旅メモ ~旅について思うがままに考える~

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国鉄の置き土産:キハ38形が繋いだ非電化路線のバトン【11】

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11.キハ38形の冷房装置とエンジン技術──AU34形採用と民生用エンジン導入の背景

この記事では、キハ38形に搭載された冷房装置AU34形や、国鉄制式にとらわれず民生用エンジンを採用した背景について整理します。従来のAU13形・AU75形とは異なるバス用冷房装置の導入、サブエンジン方式による1両単位の冷房運転、そしてDMH17系・DML30系に代わる新たな動力源の採用など、国鉄末期の技術的転換点がキハ38形には色濃く表れていました。

 

《前回からのつづき》

■ キハ38形の冷房装置:国鉄標準からの脱却

 キハ38形は製造当初から冷房装置が搭載されていました。従来、国鉄の車両は特急用車両や一部の急行用車両にしか新製時から冷房装置を搭載することはありませんでしたが、キハ38形は分割民営化後は設立される旅客会社が継承して運用することは確定であり、一般用車両にも冷房装置を装備することが当たり前になっていた時代の要請から、後々冷房化改造といった手間とコストをかけずに済むように、新製時から冷房化されていました。

■ 国鉄標準の冷房装置を使わなかった理由

 とはいっても、ここでもまた国鉄が標準としていたAU13形やAU75形といったものではなく、当時の2階建てバスに使われていた装置を採用しました。国鉄がそれまで標準型としてきた冷房装置はすべて電気式、すなわち専用の電源を必要としました。電車であれば電動発電機や主変圧器の二次巻線から、気動車の場合は走行用のエンジンとは別に発電用の小型エンジンと発電機を組み合わせた発電セットから三相交流440Vを発生させ、これを電源として冷房装置を駆動させていました。

 

国鉄の車両は時に全国規模での配置転換が行われる可能性があったため、機器の「標準化」は欠かすことのできない方針であったと言える。それは冷房装置についても同じで、分散式のAU13形や集中式のAU75形はその代表例と言える。これらの冷房装置は三相交流440Vを供給されることで作動させることができるが、気動車の場合は駆動用エンジンとは別に発電用エンジンと電動発電機が必要だった。そのため1両単位での運用ができなくなるという弱点を抱えることになる。車両の中央屋根上に載っているのがAU75形冷房装置。(クハ115-3104〔広セキ〕 下関駅 2007年10月9日 筆者撮影)

 

 国鉄の標準品であるこれらの冷房装置を使えば、検修に携わる職員もこれについて熟知しているので作業などの負担は少なく済みますが、この方法では製造コストが高くなるだけでなく、車両の重量も重くなるとともに、発電用エンジンの燃料も必要になることから運用コストも嵩んでしまうデメリットがあります。

 こうしたことから、新たに製造することになったキハ38形では、あえて国鉄の標準品である冷房装置は使わず、2階建てバス用の冷房装置を搭載することで製造コストの軽減を図ったのです。

 

《次回へつづく》

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