を支払う判決を受ける可能性があるのです。
 たかが自転車、されど自転車といったところでしょうか。
 しかも、未成年のそれも小学生が起こした事故でも、加害者となってしまう可能性は十分あり、事故によって加えてしまった被害の程度によっては、保護者に賠償責任も生じるのです。

 同じ乗り物でも、自動車やオートバイなど原動機(エンジン)がついた車両には、万一に備えて自動車保険に加入するかたがほとんどだと思います。万一、事故を起こしてしまったときに、その補償を保険で賄うためです。
 自動車が関係する軽微な物損事故でも、破損した相手の自動車などを修理する時には簡単に10万円単位の金額がかかります。ヘタをすると何十万なんて請求書を突きつけられかねないので、やっぱり保険には入っておいた方が安心です。
 ところが、同じ車両でも自転車ではどうでしょう。
 自転車用の保険は販売されていますが、加入しているという方はあまり多くないといわれています。
 自治体によっては、加入を促進するために自治体が募集する保険も登場しているくらいで、自転車がかかわる事故が増えていることが窺えます。

 いや~、入った方がいいのは分かるんだけど、面倒だよなぁ~。

 とか、

 えー!わざわざ自転車なんかのために保険に入って保険料払うの、もったいないじゃん!

 なんて声も聞こえてきそうです。
 その気もち、分かります。
 たかが自転車のために保険の手続きなんて、ただでさえ忙しいのに面倒ですよね。
 景気もよくならず、給料もさしてよくなったとはいえない中、物価だけは上がる一方なのに、自転車なんかのために余計な出費なんかしたくないですよね。

 でもここでもう一度考えてみてください。
 万一、自転車を運転していて歩行者に重傷を負わせてしまった場合、その治療費は誰が払うのでしょうか?
 ほかならぬ、自転車を運転していた本人が支払わなければなりません。

 最近では、保険の加入や更新の手続きも便利になりました。
 特に身近な乗り物でもある自転車の保険は、いろいろな保険会社などから手軽な商品が販売されています。
 携帯電話会社によっては、自社の子会社として保険会社を設立したり、あるいは保険部門を創設して、スマートホンから簡単に加入できるようになりました。保険料も携帯料金と合算して支払うこともできるようです。

www.nttdocomo.co.jp

www.au-sonpo.co.jp  また、コンビニでも自転車保険の取扱いがあります。コンビニに設置してあるマルチコピー機で加入手続きをして、レジで保険料を支払うことができるので、夜でも休日でも手続きができます。

jitensya.ehokenstore.com

www.family.co.jp

www.lawson.co.jp

 ほかにもネットショップサイトの関連会社が保険を扱っていたり、保険専門サイトでじっくり比較してから、納得のいく保険に入ることもできるので、休日のちょっと空いた時間を使って検討してみるのもいいでしょう。
 自動車保険に入っている方なら、自動車保険に「個人賠償責任特約」というのを付加する方法もあります。この方法なら、自動車保険と一緒に保険料を支払うことができるので、若干自動車保険料が上がりますが、わざわざ別の保険に入らなくても済むというメリットがあります。

 ただし、手軽に入ることができるようになった自転車保険ですが、その内容にはよく注意してください。
 自転車保険として販売されている保険は、正式には「個人賠償責任保険」という名前です。自転車事故以外でも、賠償責任が生じたときにその保障を賄うことができますが、事故などでの保険金が十分な金額であるかを確かめる必要があります。
 保険料の安さに惹かれて加入したのに、万一の保険金額が十分でないなんてこと、あってからでは遅いです。

 たかが自転車、されど自転車。
 万一事故が起きれば、自動車と同じように扱われて、ともすると高額の賠償請求なんてことも。
 これを機会に、自転車保険を検討してみてはいかがでしょうか。

 ちなみに、筆者は・・・仕事柄、万一に備えて訴訟にも対応できる賠償責任保険に入っていますが、いまだこの保険が活躍したことはありません。
 まあ、保険なんて、活躍しない方がいいのですから。


 今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。