旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

国鉄の置き土産 瀬戸内を渡るためにつくられた国鉄最後の新系列・213系【11】

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《前回からのつづき》

 

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 ローカル運用に転じたその範囲は山陽本線や伯備線、赤穂線、宇野線、そして本四備讃線の普通列車の運用に就き、地域の人々にとって貴重な交通手段としての役割を担うようになります。この213系のローカル運用への転用によって、それまで岡山電車区に配置されていた103系と105系は事実上の玉突きとなり、廃車や転属することになりました。

 2012年になると営業運転に使われるようになって20年以上が経っていたことから、213系に対してもJR西日本が得意(?)とする延命工事が施工されていきました。屋根上の通風器を撤去して、通風器用に設けられた穴を塞いだほか、トイレを和式から洋式への交換、吊り革の増設などあらゆる所の改善を受けることになります。

 

213系の後継として増備されたのは、JR西日本の223系5000番台と同一設計のJR四国の5000系であった。民営化後に製作された車両のトレンドでもあるオールステンレス車体とVVVFインバータ制御は、運用コストを抑えるとともに瀬戸大橋を橋で渡るという、常に塩害にさらされる鉄道車両にとって過酷な環境にも耐えうるものとなった。加えて、従来はJR西日本の車両のみによる「片乗り入れ」であったため、JR四国にとっては車両使用料を支払わなければならないという、経済的な負担が生じていたが、JR四国も同一の車両を保有することで運用効率、経済性を高めた。一方、クロ212形の後継となったのは、JR四国の5100形(Tswc)で、こちらは2階建て構造として収容力を高めた。そのため、普通車は223系5000番台と同一設計であったのに対し、5100形はJR東日本E217系のサロE217形の設計を流用し、これに前面展望に配慮した独特な形状の先頭部をつけた形になった。そのため、よく観察をすると車体断面の形状にわずかな違いが見て取れる。広い意味で捉えれば、JR東日本の車両とJR西日本の車両が同一の編成を組み、これを実現させたのがJR四国ということになる。(出典:写真AC)

 

 また、これよりも遡る2003年には、ローカル運用転用に備えて一部はワンマン化対応の改造が施され、2両編成は全車がその対象となり、戸袋窓の上半分を埋めたうえでワンマン運転時に出入り口を明示する表示機を取り付けました。

 瀬戸大橋線の「マリンライナー」運用以外は比較的地味な役回りが多かった213系ですが、2016年に実施されら岡山ディスティネーションキャンペーンに合わせて、1編成を観光列車「ラ・マル・ドゥ・ボァ」に改造されました。

 この改造では、車内に設置されていた転換クロスシートはすべて撤去し、代わりにグリーン車用の座席を設置、一部はカウンター席とされて窓際にテーブルを取り付けたうえで窓側を向いて座ることのできるストゥールを設置しました。また、地域の特産品を販売するカウンターや組み立てた状態で自転車を収納できるサイクルスペースも設けました。

 車内の照明も種車のものはすべて撤去、天井には間接照明を取り入れるたり、カウンター席の上に設置した店にも照明を設置、観光列車らしく明るいながらも柔らかい間隔を演出しました。

 

JR西日本223系5000番台とJR四国5000系の登場によって、快速「マリンライナー」の運用に充てられていた213系はその任から退き、岡山地区のローカル運用に転じて地域輸送に携わることになった。そのうち1編成は瀬戸大橋を渡らないものの、岡山ディスティネーションキャンペーンに合わせて、宇野線を中心とした観光列車として「ラ・マル・ドゥ・ボア」に改造された。エクステリアは白を基調にしたものに変わり、車内も(クモハ213-7004+クハ212-7004〔岡オカ〕 岡山 2017年5月27日 筆者撮影)

 

 床張りも従来の実用本位のものから、木目調のものに交換し、カウンター席のテーブルや壁面、妻面の壁面にもマボガニー調の木目のあるものを素材として使うことで、落ち着いた柔らかい雰囲気を演出しました。

 車体外観も大きく変化しました。車体は前面を白を基調とし、列車の名前の由来となるフランス語の「鞄」から、窓を鞄に見立てた模様を描き、車体中央部には列車の名前となる「La Malle de Bois」とフランス語が大きく書かれました。

 この改造により車両の種別は普通車からグリーン車と変えられ、形式もクモロ213形、クロ212形と変更され、同時に区分番号が起こされて7000番台となりました。ただし、種者がクモハ213−4、クハ212−4であったことから、改番後はクモロ213−7004とクロ212−7004となり、原番号に+7000とされたのでした。

 このように、213系0番台は国鉄分割民営化の直前に落成し、全車がJR西日本に継承された後は、快速「マリンライナー」として瀬戸内の海をわたり続け、その任をJR四国5000系とJR西日本223系5000番台に引き継いだ後は、岡山地域の地域輸送に重用され、2025年現在もこうした運用が続けられているのです。

 

《次回へつづく》

 

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