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国鉄の置き土産:キハ38形が繋いだ非電化路線のバトン【16】

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16.キハ38形はなぜ廃車発生品を再利用したのか──国鉄末期のコスト削減と民生品採用の実態

 

この記事では、キハ38形が民生品の採用と廃車発生品の再利用という、従来の国鉄車両では考えられなかった手法を組み合わせて誕生した背景を解説します。最新技術による軽量化、コストの安い民生用冷房装置やエンジンの導入、そしてキハ35形から取り外した台車や部品の再利用──国鉄末期の厳しい財政事情の中で、技術陣がどのように合理化と性能確保の両立を図ったのかを振り返ります。

 

■ 廃車発生品の再利用:台車・ブレーキ・部品

 キハ38形は最新の技術を用いて重量の軽減を図るとともに、従来の国鉄車輌では考えられなかった民生品である冷房装置やエンジンを採用して製造コストの軽減を図った一方で、可能な限り廃車された車両から部品を再利用しました。

 台車は廃車になったキハ35形の発生品であるDT22C・TR51B形を装着しました。国鉄の一般形車両の標準形式ともいえる台車で、枕ばねは金属コイルばね式、車軸支持はウィングばねを使ったペデスタル式のもので、電車用のDT21形を気動車用に改良したものでした。

 但し、キハ35形とは車両重量が変わったためそのまま使うことは不適切だったので、ブレーキテコの比率を変えるためにこちらは新製されました。

 加えてブレーキ装置は、キハ40系では応答性のよいCLE電磁自動空気ブレーキが使われていましたが、キハ38形は自動空気ブレーキを使ったキハ35系と併結することも想定されていたことから、古い方式であることも承知で自動空気ブレーキを装備したのでした。

巨額の財政赤字に苦しむ国鉄は、可能な限り設備投資を抑える必要があった。その一方で、旧式化、老朽化した車両の取り替えも欠かすことはできず、相反する事業運営に頭を抱えていたと言える。特に飯田線や身延線など、1980年代に入っても使われ続けていた戦前製の旧形国電の取替は急務であり、新性能化することで運用コストを軽減できる可能性があった。こうしたことから、101系など新性能電車で初期に製造された車両が、201系など新世代の車両に置き換えられて廃車になり、ここから発生した台車や主電動機など使える部品を再利用することで、車両を新製するときのコストを抑えるという方法を多く採った。電車だけでなく気動車も同様の方法で部品を確保したため、車体や客室設備は新製、台車や液体変速機は廃車車両からの再利用というスタイルが多くあった。キハ38形もその一つであり、今日における『持続可能性』を既に1980年代に実践していたといっても過言ではない。(出典:写真AC)

 

■ 国鉄末期の知恵の結晶:最新技術+民生品+再利用

 このように、キハ38形は最新の技術とコストが安価な民生品の採用、さらに廃車発生品を再利用するなど、国鉄の技術陣は財政事情に配慮しつつも、新会社の負担を可能な限り軽くするために手を尽くした車両の一つになったといえるのです。

 

《次回へつづく》

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