旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

気動車の新時代到来を告げたキハ85系【6】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info ■接客設備も大きく変わったキハ85系 キハ85系は客室の設備も大幅に変わりました。 特急列車は多くの人が長距離・長時間の乗車をする傾向があります。座席の座り心地が悪くては、せっかくの新型車両も評価…

気動車の新時代到来を告げたキハ85系【5】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■高効率エンジンDMF14と新型特急用気動車の登場 1989年に登場したキハ85系は、JR東海の経営方針や運用する線区の実態に最適化され、国鉄時代とはまったく異なる設計思想で開発された特急用気動車でした。 …

気動車の新時代到来を告げたキハ85系【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■国鉄分割民営化による鉄道用ディーゼルエンジンの転機 1987年の国鉄分割民営化は、国鉄が脈々と受け継いできたあらゆることに大きな転機をもたらしました。列車の運行形態やサービス面で、利用者の目にわ…

気動車の新時代到来を告げたキハ85系【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■新たな高出力エンジンへの再挑戦 キハ60とDMF31HSAの失敗によって、いましばらくはDMH17系を使い続けることを余儀なくされたかに見えましたが、国鉄は気動車用の強力エンジンを諦めることはなく、さらな…

気動車の新時代到来を告げたキハ85系【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info ■高出力エンジン開発への挑戦と失敗 国鉄は1960年にキハ60系と呼ばれる準急用気動車を試作しました。 このキハ60系は、国鉄が悲願としていた大出力エンジンの試作車で、車体外観は既に量産されていたキハ5…

気動車の新時代到来を告げたキハ85系【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 気動車というと、鈍重で加速力に乏しく、最高運転速度も電車より低いものだという印象をもっているのは、おそらく国鉄時代に造られた車両を知る筆者と同じ年代の方や、諸先輩方ではないでしょう…

「懐かしの東急8000系ツアー」を満喫 若かりし頃の思い出にも浸って【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 初期のオールステンレス車は、コルゲート板と呼ばれる波状の板を重ね付けすることで、強度を保つようになっていました。筆者の年代で、オールステンレス車といえばこのコルゲート版のある車体が当たり前で…

「懐かしの東急8000系ツアー」を満喫 若かりし頃の思い出にも浸って【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info いよいよ8000系の撮影会です。 まずは、伊豆高原駅から乗ってきて、留置線に滞泊するTB-2編成。行先幕は白地に黒文字の一般的な「団体」の表示です。 ツアーの添乗員役の伊豆急行の方から、「幕を変えます…

「懐かしの東急8000系ツアー」を満喫 若かりし頃の思い出にも浸って【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 コロナ禍の中で、鉄道事業者は軒並み輸送量が激減したため、営業収入もそれとともに大幅に減少しました。そのことは、大手私鉄やJR本州三社ですら大幅な赤字を計上するなど、鉄道という事業その…

赤帯からハワイアンブルーへ 伊豆へ渡ったオールステンレスカー8000系【6】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 伊豆急に移ってきた8000系は、その輸送量から適切な輸送力とするため、4両編成と2両編成に組成・改造がされていました。 実際にうに運用を始めると、4両編成は特に問題はありませんでしたが、2両編成は多…

赤帯からハワイアンブルーへ 伊豆へ渡ったオールステンレスカー8000系【5】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 開業当初に用意した100系には、サシ190という車両が存在しました。その形式名が示すように、「食堂車」として分類される車両です。伊豆急のような地方私鉄に、それも路線延長が100kmにも満たないところに…

「懐かしの8000系ツアー」で鉄分補給

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 今日は以前から申し込んでいて、10年に一度あるかないかの強運(?)を発揮した成果で、東伊豆まで家族で鉄活に行ってきました。 首都圏からも近いリゾート地でもある伊豆を走る鉄道といえば、…

赤帯からハワイアンブルーへ 伊豆へ渡ったオールステンレスカー8000系【4】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 2000年に導入された200系は、長年国鉄とJR東日本で運用され続けてきた「老兵」で、いずれ早い時期には代替が必要とされる車両でした。伊豆急としては、やはり塩害に強いステンレス車体をもった車両が本命…

赤帯からハワイアンブルーへ 伊豆へ渡ったオールステンレスカー8000系【3】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 1993年当時、東急にとって8000系は主力となる車両でした。1989年にVVVFインバータ制御という新機軸を導入して新製がはじめられた9000系がありましたが、こちらはまだ増備の途中でした。加えて9000系をもっ…

赤帯からハワイアンブルーへ 伊豆へ渡ったオールステンレスカー8000系【2】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 東急(ここでは分社化前の「東急電鉄」ではなく、それ以前の「東京急行電鉄」、今日の「東急」を指します)はグループ企業の中に、鉄道事業を営む会社があります。 その一つに、静岡県の東伊豆沿岸を走る…

