旅メモ ~旅について思うがままに考える~

元鉄道マンの視点から、旅と交通について思うがままに考えたことを紹介します。

鉄道

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(15)

(4)事故調査結果を将来の安全につなげる 今回の重大インシデントの発生を受けて、国の運輸安全委員会が事故調査に乗り出しているのは、既に報道などで多くの方がご存知のことだと思います。 運輸安全委員会(JTSB)は国土交通省の外局で、航空機や鉄道、船…

消えゆく「国鉄形」 数奇な運命を辿った急行形【3】

1968年のダイヤ改正、いわゆる「ヨン・サン・トオ」と呼ばれる白紙ダイヤ改正では、数多くあった急行列車の愛称が整理されるとともに、それまで走っていた準急列車が急行列車へ統合されていきます。急行列車自体は増発にも見えますが、一方で一部の急行列車…

いろいろな「物」を運ぶ貨物列車① 軽自動車はコンテナに乗ってやって来た!

駅のホームで列車を待っていると、電光案内板に「通過列車」とか表示されていること、たまにあると思います。寒い日や暑い日には、できれば早く快適な車内に入りたいと思っている時に、この「通過列車」なんかあると勘弁してくれと思うこともあるかもしれま…

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(14)

(3)根幹を支える職員を自社の責任で育成する このように安全輸送を守るためには、現場に携わる職員の存在が必要不可欠であり、こうした職員には実践で培った経験と技術が重要であることは、これまでにも何度も述べてきました。 しかし、近年、多くの鉄道…

消えゆく「国鉄形」 数奇な運命を辿った急行形【2】

こうして、急行列車のサービス改善を果たした153系電車が活躍する一方、他の地方線区は旧来の客車列車のままでした。東京・名古屋・大阪といった大都市圏を結ぶ列車が最新鋭の車両で運転されているのを、地方が黙って見逃すわけがありません。当然、地方都市…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その21「最後の集合研修と配属先の発令通知」【後編】

◆最後の集合研修と配属先の発令通知【後編】 九州勤務も残り数日になった日、研修センターの帰りに門司機関区に立ち寄った。検修助役のUさんを訪ねていき、研修では大変お世話になったお礼と、もうすぐ九州を離れることを報告した。「寂しくなるけんな」 な…

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(13)

(2)現場を熟知したプロを活かす 現場で十分な経験を積み、知識と技術などを習得したプロフェッショナルは、間違いなく安全輸送になくてはならない存在であることは確かです。こうした職員が現場で若手を育てることはもちろん重要な仕事であるといえます。…

消えゆく「国鉄形」 数奇な運命を辿った急行形【1】

人は生まれながらにして背負った運命というものがあるのかと思うことがあります。とにかく苦労の連続を強いられる人もいれば、裕福な家に生まれて先代の後継者に、本人の意思も関係なく決められていて自由のない人などなど。 それは鉄道車両も同じことで、開…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その21「最後の集合研修と配属先の発令通知」【前編】

◆最後の集合研修と配属先の発令通知 門司機関区での現場実習を終えると、再び研修センターで集合研修を受けることになった。とっても、座学はほとんどなく、現場配属にあたっての心得とかそういったものがほとんどだ。 4月の研修で受けた中に、無線従事者免…

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(12)

今回の重大インシデントでは、輸送指令の判断ミスも原因の一つと考えられています。しかし、指令業務に携わる職員の低年齢化も、現場に携わる中堅・ベテラン職員から懸念する声も聞きました。 前回までは blog.railroad-traveler.info 国鉄からJRへ移行した…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【6】最終章

2009年のダイヤ改正で、ついに東京-九州間の寝台特急列車は長い歴史幕を閉じました。それと同時に、下関の車両たちは定期の運用を失います。仕事を失った車両たちは当然余剰として扱われ、10両のうち8両がその年に廃車となりました。1986年に花形の運用を手…

「のぞみ34号」重大インシデントについて元鉄道マンの考察と提言(11)

3.人事システムの見直し この項立ては、コラムを書き始めた当初は書くかどうか非常に迷ったところです。というのも、人事というものは経営的な観点も必要なことで、筆者(私)自身は職がどんなに変わっても現場で働き続けることに拘っているので、こうした…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その20「最後の添乗実習、門司-福岡貨物ターミナルの高速貨物列車」【後編】

◆最後の添乗実習、門司-福岡貨物ターミナルの高速貨物列車【後編】 香椎駅に着くとほぼ定時に到着した。列車の運転で一番難しいことは何か?というと、私は定時に運転させることだと思う。特に、停車駅が極端に少ない貨物列車は、100km近くの距離をずっと走…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【5】

需要が増えればそれに応えて列車を増発しなければなりません。しかも、できれば高速で、1列車あたりの連結両数も多ければ多いことが望まれます。そうなると、手持ちのEF66形では足りず、かといってEF65形では力不足も予想されます。EF66形登場前夜の特急貨物…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その20「最後の添乗実習、門司-福岡貨物ターミナルの高速貨物列車」【中編】

◆最後の添乗実習、門司-福岡貨物ターミナルの高速貨物列車【中編】 列車は小倉駅を通過するとどんどん加速していくが、黒崎駅までは旅客列車の走る線路とは別の貨物線を走っていく。貨物駅の浜小倉駅も通過、気持ちがいいくらい駅という駅を通過していくか…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【4】

