旅メモ ~旅について思うがままに考える~

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国鉄の置き土産:キハ38形が繋いだ非電化路線のバトン【15】

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15.国鉄制式エンジンはなぜ直噴化できなかったのか──DMF13HSとDMF15HSAの比較で読むキハ38形の技術的転換

《前回からのつづき》

 

この記事では、国鉄制式エンジンが直噴化できなかった理由を起点に、キハ38形が採用したDMF13HS形エンジンの性能、そしてキハ40系のDMF15HSA形との比較から見えてくる“国鉄末期の技術的転換”を読み解きます。
■ 国鉄制式エンジンが直噴化できなかった理由

 しかしながら、民間では燃費効率を追求し続けた結果として、ディーゼルエンジンは直接噴射式が主流になっていたものの、国鉄制式エンジンは直噴式に必要な燃料ポンプをつくるための高度な技術がなかったのとともに、燃費効率はあまり顧みられていない傾向もあったと考えられるため、予燃焼室式が使われ続けてきたといえます。

 ところが、燃費がかかる割には出力が小さい国鉄制式エンジンをキハ38形に搭載した場合、そのツケは車両を引き継ぐ新会社が背負うことになってしまうため、国鉄のプライドを優先させて経済性に劣るエンジンを載せるのではなく、小型軽量で燃費効率がよく高い出力を出すことができるDMF13系が選択されたのでした。

国鉄の財政悪化による赤字ローカル線の整理廃止により、三陸縦貫鉄道の一部として開業していた盛線と宮古線、久慈線を継承する三セク鉄道として設立された三陸鉄道は、1984年にこれら3つの路線と、建設工事が進められていた未開業区間を将来引き受けることで開業した。1984年の既成区間の開業時に用意された36-100形気動車もまた、国鉄制式エンジンではなく効率性の高いDMH13系である6L13AS形を搭載、出力は250PSという性能をもっていた。このように、赤字ローカル線を転換する形で開業した3セク鉄道の多くは、国鉄のように燃料を湯水の如く消費する車両では経営的に問題になることから、民鉄向けのエンジンを採用して運用コストを可能な限り軽減させていた。(出典:写真AC)

■ DMF13HS形の性能:軽量・高出力・高効率

 キハ38形が搭載したのは、このDMF13系の中でもDMF13HS形と呼ばれるもので、排気量13リットル、横型直列6気筒で過給器(ターボチャージャー)付、重量は1280kgのもので、定格出力は250PS/2000rpmの性能をもつものでした。

■ キハ40系のDMF15HSA形との比較:皮肉な結果

 ちなみに、キハ40系が搭載したエンジンは、DMF15系の中でもDMF15HSA形で、排気量15リットル、水平シリンダー式直列6気筒で過給器付とDMF13系とほぼ同じですが、重量は2720kgにも及ぶものでありながら、定格出力は220PS/1600rpmと出力が低いため、エンジン自体の重量が不利に働くという何とも皮肉なものだったといっても過言ではないでしょう。

 

項目

DMF15HSA(キハ40系)

DMF13HS(キハ38形)

開発背景

国鉄制式エンジン(DMH17系の発展)

新潟鐵工所の船舶用高速エンジンを鉄道向けに改良

燃焼方式

予燃焼室式(副燃焼室あり)

直接噴射式(直噴)

排気量

15リットル

13リットル

気筒配置

水平直列6気筒

横型直列6気筒

過給器

あり(ターボ付)

あり(ターボ付)

定格出力

220PS / 1600rpm

250PS / 2000rpm

重量

約2720kg

約1280kg

比出力(出力/重量)

0.080 PS/kg

0.195 PS/kg(約2.4倍)

特徴

・国鉄制式の延長線上

 

《次回へつづく》

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