赤帯からハワイアンブルーへ 伊豆へ渡ったオールステンレスカー8000系【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 ここ最近では例にない寒さの冬が終わり、ようやく春めいてきました。いえ、春になったかと思えば、いきなり日中の最高気温が20度を超える日もあり、「ちょうどよい季節」というのが短くなったと…

さらば客車改造気動車 異端の成功車とその軌跡【6】

《前回のつづきから》 blog.railroad-traveler.info 北海道に残ったキハ143は、室蘭本線での運用を続けていましたが、こちらも後継となる737系の新製増備に伴って、運用を終了するアナウンスがされました。もともと、キハ143が運行されていた室蘭本線室蘭−東…

さらば客車改造気動車 異端の成功車とその軌跡【5】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 2012年の札沼線電化開業と、それによる電車への置き換えにより多くの車両が運用を失い、廃車あるいは海外へ譲渡されていったキハ141系ですが、国内の鉄道事業者に譲渡された車両もありました。 譲渡先はJR…

さらば客車改造気動車 異端の成功車とその軌跡【4】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info キハ143とキサハ144に装備されたN-AU26は、国鉄末期に採用された気動車用の冷房装置でした。元をたどるとデンソー製のバス用機関直結式クーラーで、国鉄が独自に開発したものではない、いわゆる民生品を使…

さらば客車改造気動車 異端の成功車とその軌跡【3】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info 札沼線沿線はベッドタウンとして開発が続き、沿線の人口も増加し続けていました。そのため、ラッシュ時には混雑が激しくなり、多くの乗客を乗せたことで車両の重量も増したため、強力なエンジンを搭載した…

さらば客車改造気動車 異端の成功車とその軌跡【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info キハ141系は、余剰となった50系51形客車を改造の種車としました。50系51形は製造から長くて10年強、短いものでは10年に満たないなど車齢は若く、状態もそれほど悪くありませんでした。そして、かつてのキ…

さらば客車改造気動車 異端の成功車とその軌跡【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 鉄道車両がその使命を終えたとき、その多くは廃車手続きがとられて車籍が抜かれた後、解体処分されます。新製から相当の年月、少なくとも数回の全般検査を受けて20年程度、長い場合は40年以上も…

同じ石油製品を運ぶタンク車 別形式になった理由【2】

《前回からのつづき》 石油製品を輸送するタンク車ですが、実は消防法の規制の対象外です。1両あたりの積載量に特に上限は設けられてなく、あるとすれば走行する線区の軸重制限がある程度です。ですから、タンク車の歴史は1両あたりの積載量をいかにして増や…

同じ石油製品を運ぶタンク車 別形式になった理由【1】

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 今日の鉄道貨物輸送の主役は、コンテナ貨物であることは誰もが認めるところでしょう。国鉄の貨物輸送を継承したJR貨物は、コンテナによる輸送を原則と定めました。これは、従来の車扱輸送は貨車…

大阪出張を終えて

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 筆者にとってこの夏一番の(?)大イベントとなった大阪出張は、大きな成果を得ることができたとともに、7年ぶりに再会した後輩との親交を深めることができ、非常に満足できるものになりました…

大阪出張を終えて、帰宅の途へ

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 昨日より来ておりました大阪でしたが、「鉄活」も概ね満足したのと、あまりの暑さにやられてしまったので、予定を切り上げて帰宅の途に就きました。 昨日より投宿しておりましたのは、地元では…

大阪1日目も無事に終わり

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 関西の夏は暑いですよ!とは、後輩から聞いてはいたものの、これほどまでに暑いとは思いもしませんでした。台風の影響もあるのでしょうが、きっと、関西の方の心意気が熱いからかもしれません。…

本日より大阪です

おはようございます。 いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 昨日の投稿でもお話したように、本日より大阪で行われる研究協議に参加するため、一泊二日で大阪出張です。 いまは「のぞみ101号」の車上の人ですが、このあとはほぼ1日協…

『鬼の居ぬ間』ならぬ『娘の居ぬ間』に

いつも拙筆のブログをお読みいただき、ありがとうございます。 昔から「鬼の居ぬ間の洗濯」とはよく言ったものです。恐れる人が居ない間に事を成してしまおうという、ある意味、先人の知恵といったところでしょうか。若い頃は、恐れる先輩が目を離した隙に、…

鉄道マン時代の回想録 独り立ち・八王子機関区構内トロリー線交換工事【2】

《前回からのつづき》 blog.railroad-traveler.info トロリー線の交換工事は、もっとも列車や入換が少ない日と時間帯をねらって設定します。まあ、レール交換や砕石交換といった保線工事も同じなのですが、列車や車両が走行するために欠かすことのできない設…