旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

2023-01-01から1年間の記事一覧

過酷な通勤輸送を支え続け40年の功労車・東急8500系【7】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 まずはじめに、記事の投稿が逆になっておりましたこと、お詫び申し上げます。推敲の段階で、7番目の記事の自動投稿を取り消していましたが、8番目の取り消しをするのを忘れ・・・気づいたら、6番目…

過酷な通勤輸送を支え続け40年の功労車・東急8500系【8】最終章

《前回からのつづき》 現役として残った8500系は、もっとも古い8606Fの製造が1975年であり、車齢は45年を超えていました。オールステンレス車の耐久性は、7000系が7700系に改造する際に荷重試験をしたところ、50年以上が経っていても新製時と比べて強度の低…

過酷な通勤輸送を支え続け40年の功労車・東急8500系【6】

《前回からのつづき》 8500系は1974年から長きに渡って増備が続けられたことから、途中幾度となく細部の設計が変更されています。特に8090系が製造された1980年の第12次車以降と、9000系が製造された第18次車以降で、外観からもわかる変更が見られました。 8…

過酷な通勤輸送を支え続け40年の功労車・東急8500系【5】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1978年に営団半蔵門線が開業すると、当初の計画通りに新玉川線との相互直通運転が始められました。しかし、この時点で渋谷−青山一丁目間の2駅だけの開通だったため、営団側は車両の用意はしないで東急車の…

過酷な通勤輸送を支え続け40年の功労車・東急8500系【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 今日、田園都市線で運用される車両は長津田検車区に配置されていますが、この当時は田園都市線で運用される車両は、長津田検車区の完成による移転までは、鷺沼駅の渋谷方海側にあった鷺沼検車区の配置でし…

過酷な通勤輸送を支え続け40年の功労車・東急8500系【3】

《かなり間が開いてしまいましたが・・・前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1975年から田園都市線・新玉川線用として、8000系を基本に営団との協定に基づいて半蔵門線直通仕様に改めて製作されたのが8500系でした。 基本的な構造は8000系から大き…

68年前の「国鉄戦後五大事故」の一つ 宇高連絡船「紫雲丸事故」

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 2月の末に更新して以来、ご無沙汰しております。 2月の初めに頸椎の手術を受け、その間、療養に専念しておりました。5月に入って主治医から「ふつうの生活に戻ってよい」とのお許しをいただき…

過酷な通勤輸送を支え続け40年の功労車・東急8500系【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 異なる鉄道事業者同士が相互直通運転を実施するために、乗り入れる車両については規格を統一することは、ごく一般的なものでした。乗り入れ相手となる鉄道事業者が保有する車両が自社線内に入ってきたとき…

過酷な通勤輸送を支え続け40年の功労車・東急8500系【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 東急田園都市線といえば、何を思い浮かべるでしょうか。 閑静な住宅街に通じる鉄道路線と思われる方は、きっと筆者と同じ年代か、それよりも上のご先輩方でしょう。しばしばテレビドラマの舞台…

貨物駅の名称 東○○、浜○○の「東」「浜」とは何?【終章】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ■かつては庶民の台所を支えた「○○市場駅」 貨物駅は一般には馴染みがないため、その名称もあまり知られることはありません。それとともに、貨物駅が設置される場所は、港湾部や埠頭など一般に立ち入ること…

貨物駅の名称 東○○、浜○○の「東」「浜」とは何?【3】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 「浜」を冠する貨物駅も多くありました。こちらは港湾部に限らず、主要駅から見て海浜にあるという意味でつけられたものといえますが、多くは港湾部に隣接した工業地域の中に設置されています。 首都圏で…

貨物駅の名称 東○○、浜○○の「東」「浜」とは何?【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ■海沿いは貨物駅にとって大きな稼ぎ場所「浜」と「港」 都市部の主要駅近くに置かれる貨物駅は、多くが本線上に貨物列車の「途中停車駅」としての機能を持たせるためといえます。こうした貨物駅は、製品や…

貨物駅の名称 東○○、浜○○の「東」「浜」とは何?【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 わたしたちの生活を支える物流において、鉄道による貨物輸送は重要な位置を占めつつあることは多くの方がご存じのことと思います。北海道で収穫されるタマネギやジャガイモといった生鮮野菜は、…

国鉄車に引けを取らなかった富士急の意欲作 富士急行5000形【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 3100形のうち2両(3103+3104)は、月江寺駅付近の踏切において立ち往生した自動車と接触し、ブレーキを作動させるための空気溜めを破損、ブレーキが使えない状態で下り勾配を逸走していき、約4kmの距離を…

国鉄車に引けを取らなかった富士急の意欲作 富士急行5000形【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 地方私鉄である富士急行は、保有する車両も必要最小限しかなかったため、2両が廃車になったことで運用に余裕がなくなります。そこで、事故廃車になった2両の代替として、新たな車両を確保する必要が出たの…