そんな高速で重量のある貨物列車を牽くことを至上命題に誕生したEF66形に大きな転機が訪れます。 貨物列車としての花形の仕事が次々に失われていた1985年、あろうことか東京-九州間の寝台特急の先頭に立つという仕事が舞い込んできました。これには私も驚き…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その20「最後の添乗実習、門司-福岡貨物ターミナルの高速貨物列車」【前編】

◆最後の添乗実習、門司-福岡貨物ターミナルの高速貨物列車【前編】 門司機関区での研修勤務も終わりに近づいた頃、最後の添乗実習で門司-福岡貨物ターミナル間の高速貨物列車に乗ることになった。およそ100km、時間にして1時間強という長い行程だ。 門司…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【3】

こうして従来の機関車と一線を画する性能とデザインを与えられたEF66形は、1968年に量産機となる1号機~20号機が製造され、下関をねぐらに活動を開始します。 前回までは blog.railroad-traveler.info 最初の仕事はもちろん、特急貨物列車の牽引でした。EF66…

シリーズ駅弁の旅 新大阪駅「関西味めぐり」

最近、出かける度にお土産とばかりにご当地駅弁を買ってくる習慣がついてしまいました。一家揃って遠出をすることがなかなか難しいので、せめて「食べる」ことでその土地を味わってもらえればなんてことも考えたりするものです。 今回ご紹介するのは、先日所…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その19「臨時検査入場・・・その訳は」【後編】

◆臨時検査入場…その訳は【後編】 ところがその後、まさか自分に降りかかってくるなんてこれっぽっちも考えてなかった。 検査長から臨時入場する機関車を聞いて、人身事故を起こした車両は検査と修繕をしなければならないというのは本当なんだなと知った。そ…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【2】

EF66形もまた貨物列車の課題解決のために開発されました。 当時の貨物列車は、特急貨物列車でも最高速度が85km/hが限度で、汐留(東京)-梅田(大阪)間を結ぶコンテナ貨物列車は10時間55分の所要時間がかかっていました。 これを、最高運転速度を一気に100…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その19「臨時検査入場・・・その訳は」【前編】

◆臨時検査入場…その訳は【前編】 機関区の検修科は台車検査を担当する班と、交番検査を担当する班、そして仕業検査を担当する班に分かれている。仕業検査は日々の検査なので、日中だけではなく夜間も作業をするので泊まり勤務となるから、作業ダイヤは別枠で…

消えゆく「国鉄形」 別れ別れになった兄弟たち【1】

数ある鉄道車両の中には公式・非公式ともに、愛称をつけられるものも少なくありません。その由来は車両の性能からつけられたものや、特徴的な形状からつけられるもの、あるいは看板列車として走ることを運命づけられてつけられるものなどなどたくさんありま…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その18「機関区での整備…台車検査と臨時検査」【後編】

◆機関区での整備…台車検査と臨時検査【後編】 前回までは 機関区の検修は、大きく分けて午前と午後に作業がある。もちろん、ずっとぶっ通して作業をするわけにはいかないので、途中に10分程度の休憩が入る。この時間に水分を補給したり一服したりしてリフレ…

悲運のハイパワー機 期待を一身に背負ったはずが【6】最終章

2017年は2号機と17~19号機を除いて廃車となり、ついに2018年にはすべての定期的な仕事から外されてしまいました。製造からたった25年足らずで、現役でいるのはたったの4両。しかも定期的な仕事をもたず、吹田機関区で留置されたままの毎日なってしまいまし…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その18「機関区での整備…台車検査と臨時検査」【中編】

◆機関区での整備…台車検査と臨時検査 【中編】 前回までは門司機関区で研修中に、もう一台の機関車が台車検査で入場してきた。 今度は電気機関車のEF81形だ。やはりDD51形の時と同じように台車は車体から離されて、油脂や消耗品などは交換、車輪や台枠はしっ…

昭和から平成へ 激動の時代を見続けてきたロマンスカー【後編】

それから10年後の2007年になると、小田急電鉄80周年と初代ロマンスカーである3000形登場から50周年を記念して、再び登場時の塗装に塗り替えられました。 前回までは ところがロマンスカーを取り巻く環境は2000年代に入って一変します。バブル経済崩壊と長引…

悲運のハイパワー機 期待を一身に背負ったはずが【5】

実力を発揮できるまでもてる性能を抑え、ただひたすら軽い列車を牽き続けてきたEF200形は16年目にして日の目を見ることができました。 しかし、それは長く続くことはありませんでした。 2008年には、パワーを抑えた後輩であるEF210形と共通の運用、つまりEF2…

もう一つの鉄道員 ~影で「安全輸送」を支えた地上勤務の鉄道員~ 第一章・その18「機関区での整備…台車検査と臨時検査」【前編】

◆機関区での整備…台車検査と臨時検査【前編】 前回までは 自動車に法定12か月点検と車検があるように、鉄道車両にも法定点検がある。車検に相当する全般検査は小倉車両所のところでもお話ししたように、文字通りオーバーホールになる大がかりな検査なので、…

昭和から平成へ 激動の時代を見続けてきたロマンスカー【中編】

前回までは ところが、この7000形は日本の鉄道史上、稀に見るできごとに出会うことになりました。あろうことか、ライバルである国鉄から高速試験のために貸し出してほしいというのです。 私鉄の、それも特急用の車両が国鉄線上を走り、国鉄の手による試験運…