《前回からのつづき》
新性能化されるより前の浜川崎支線では、17級旧形国電のクモハ11形+クハ16形の2両編成が充てられていました。旧形国電は電動車1両で運用ができるので、Mc+Tcの1M1T、MT比は1:1だったため、ある意味では経済的でした。しかし、長年に渡って運用が続けられてきた旧型国電の老朽化と、東京都心部の、とりわけ中央快速線などに新車である103系や201系が配置されたことによる玉突きで、101系が配転によって南武線にやってくると、残存していた旧型国電が置き換えられていきました。そして、2両編成で十分な輸送力を確保していた浜川崎支線も、ついに101系による新性能化が進められたのでした。
こうして浜川崎支線にやってきた101系は、クモハ11形とクハ16形が担い続けてきた運用を101系に明け渡し、旧型国電の一部は地方の電化ローカル線へと転用されましたが、それまで2両編成で十分だったのでこれ以上増やす必要もありません。MM’ユニットを組むことが原則の新性能電車となるため、クモハ101形+クモハ100形という2M編成となったのでした。
編成中の車両がすべて電動車ということは、高い加速性能をもつことができました。これは、101系が開発された当初の計画にあった、すべての車両を電動車で組むことで最大の性能を発揮することができます。
しかし、この方法では加速時に電力を使う量も多くなるため、中央快速線に新製配置された当時の編で書の能力では追いつくことができず、これを実現させるためには変電その設備を増強したり、増設したりしなければなりませんでした。しかも、運用コストも嵩むといった経済性にも劣るため、性能が下がることも承知で付随車(T車、Tc車)を組み込むMT編成に方針を変えたことで、101系は本来の性能を発揮することはできなかったのです。
ところが、浜川崎支線は前述の通り最大で2両編成であったため、101系に置き換えると同時にMc+Mc’を組むことになります。図らずも、101系の設計思想にあった全電動車編成が、大都市の片隅にある僅か4.1kmの浜川崎支線でようやく実現したのでした。
1987年の分割民営化後も、101系は浜川崎支線に配置され続け、朝夕のラッシュ時には工場などへ通う人たちを満載して走り続けました。しかし、寄る年波には打ち勝つことは叶わず、後継となる車両を必要としましたが、ここでもMM’ユニットを組むことが前提となる新性能電車の原則の壁が立ちはだかりました。そして、悪いことに101系のようなMc車とM'c車という2つの形式を設定した系列はなく、置き換えにあたってJR東日本は既存車両の改造車か、あるいは新製車にするかの選択を迫られることになります。

南武線浜川崎支線は、全線が政令指定都市の中にありながら、僅か4.1kmという短い路線であることと、朝夕のラッシュ時以外は利用者が極端に少ないことなどから、2両編成で運行されてきた。古くは17m級旧形国電のクハ16形+クモハ11形が運用されていたが、新性能化によって101系に置き換えられたものの、旧国時代はTc+Mcの1M1Tだったのが、101系化後はMc+M'cの2Mとなってしまった。編成出力は大幅に強化されたが、これでは経済的に不利であり、需要などを勘案すると経済的に不利だったといえる。民営化後、本線は103系、205系へと置き換えられていったが、浜川崎支線は101系が最後まで残った。しかし、老朽化が進行したことで205系に置き換えられることになったが、山手線のE231系500番台の投入による「大配転」によって、中間電動車が先頭車化改造を受けてクモハ205形1000番とクモハ204形1000番台が投入された。経済性は101系と比べていくらかは改善されたが、それでもMM'ユニットを組まなければならないことは変わらず、旧国時代の1M1Tになるのは新潟から転用されてきたE127系0番台まで待たなければならなかった。(出典:写真AC)
21世紀に入ると101系の老朽化は深刻になったことや、民営化以後の新系列車両への置き換えなどによって205系が捻出できるようになったことなどから、これを先頭車化改造によって充てることになります。モハ205形とモハ204形をそれぞれ先頭車に改造したクモハ205形1000番台とクモハ204形1000番台の2両が配置され、101系と同じくMc+M'cとした2両編成が続けられますが、やはり全電動車編成であることには変わりなく、後に新潟地区で運用されていたE131系が転用されたことでMc+TcというMT比
を1:1に戻すことができ、強力だけど経済性に難のある全電動車編成は終わりを告げることになったのです。
このように、新性能電車の原則となったMM’ユニットは、輸送量の小さい線区では輸送力が過剰になる編成を組まざるを得なかったり、組めても過剰な性能になるため運用コストなどで不利になったりするなどといった課題も存在したのでした。
《次回へつづく》
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