国鉄車に引けを取らなかった富士急の意欲作 富士急行5000形【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 鉄道車両の中には、傑作ともいえるベストセラーもあれば、失敗作と言われてしまう残念なものもあります。そして、新機軸を多数投入した試作的要素の強い意欲作とよべるものもあるのが事実です。…

さらばキハ28 DMH17系エンジンの終焉【終章】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ■21世紀に入ってもなお現役のDMH17 国鉄、私鉄問わず広く採用されたDMH17ですが、最後に新製されたのは小湊鐵道のキハ200でした。1977年に製造されたキハ213・214がそれで、国内向け気動車としてDMH17搭載…

さらばキハ28 DMH17系エンジンの終焉【8】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ■最後のキハ58系 房総へ渡ったキハ28 2634(つづき) 国鉄・JR時代はあまり注目されることのない地味な存在でしたが、全国に数多くいた僚機が次々に姿を消し、キハ58系として数少ない存在担った頃から注目…

さらばキハ28 DMH17系エンジンの終焉【7】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ■最後のキハ58系 房総へ渡ったキハ28 2634(つづき) キハ28 2346は、1964年に帝国車両でキハ28 346として落成、4月15日付で米子機関区に新製配置されたものの、5月24日付で新潟機関区へ配転になり、さら…

さらばキハ28 DMH17系エンジンの終焉【6】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ■最後のキハ58系 房総へ渡ったキハ28 2634(つづき) 健康被害を及ぼすアスベストを多用したキハ58系は、車両の検修に携わる職員だけでなく、乗務員や乗客にも健康に悪影響を及ぼすとされ、可能な限り新系…

さらばキハ28 DMH17系エンジンの終焉【5】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ■最後のキハ58系 房総へ渡ったキハ28 2634 DMH17系エンジンを搭載した気動車は、キハ10系に始まりキハ20系、準急形として製造されたキハ55系、さらに急行形であるキハ58系とその派生型、さらには特急形の…

さらばキハ28 DMH17系エンジンの終焉【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■急行形気動車の決定版キハ58系 キハ58系もまた、DMH17を採用しました。というよりは、ほかに使えるエンジンがありませんでした。しかし、キハ58系は急行用として運用することが前提であるため、キハ55系…

さらばキハ28 DMH17系エンジンの終焉【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■国鉄の悲願 初の実用ディーゼルエンジンDMH17 DMH17の実用化は、国鉄にとって悲願ともいっても差し支えないと考えられます。年々老朽化していく蒸機の置き換えと、動力近代化による無鉛化の推進は、国鉄…

さらばキハ28 DMH17系エンジンの終焉【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■ガソリンカーの悲劇から生み出されたDMH17 ガソリンエンジンであるGMH17を搭載したキハ42000は、1935年から62両が製作されました。車体は空気抵抗の軽減と、当時の流行を取り入れた流線型の前面をもちま…

さらばキハ28 DMH17系エンジンの終焉【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 2023年に入って早くも1月が終わりに近づきつつあります。時が経つのは本当に早いものですが、齢を重ねるとその時間の経ち方は、若い頃に比べて本当に早く感じてしまうものです。それは、きっと…

学校の児童生徒だけが乗る「専用列車」 思い出とともに走った修学旅行用電車たち【終章】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■国鉄形淘汰のあとを継いだE257系 2020年をもって集約臨から185系が退くと、その後継として特急「踊り子」と同じく、E257系が就くことになりました。 E257系は2001年から中央東線の特急「あずさ」「かいじ…

学校の児童生徒だけが乗る「専用列車」 思い出とともに走った修学旅行用電車たち【8】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■183・189系無き後は国鉄形最後の特急形185系 167系の後継として集約臨輸送を担った183・189系も、時の流れとともに老朽化・陳腐化が著しくなっていきました。2003年から10年の間にわたって多くの小学生を…

学校の児童生徒だけが乗る「専用列車」 思い出とともに走った修学旅行用電車たち【7】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■特急用から波動用へ転換 栄光の国鉄特急形183・189系が集約臨を引き継ぐ 2002年に集約臨の運用から外れ、167系は翌2003年に全車が廃車となってしまいました。しかし、神奈川県内の公立小学校の修学旅行は…

学校の児童生徒だけが乗る「専用列車」 思い出とともに走った修学旅行用電車たち【6】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 1965年に新製された167系は、関東地区対京阪神の増発用として田町電車区に配置、さらに翌1966年には山口県・広島県からの要望により、山陽地方用として下関運転所にも配置されて、修学旅行の生徒を輸送す…

学校の児童生徒だけが乗る「専用列車」 思い出とともに走った修学旅行用電車たち【5】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■出力強化・勾配線区用165系の修学旅行用167系 153系を嚆矢とする急行形・修学旅行用の電車群は、主電動機に出力100kWのMT46を装備していました。この主電動機は国鉄初のカルダン駆動を採用した新性能電車…